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めぇでるコラム : 2016年12月 2ページ目
さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>自発性、芽生えてきましたね
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「めぇでる教育研究所」発行
「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第5号
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自発性、芽生えてきましたね
自発性、辞書を引くと、「他から教示され、または影響されるのではなく、内
部の原因・力によって思考・行為がなされること」(広辞苑 岩波書店)とあ
ります。
ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、「自発的」(自ら進んでするさ
ま)といえば納得できると思います。
もっとわかりやすい例があります。
それは子どもの遊びです。
大人の遊びは、遊びに過ぎませんが、幼児の遊びは、仕事です。
遊びを通して、いろいろなことを学ぶわけです。
遊びには、二通りあります。
一人遊びと、友だちと遊ぶ仲間遊びです。
こんなことがなかったでしょうか。
一人でブツブツいいながら、何やら真剣に遊んでいます。
もし、頭の中をのぞける機器があれば、のぞいてみたいものです。
遊ぶ道具が、ウルトラマンの人形であれば、左手にウルトラマン、右手にはバ
ルタン星人などといわれている怪獣を持って、大激戦を展開しているはずです。
円谷監督も顔負けの映像が、リアルタイムで、ポンポンと浮かんでいると思い
ます。
子どもの想像力や空想力は、大人が考えるほど単純ではありません。
台本を書いて、何やら激戦地にふさわしいセットを組み、主演から脇役、対戦
相手の怪獣、それに本人しか理解できない奇妙な効果音を流し、監督までやっ
ているのですから、これは掛け値なしにすごいことです。
しかも、こんなにすばらしい想像力を駆使しながら、もっと面白く遊べる方法
はないものかと、工夫しています。
そして、大人の仕事と違い、報酬を全く要求せずに、省エネもせずに、全力で
取り組んでいます。
ですから、子どもは、遊びに夢中になれるのです。
どうしたら面白くなるだろうかと、いろんなアイディアを考え、その中から、
「これが、いいぞ!」
と選び、遊びの場に引き出します。
ところが、やってみたところが、今一つ面白くないとなると、映画監督よろし
く、
「何だ、あまり面白くないな。カット、カット!」
と駄目を出して、また新しい台本に挑戦し、それにふさわしい演出を試みはじ
め、準備が済み次第、カメラを回し始めます。
言ってみれば、幼児の遊びは、この作業の繰り返しです。
少し理屈っぽくなりますが、子どもの遊びは、いろいろ考え、そこからベスト
の遊び方を選んで、実行に移し、駄目ならまた始めからやり直すという「考え
た事柄と行動」が、そのまま表れていることなのです。
つまり、子どもの遊びは、
「自ら考え、選択し、実行するという自発性」
を養う訓練になっているのです。
これは、自主性を育てる上で、非常に大切なことです。
何かに取り組むには自分でやらなければならない、頼りになるのは自分自身で
あることを、遊びを通して学習しているからです。
ですから、積極的に遊びを楽しめるお子さんは、何事にも取り組もうとする意
欲が培われているはずです。
たとえば、自分一人でやらなくてはならないことが、たくさんあります。
洋服を一人で着て、脱ぐ。
食事を限られた時間で済ませる。
排便を一人でできるようにする。
歯をみがき、顔を洗う。
うがいに手洗い。
身辺の整理整頓。
あいさつ。
いろいろとありますが、4歳頃には身につけておきたいものです。
なぜでしょうか。
こういうことは、育児書によると、「基本的な生活習慣」と書かれています。
これは親の手を借りずに、自分自身の力で生きていくための生活適応能力のこ
とで、その能力を備えるための準備運動が始まったと考えれば、わかりやすい
でしょう。
しかし、忘れてはならないことがあります。
いくら、こういったことができなくてはといっても、これは、あくまでも平均
的な一つの目安です。
4月2日生まれと翌年の4月1日生まれでは、1年間の差があります。
生れ月を頭に刻み込み、育児をする賢いお母さんになってあげましょう。
そして、もう一つの「仲間遊び」ですが、まだ、一緒にいても一緒に遊ばない
という「並行遊び」の盛んなときですから、もう少し待たなければならないで
しょう。
しかし、並行遊びに入ったのは、仲間遊びの準備が着々と進んでいるわけです。
仲間遊びは、言うまでもなく、みんなと一緒に何かをする集団生活の基本とな
る協調性や社会性を培う大切な遊びです。
こういった集団生活にスムーズに対応するために身につけなくてはならないの
が、基本的な生活習慣なのです。
もちろん、まだまだ幼いですから、いろいろと面倒をみなくてはなりませんが、
自分でできることは自分でするように、お子さんの成長を踏まえ、させるべき
です。
このことを、お母さん方が、真剣に考えて実行しなければ、せっかく芽生えか
けている自立心も意欲も、育まれないことになりがちです。
しかも、核家族化、少子化現象が、育児に困った影響を与えているようです。
それは、過保護、過干渉の育児です。
(次回は、「過保護の育児」についてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<保護者編>季節の行事、これも欠かせません
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第5号-
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第1章 (3) 情操教育、難しく考えることはありません
季節の行事、これも欠かせません
季節折々の行事を祝うことも大切です。
昔は農耕民族でしたから、1年の生活は農作業を中心に営まれ、休みも仕事の
進み具合により取るようにしていましたが、今は法律で定めた国民の祝日にな
っているものが多く、全国的に休暇を取るようになりました。以前は、祝祭日
に日の丸を掲げたことから「旗日」ともいわれていたのですが、ほとんど見か
けなくなりました。
祝祭日を家庭で祝うことも、少なくなっているのでしょう。
元日に雑煮を食べない家庭もあるそうですから、当然かも知れません。しかし、
七五三や成人式は、華やかに行われていますし、ひな祭りと端午の節句、これ
はおじいちゃん、おばあちゃんの気張りどころでしょう。国産ではありません
が、クリスマスもきちんと祝い、ハロウィンも仲間入りしてきました。いずれ
も国産化され、「少し違うのではないかな?」と違和感を覚えますが(笑)。
お父さん、お母さんに聞いてみましょう。
「なぜ、門松は、松竹梅で飾るのでしょうか」
「なぜ、鬼は、柊(ひいらぎ)、いわしの頭、豆を嫌うのでしょうか」
「なぜ、菱餅は、白、桃色、緑の三色なのでしょうか」
「なぜ、お釈迦さまに甘茶をかけるのでしょうか」
「なぜ、端午の節句に、鯉のぼりを飾るのでしょうか」
これくらいにしておきましょう。
私は、こういった四季折々の行事を、家族で祝い、その意味を両親から話して
もらった記憶があります。今でも忘れられないのは、正月の門松でした。室町
時代頃から飾るようになったそうですが、これには、きちんとした科学的な根
拠があるのです。詳しくは1月に説明しますが、ここでは、私が親父から聞い
た話を紹介しましょう。突然、大阪弁になって恐縮ですが、親父は関西の出身
でしたから、この方が、実感がわくのです。
「松は、一年中、葉が青くて、冬にも色が変わらん。元気で健康な証拠や。
竹は、真っすぐに伸び、雪が積もっても折れん我慢強さがある。しかも、中は
空っぽやから腹に一物もなく、きれいや。『竹を割ったような性格』っていう
やろ、正直や。男は、これでなきゃあかんのや。
梅は、他の木がつぼみさえ持たん寒い冬に、リンと咲く強さやな。それに、咲
く姿は清らかや。
みんな、それぞれ、それなりの理由がある。みんな縁起もんや。そやから、こ
れらを飾って、新しい年神様を迎えて、健康で、辛抱強く、正直に生きて、家
内繁盛を願ったのや」
こういった話を、元日の朝祝いの時に、必ず聞かされていました。
季節折々の行事は、自然への感謝の気持ちと家族の幸せを願って、家族みんな
で祝ったものです。その行事の意味を子どもに教え、楽しく祝い、一つの思い
出として残してあげ、子どもが親になった時に、その楽しい思い出をわが子に
も伝える、そういった風習が残っていました。何しろ今と違い、情報量の少な
かった時代でしたから、これも親の大切な役目でもあったわけです。
しかし、最近は、「鬼は外、福は内!」の声など、聞こえなくなりました。そ
んなことは迷信だといって、だんだん、影をひそめていくようです。
「月にうさぎが住んでいる」と信じている子はいないでしょうが、「サンタク
ロースはいる」と信じている子はたくさんいます。事実、サンタさんから送ら
れてきた手紙を、目を輝かせ、得意そうに見せてくれた子もいました。
「迷信と切り捨てる」のと、「迷信でも子どもの夢を一緒に楽しんであげる」
とでは、どちらが子どもにとって幸せでしょうか。
「サンタクロースなんて迷信で、プレゼントはお父さんが買ってくるんだよ」
といった先生を許せないと、涙ながらに語る友人の話を、池波正太郎の随筆で
読んだことがあります。12月に紹介しますが、この先生には、クリスマスの
思い出は、何もなかったのでしょう。あれば、こんな残酷なことは言えません。
でも、これは許せない!
豆をまき、菖蒲(しょうぶ)湯に入って菖蒲で鉢巻したり、短冊につたない字
で願い事を書いたり、お月見に薄(すすき)を飾ってお団子を食べ、素朴に祝っ
ていたのでしょう。「素朴」、いい言葉ではありませんか。最近、あまり聞か
れない言葉の一つになりましたけど……。
しかし、その時に、父や母から話を聞くことが楽しみでした。今のようにテレ
ビもなく、むかし話の本などあまりなかった戦後の貧しい時代でしたから、ほ
とんど、両親の記憶によるものでした。祖父母や親によって語り継がれる、む
かし話の原点が、まだ、残っていました。
特に、鬼の話や地獄の話は恐かったものです。悪いことをすると地獄に落ち、
針の山に追われ、血の池に放りこまれる話などは、心から信じていました。私
にとっては 「情操教育」であったと思います。こういった家族全員で祝うこ
とがなくなったのも、家族の絆が薄くなった原因の一つであることは、間違い
ないでしょう。季節折々の行事も、心を培う「情操教育」に欠かせない、家庭
でやらなければならない大切なイベントだと思います。
そこで、月々の行事を取り上げ、その行事に関係のあるむかし話を紹介しよう
と試みたのですが、素人の悲しさですね、日本中の行事といえば気が遠くなる
ほどありますし、むかし話となると、とてもではありませんが手に負えない、
ものすごい数です。
行事は、全国的に行われているものから選びましたが、その基本的な資料とし
て使わせていただいたのは、永田 久先生の「年中行事を『科学』する」(日
本経済新聞社 刊)でした。専門用語が使われ難しいものですから、わたし流
に解釈させていただきましたが、詳しくは、最後の「おわりに」のところで説
明いたしますので、ご本家の方をお読みいただければ幸いです。
むかし話は、進学教室でうけた話を中心に、私の独断と偏見で選んでみました。
児童文学を修めたことも、民話などを研究したこともありませんから、間違っ
た解釈をしているところも多々あると思います。専門家の諸先生方に一笑され
るかもしれませんが、覚悟の上です。何やら強気のようですが、目に触れる心
配などありえませんから、気楽に考えているだけです(笑)。
紹介する話は、ほんの氷山の一角で、しかも私の感覚で要約したダイジェスト
版になっています。面白いと思われましたら、本物を読んであげてください。
それも、本メールマガジンの狙いの一つです。紹介する本は、ほとんどが図書
館で読んだものです。お住まいになっている図書館の子ども部屋にはあると思
いますので、作者と出版社名を明記しましたから、参考になさってください。
お父さん、お母さん、頑張ってください。
情操教育は、心の教育です。心の教育は、幼児期に基本的なことを学習してお
くべきです。今は学習ではなく、勉強が幼児の心をむしばんではいないでしょ
うか。文字の成り立ちからもわかるように、学習は「習い学ぶこと」で、勉強
は「強いて勉めること」です。幼児を取り巻く環境は、何やら落ち着きません。
親が勉強せず、子どもだけに勉強を強いる傾向にあると思えてならないのです。
情緒が不安定で、情操の乏しい子が増えているといわれていますが、知識を詰
め込むことにこだわり、心を育てる育児が、おろそかになっていないでしょう
か。
キリスト、お釈迦さま、マホメッドと共に、世界の四大聖人である孔子さまも、
「論語物語」の「うぐいすの声」でいっています。うぐいすのひな鳥が、親鳥
の美しく鳴く声を聞きながら、繰り返し練習をし、やがて一人前に鳴けるよう
になる話です。その心は、「親鳥のようになりたい……」、このことです。あ
る年の7月、上高地へ出かけた時、大正池で、実際に聞くことができ感激しま
した!
幼児期は、「強いて勉めるときではなく、習い学ぶとき」です。心の教育は、
お子さんの人生観の基礎を培う大切な学習です。お手本は、ご両親です。ご両
親が、うぐいすの親のようにならなければ、迷うのはお子さん自身です。心の
教育こそ、ご両親が力を合わせて、育み、培うものです。
ご両親が受けてきた教育を、そのままお子さんにも受けさせたいとお考えでし
ょうか。もし、不安を感じているようでしたら、教育についての考え方を、改
めるべきではないかと、赤面しながら、あえて言い切っておきましょう。私は、
「教育とは自己学習のできる人間を育てること」であり、ご両親が作る環境から
培われていくものだと考えています。通信簿に表れた目先の結果だけにこだわ
らず、どのような子どもに育ってほしいのか、大らかな心をもち、お子さんの
教育について考える、賢いお父さん、お母さんになってあげましょう。背伸び
をし過ぎましたが、それがご両親の役目、親の責任ではないでしょうか。
★★古典落語「桃太郎」の作者 乾坤坊 良斉(けんこんぼう りょうさい)
の意図★★
最後に、落語「桃太郎」の全編を紹介しましょう。大人用は、複雑に脚色され
た噺が多く、長くなりますから、「こども古典落語」から選びました。
「桃太郎」は、「かちかち山」「花さか爺さん」「さるかに合戦」「舌きり雀」
と共に、日本の五大お伽話といわれています。1940年生まれの私には信じ
がたいのですが、この五つの話を知らない子がいます。20数年ほど前の進学
教室時代の話ですが、「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」の方
が、人気があるようでした。今は、どうでしょうか。TVのコマーシャルにハ
イジは顔を出していますが……。余談になりますが、落語ですから声を出して
読んでみてください。黙読とは一味違うはずです。
桃太郎のお話を一席申し上げます。
近頃の子どもは学校に入る前に、大概、幼稚園や保育園に行っていますから、
昔とは大変に違います。昔は親が子どもを寝かしつけるのに、
「おとっつぁんが、面白い話をしてあげるから寝るんだよ。いいかい、あのね。
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいてね。ある日、
おじいさんは山へ芝を刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行ったんだよ。そして、
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきたから、家に持って
帰って割ってみると、男の子が生まれたんだよ。桃の中から生まれたから桃太
郎と名前をつけてね。大きくなると桃太郎は、犬と猿と雉を連れて、鬼が島に
鬼退治に行ったんだ。そうして、鬼を退治して、宝物をたくさん持って帰って
きて、おじいさん、おばあさんを喜ばしたんだよ。どうだい、面白かったかい……。
おや、坊や……。もう寝ちまったよ。子どもなんて罪のないもんだね」
という具合だったんですが、今は、そうはいきません。
「坊や、お父さんが面白い話をしてあげるから早く寝な」
「せっかく親が面白い話をしてくれるのに、寝ちゃあ失礼だよ」
「失礼でもいいから寝なよ」
「あのね、むかしむかし」
「むかしむかしって、何年前?」
「ずうっと昔だよ」
「それじゃ、何世紀のお話?」
「何世紀だって、いいじゃないか!」
「ある所に、おじいさんとおばあさんがいたんだ」
「ある所って、何処? おじいさんとおばあさんの本名は?」
「ある所はある所さ。おじいさんとおばあさんには、名前がないんだよ!」
「でも、名前がない人っていないよ」
「貧乏だから、名前を売っちゃったんだよ」
「変なこと言ってら!」
「黙って聞きなよ!」
「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行ったんだ。おばあさ
んが洗濯をしていると、大きな桃が流れてきたから、これをもって帰って割っ
てみると、男の子が生まれたから、桃太郎と名前をつけた。この子が大きくな
ると、犬と雉と猿を連れて、鬼が島に鬼退治に行ったんだ。そうして鬼を退治
して、宝物をたくさん持って帰ってきて、おじいさん、おばあさんを喜ばした
んだ……。あれっ、まだ寝ないのかい?」
「お父さんの話を聞いていたら、さっきまで眠かったのに、パッと目が覚めち
ゃった。だってこの話は、もっと深い意味があるんだよ」
「ほう、そうかい?」
「話してあげようかい、君!」
「あれっ、親をつかまえて、“君”というやつがあるかい! まあ、話してご
らん」
「むかし、むかし、ある所にというのは、何時代の何処と決めてもいいんだけ
ど、日本中の子どもがこの話を聞くわけでしょう。だから、子どもたちの想像
させるために、わざとぼかしてあるんだよ。おじいさん、おばあさんというの
は、本当はお父さん、お母さんなんだけど、やわらかみを出すために、おじい
さん、おばあさんにしてあるんだ。そして、それぞれ山と川に行くでしょ。あ
れはね、父の恩は山より高く、母の恩は海よりも深いということを表している
んだよ。そして、海のない地方もあるから、わかりいいように川にしたんだ」
「えっ……、なるほど。これは、大人が聞いてもためになるな」
「そうさ。桃の中から子どもが生まれたというけど、あれは、桃のようなかわ
いい赤ちゃんが生まれたということなんだよ。第一、桃の中から赤ん坊が生ま
れてごらん。果物屋さんは、赤ん坊だらけになっちゃうよ」
「成程、なるほど、それから?」
「そんなに前に乗り出してこないでよ。そしてね、鬼が島に行くというのは、
つまり、父母のもとを離れて、世間に出るということなんだよ。犬、雉、猿を
連れて行くというのはね、犬は思いやりというものがある。難しい言葉でいう
と仁というんだよ。猿には知恵がある。雉は勇気がある。つまり人間は、世間
に出たら、仁、知、勇、この3つを働かせなければいけない。そうすれば段々
に偉くなってきて、世間から信用という宝物を得ることができるということな
んだよ。それをお父さんみたいに、この話をしたんじゃ、このお話の作者が泣
くよ。わかったかい、お父さん……。お父さん、あれぇ、お父さん寝ちゃった
よ! へえー、大人なんて、罪のないもんだ!」
こども古典落語1 あっぱれ! わんぱく編
小島 貞二 文 宮本 忠夫 画 アリス館 刊
きび団子の説明が抜けていますが、きびでできた団子は美味いものではなく、
人間いかなる時もおごってはいけないという戒めを表しています。桃太郎伝説
のモデルといわれている岡山県の吉備津神社で食べたきび団子は美味かったの
で、子ども達から「うそでしょう?」と言われるかもしれませんが(笑)。
いかがでしょうか、説得力があると思いませんか。
歳月を経て伝えられてきた話は、研ぎ澄まされており、実に無駄がありません。
しかも、落語であるところが愉快ではありませんか。笑いながら、人生修業を
しているのですから。落語は、最後の「下げ」が勝負になりますが、これも決
まっていますね。YouTubeで視聴できます。
最近、落語を聞く機会がなくなりましたが、落語は素晴らしい話芸です。図書
館の視聴覚室をのぞいてみましょう。古今亭志ん生師匠をはじめ、咄家のすば
らしい名人芸がCDに収録されています。疲れたときに聞いてみませんか。落
語は、声を出して笑うことが、いかに大切であるかを教えてくれるからです。
「笑う門に福来る」とも言うではありませんか。ご両親の笑顔は、お子さんの
健やかな成長を支える促進剤です。
ちなみに英語では、“Fortune comes in by a merry gate”、面白いのは、
“Laugh and be fat”(笑えば肥る)とも言うそうで、後の方が、実感があり、
納得できますね。(「故事ことば辞典」より)
ところで、あるミッション系の面接試験で、「最近、大笑いしたことがありま
すか」と尋ねられたことがありましたが、この質問の意図を、どのようにお考
えでしょうか。
(次回は12月の年中行事についてお話しましょう)
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