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めぇでるコラム : 2015年11月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>[2]5つの試験形式 集団テスト

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第22号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■ 
(3)集団テスト
 
10名から20名位のグループで、部屋に置かれている遊び道具、ボールや縄
跳び、積み木や輪投げなどを使い、各人が自由に遊んでいる様子や、先生のま
ねをして踊ったり、熊や象などの動物のまねをしているところを観察するもの
や、話を聞いて、話の続きを想像して絵に描いたり、全く条件を与えられない
で好きな絵を描いたりします。
 
テストの狙いは、遊んでいる様子から自発性を、何かを作ったり、絵を描いた
りすることから表現力や創造力、巧緻性などを見ます。巧緻性は、きめ細かく
上手にできていることで、「手は第二の脳」(11号~14号)で詳しくお話しま
したから省略しますが、一言でいえば、普段、両手を使う作業をやっているか
を見るわけです。親の手を借りずに、どのくらい自分自身でできるか、自立心
ですね。さらに、基本的な生活習慣も関わっています。もちろん、積極的に参
加する意欲や自主性もわかりますから、手を抜けません。
 
また、たとえば、クリスマス・ツリーなどを作る課題を与えられ、5、6名の
友だちとグループを組み、相談をしながら、自分の考えをいい、相手の意見に
も耳をかたむけながら、仲良く作り上げていく問題もあります。社会性や協調
性が培われているかを見る行動観察型のテストです。
 
[自由遊び]
「好きな道具を選んで、自由に遊びなさい」
といわれて戸惑う子がいます。子どもは遊びが仕事ですから、信じられません
ね。その原因は、日常生活が何から何まで管理されていることにあるのではな
いでしょうか。お母さんの指示どおりにしないと、お母さんの気持ちが済まな
いようで、その心は、無事に〇〇小学校へ入るためです。これでは、学校側が
求めている自発性や自主性は、育たないと思いますね。お子さんの通っている
幼稚園は、自由保育です。お母さんのやっていることは、管理育児です。こん
な言葉はないでしょうけれど、保育の方針に逆らっています。
 
遊んでいるときに、子ども本来の姿が表れるもので、そこを学校側はみたいの
です。みんなが自分の好きな遊びに熱中している時に、お母さんの子だけが、
何やら不安気に、ボーッとしていると、先生方は、どう思うでしょうか。育児
が過干渉である証で、自分の意志を持たない「受験サイボーグ戦士」と思われ
るかもしれません。その心配なしとは言えませんね。
 
こんな子もいるそうです。今、ボールで遊んでいたと思ったら、今度は縄跳び、
と思う間もなく輪投げです。一ヶ所にジッとできません。これは、この時期に
見られる子どもの成長を現す一面で、目移りではなく、好奇心が旺盛なのです。
とは言っても、次から次へと手を出し、人が遊んでいるおもちゃを横取りした
り、いくつも独占したり、あげくのはてには散らかしっぱなしはどうでしょう
か。
これでは、好奇心が旺盛とは言えません。単なるわがままか、飽きっぽいだけ
で、育児が過保護になっている証拠です。
 
遊ばせれば、子どもの育てられている環境はわかります。幼児の試験は、これ
が最も適切ではないでしょうか。子どもたちは、全身で育てられている環境を
表します。無心に遊ぶ、ちょっとしたしぐさから、育児の姿勢が伝わってくる
ものです。
 
[身体表現]
先生のやっている動作をまねる、いわゆる身体表現です。
たとえば、あざらしの歩き方をまねたりします。これは、かなり、難しいです
ね。両手で体重を支え、両足をそろえて伸ばし、両手を交互に出しながら前に
進みます。まさに、あざらしさんです。腕力と腹筋を使いますから、かなりき
ついですね。もちろん、あざらしそっくりにできればいいのですが、それだけ
ではありません。これも積極的に参加する意欲があるかどうかです。ちょっぴ
り照れながらも、顔を真っ赤にして挑戦する子、いいですね。
 
幼児は自分の考えを表すときに、言葉だけでは十分でない場合、どうするでし
ょうか。身体全体を使って表現しようとするものです。しかし、これは表現す
る対象をよく観察していないとできません。あざらしを見たことのない子に、
まねられるでしょうか。たとえお手本があっても、ぎごちないでしょう。見た
ことのある子は、「不思議な歩き方だな?」と思うはずです。「思う」とは、
注意を呼び起こされることです。「どこが、どう違うのかな?」と観察を始め
ます。
幼児の学習は、これが基本です。
興味があれば、細かいところまで見極めようとします。他の動物との違いを見
つけられれば、素晴らしい学習になります。大切なのは、実物を見ることです。
同じところと異なったところを見つける、類似差異の見分けです。そこから、
新しい知識が備わってきます。机の上で、いろいろと知識を詰め込まれても、
あざらしを見たことがなければ、はつらつと表現できるでしょうか。このテス
トの目的は、生活体験、自分を取り巻くものへの関心や、そういったものに対
する観察力ではないかと思います。
 
かつて、アメリカでベストセラーとなった「人生に必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」の第1章 私の生活信条(クレド)に、「不思議だな、と思
う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェーンを主人公にした子供
の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味を持つ言葉。“見
てごらん”」があります。(“  ”は引用者)幼児に大切なのは、教え込む
より、疑問の芽を育ててあげることではないでしょうか。
読んでいて兼好法師の「徒然草」とよく似た考え方があり驚きましたが、著者
のロバート・フルガムは牧師であったことから、「なるほど!」と肯けたもの
でした。
 
[共同制作]
クリスマス・ツリーを作ることを考えてみましょう。折り紙、モール、きびが
ら、発泡スチロール、リボン、厚紙などの材料から、セロテープやのりなどの
接着剤、はさみ、穴あけパンチ、ホチキスといった道具が用意され、相談しな
がら作ります。共同制作です。
「制作、得意なんです、私に任せといて!」
「苦手なんだ、はさみを使うの。手を出さないで見てよう!」
そうはいきません。みんなで相談しながら作ります。自主制作ではありません、
共同制作です。
 
最近、日出学園小学校では、4、5人のグループで模造紙1枚とクレヨン1箱
だけ用意し、課題を与え、相談しながら絵を描かせていますが、今年は「弁当
箱」でした。クレヨン1箱ということは、同じ色は2本ないことです。さあ、
どうすれば絵は完成するのでしょうか。
 
これは、本当に大変です。考えてください、全員、今日、初めて会ったのです。
幼稚園や保育園、幼児教室や近所の気心のわかりあった友だちではありません。
名前も性格も技量も趣味も、全く、わからない集りです。ですから、育てられ
ている環境が、姿を現します。
「自分のことは自分でしなさい!」
と、ご両親が自主性を培う育児に徹していれば、自分からやります。一丁しか
ない挟み、一本しかない黄色のクレヨン、どうすれば使えるかを考えます。
過保護、過干渉な育児では、自分の考えを言い、積極的に参加できるでしょう
か、できないと思いますね。学校側の狙いは、ここにあるのではないでしょう
か。
 
[お絵描き]
少し古い話でなんですが、ある年の幼稚舎の試験に、こういうのがありました。
教室に紙を貼ったイーゼルが立てかけてあり、その前に数種類の絵具が用意さ
れ、絵を描かせたのです。学校の狙いは、何でしょう。絵の巧拙でしょうか。
それはないと思います、挑戦する意欲だと思います。そうでしょう、4、5歳
の幼児が、イーゼルを使って絵を描く機会があるでしょうか。ほとんどの子ど
もは、「何だろう、これは?」となるに違いありません。新しいもの、未知な
るものに挑戦する意欲です。積極的に挑戦する子の好奇心は、旺盛です。これ
ですね。
体中から好奇心という触角を出して、うるさいほど知りたがるのが子どもです。
こういう子は、やります。筆につけすぎた絵具をボタボタ落としながらでも。
手や顔どころか、服まで絵具だらけになるかもしれませんが、幼稚舎の試験は、
体操着に着替えてしますから心配ありません。どうして、体操着に着替えるの
でしょうか、受験される方は、これを考えましょう。
 
ところで、「なぜ、イーゼルで絵を描かせたのですか」の質問に、「子どもの
表情を見たかったのです」とおっしゃった当時の舎長のコメントが印象に残っ
ています。なぜなら、一心に絵を描いている子ども達の表情は、実に生き生き
としているからです。知的能力だけではなく、身体全体から表われる子どもら
しい成長の証(あかし)を見ているのです。ここがポイントではないでしょう
か。
 
制作、絵画は、完成した作品の巧拙だけを見極めるのではありません。積極的
に楽しく取り組む意欲や共同で作業を進める協調性です。協調性は、社会性と
共に、大切な集団生活への適応力を育むものです。
ペーパーテストは満点を取っても、集団テストの苦手な子を、学校は歓迎する
とは考えにくいことです。社会性がどのくらい培われているか、子どもは態度
で示します。過保護、過干渉の環境では、意欲や集団生活への適応力に問題あ
りと判定されないでしょうか。
通っている幼稚園の先生や保育士さんに聞いてみましょう。「集団生活に、少
し心配な点がありますね」などの答があった場合は、「ものすごく心配な点が
ある」と受け取り、お子さんに対する育児の姿勢、取り巻く環境を総点検する
必要があります。
 
繰り返しますが、「ご両親の育児の姿勢」を総合的に判定するのが、小学校の
入学試験です。このことを、肝に銘じておくべきではないでしょうか。
(次回は、運動テストについてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園の試験とは

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第4
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幼稚園の試験とは
 
[「幼稚園の試験とは」に関しては、以前、(株)攻文社から発行された拙著
の「ご存知ですか、お母さん! 幼稚園編」(現在は発売されていません)の
原稿の一部を、加筆、訂正したものを紹介しましょう]
 
一般に、幼稚園の試験は、
  ・集団テスト
  ・運動テスト
  ・個別テスト
  ・面接テスト
の4項目に分けることができます。
といっても、幼稚園の生活は、小学校のように1時間目国語、2時間目算数と、
教科別に学習しているわけではありませんから、ほとんどの幼稚園では、集団
テストの中で、発達状況を判定するために必要な領域が組み込まれた形式にな
っています。
また、知的な能力も「数能力・記憶力・推理、思考力・言語力」といったよう
に、領域ごとに分けて判定しているわけではありません。テストの流れの中で、
いろいろな課題を通して、知育・徳育・体育の3つの能力が、バランスよく発
達しているかを総合的に判定するものですが、ここでは説明の便宜上、4つの
形式に分けてお話しましょう。
 
[集団テスト]
5名から20名単位で行われ、試験官は3名から6名程度。
自由遊びが中心で、ままごとセット、ブロック、積み木、ぬいぐるみ、木製の
家(中に入れるもの)、滑り台、粘土、お絵描き道具、絵本などの中から、好
きなものを選んで遊ばせます。遊んでいる様子から、社会性や協調性などの集
団生活への適応力、基本的な生活習慣やしつけ、性格、2歳児から4歳児にふ
さわしい知的な能力が備わっているかなどを観察します。
 
[運動テスト]
自由遊び、集団テストの延長として行われることが多く、年齢にふさわしい運
動能力が発達しているかを判定します。
先生方の話を聞き取り、指示通りに行動できるか、指示の理解と行動力などを
みていると共に、通園は保護者と一緒ですが、都心の幼稚園に通うには体力が
必要ですから、心身の発達の状態も考慮されています。
 
[個別テスト]
1~5名単位で行われることが多く、先生の指示に従い、絵や話の記憶、積み
木などでものを作ったり、折り紙、クレヨンなどを使い基本色を理解できてい
るかどうかをみます。
また、小道具を用いて数の理解や形(○、△、□など)の構成など、いろいろ
と工夫されて出題されます。
年齢にふさわしい知的な能力を判定しますが、日常生活で幼児が体験できるこ
とが基本になっています。
 
[親子テスト]
親子が一緒になって、指示された問題に取り組むものです。
挑戦する様子や雰囲気、会話などから、普段の育児の姿勢も判定されます。
 
[面接テスト]
園長先生を中心に2、3名の試験官によって行われ、両親の育児の姿勢と幼稚園
の保育の方針に違和感がないかなどを判定するもので、ほとんどの幼稚園で親子
同伴の面接が行われます。
テストを受けるのは、2歳から4歳の幼児で、能力の差など見極めにくい年代で
すから、両親面接の占める比重は大きく、幼児の発育状態2割、両親の面接8割
とさえ言われています。
父親には「園を選んだ理由、志望理由」、母親には「育児の姿勢」などを中心に
した質問が行われています。ご両親には、かなりのプレッシャーがかかるようで
すが、きちんとした準備をしていれば問題ありません。
子どもには、成長の様子がわかる簡単な質問が中心になっていますから、年齢に
相応しい幼児らしい対応ができれば問題はなく、「面接試験!」などと大げさに
考える必要はありません。
 
以上、試験の概要についてお話しましたが、狙いがどこにあるか、おわかりいた
だけたと思います。幼稚園側は、ご両親の育児の姿勢と成果、といっても、まだ
出発したばかりの、しかも中間報告のようなものですが、そこをみているのです。
育児は、毎日の積み重ねであり、今日あるお子さんの姿は、ご両親の「育児の成
果」であるからです。
その育児の方針と園の保育の方針に違和感や矛盾がなく、共通認識のあることが、
合格への道につながるわけです。入園準備は、「はじめに有名幼稚園がありき」
ではなく、「はじめに我が家の育児の方針ありき」でなければならない理由は、
ここにあります。
 
ある名門小学校の説明会で、校長先生が、こうおっしゃったことがありました。
 
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを、泥縄式に詰め込んで、受験準備、
事足れりとお考えでしたら、それは誤りであることに気づいてほしい」
 
幼稚園の受験準備も同じこと、いや、年齢を考えると、泥縄式に詰め込むのは、
もっと危険であり、心がゆがんでくることを忘れてはならないでしょう。まして
や、志望する幼稚園の保育方針に合わせるために、育児の方針を変えるなどは、
賢明なお母さん方のやるべきことではありません。
 
次に、有名幼稚園で実施されている入園テスト内容について説明いたしましょう。
 
(1)プレイ・ルームでの自由遊び
2歳から4歳の幼児であれば、当然、興味を示すおもちゃが用意されたプレイ・
ルームで、10数人の子どもたちが遊んでいます。
 
ほとんどの入園テストは、自由遊びから始まります。
幼児には、初めて入った所であり、初めて会った先生であり、初めて会ったお友
達という、「初めて尽くし」の経験です。ここで泣いて入室できなければ、失格
になる幼稚園もあるといわれていますが、多くの幼稚園の場合、大らかに対処し
ているようです。「お母さんのもとを離れても楽しいことがある」ことを、きち
んと体験しているお子さんは心配ありません。入園テストの第一関門は、お母さ
んから離れることができるかどうかなのです。
 
入室した子どもたちは、先生方のやさしい誘導を受け、じゅうたんの上に靴を脱
いであがります。靴の向きを変え、きちんと並べられる子もいます。教室で見て
いても、その仕草はあどけなく、とても可愛いものです。そして、遊び道具が目
に入ると、遊びがはじまります。子どもは遊びが仕事ですから、いろいろなこと
がわかるものです。
例えば、おもちゃを見ても何の反応も示さない子、逆に、遊ぶことより所有欲が
先行し、おもちゃを独り占めすることに熱心な子、一つのおもちゃで満足して遊
んでいる子、かと思えば、次から次へと手を出しては飽きて放り投げてしまう子、
お母さんのことが気にかかり、おもちゃで遊ぶどころではない子、どうしてよい
のかわからずに泣きだす子など、さまざまです。また、友達と仲良く遊ぼうと積
極的に話しかける子、反対に引っ込み思案でうまくとけこめない子、協調性のな
いわがままな子、神経質な子といったように、その子の性格や社会性、言語の発
育状況などもわかります。
 
繰り返しますが、子どもは遊びが仕事であり、新しい体験を積み重ねる場です。
遊びを支えているのは、好奇心です。旺盛な好奇心こそ、幼児の心身の発育を促
す原動力です。幼児にとって遊びは、生活の基本的なリズムであり、健全な発育
をとげているかどうかを知るバロメーターでもあるのです。ですから、どのよう
な育児をしてきたか、その結果が、無心に遊ぶ子どもの姿に、ごく自然に表われ
ます。
「育児、それは生まれて今日までの、ご家庭における教育の集大成である」とい
われる理由は、ここにあるのです。
 
友達と仲良く遊ぶには、コミュニケーションが求められます。それには、年齢に
ふさわしい言語の表現力、理解力が必要です。コミュニケーションができれば、
楽しく遊ぶには、自分のやりたいことだけを押し通せないことや、仲良くするこ
と、また守るべきルールのあることなど、いわゆる共通の約束事、社会性が必要
であることもわかってきます。ですから、友達と仲良く遊べる子は、自分の考え
を言葉で表現でき、相手のいうことも理解でき、わがままは通らないといったこ
とを知っているわけです。これは非常に大切なことで、幼いながらも、年齢にふ
さわしい自我と自我をぶつけあい、やっていいこと悪いことを、体験を経て学習
し、身につけているのです。
 
このように自由遊びを通して、子どもを取り巻く環境、子育ての姿勢がにじみ出
てくるもので、これほど正直に表われるものもないでしょう。幼稚園側の狙いは、
ここにあるのです。
 
以前にもお話しましたが、4歳児の話せる言葉は、1500以上と飛躍的に伸び
てきますが、お母さんと一緒に遊んでいるだけでは、なかなか増えないものです。
子どもは、いつも使っている言葉を、無意識の内に学習していくもので、子ども
同士の遊びが不足すると、当然、話す機会も少ないため、うまくコミュニケーシ
ョンができないものです。核家族化、少子化に伴い、兄弟、姉妹も少なく、近所
に同じ年齢の子どもがあまりいないなど、子どもを取り巻く環境の変化を見逃す
ことはできませんが、だからといって、子どもを一人で遊ばせ、お母さんだけが
相手の毎日では、やはり、コミュニケーションがうまくいかない子になりがちで、
引っ込み思案な子、わがままな子になる傾向にあるようです。3年保育が過熱気
味にあるのも、こういった環境から、わが子を解放してあげたい気持ちが強く働
いているのではないでしょうか。
 
[親子テスト]
ところで、お茶の水女子大学附属幼稚園や暁星幼稚園、白百合学園幼稚園、雙葉
小学校附属幼稚園のように、親子でプレイ・ルームへ入り、一緒に遊ぶテストが
あります。遊ぶ様子から、普段の親子のかかわり方、母親の心遣い、親子の絆な
どを見ています。
 
例えば、以下のような態度を示したお母さん方から、先生方は、どのような印象
をもたれるでしょうか。
「子どもだけ遊ばせ、お母さんは見ている」
「子どもよりお母さんが夢中になってしまう」
「むやみに注意や指示を出し、その言葉がきつい」
「自分の思い通りにならないからと、子どもを叱ってしまう」
「(積み木の模倣構成など)間違いをすぐに注意する」
いかがでしょうか。
 
冷静なときには隠せても、わが子が苦戦をし、うまくいかないと、本性の表われ
るお母さん方がいます。普段、お子さんを叱るときの言葉遣いを思い出してくだ
さい。語気鋭く、かなり乱暴な言葉になっていないでしょうか。そういった傾向
にあると、つい、言葉が、態度が、正直に出やすいものです。逆に、親子で楽し
く遊ぶ姿からは、あたたかい家庭の雰囲気や育児の姿勢がうかがえ、先生方にも、
よい印象を与えるのはいうまでもありません。こういったところに、日頃の家庭
の素顔が出がちなのです。
 
子どもだけ遊ばせているのでは、一緒に遊ぶ目的を達していませんから論外です。
子どもの自主性に任せるのは結構ですが、「お母さんと一緒に」と指示されてい
ることに注意してください。遊びを通して、普段、どういった生活を送っている
かを見ているからです。
また、いかにも育児に専念していますとばかりに、その熱意を示すのはいいとし
ても、お子さま不在の遊びは、これも問題外です。
 
以上のケースに関しては、まだ笑って済ませられますが、子どもを叱り、その叱
る言葉がお母さんらしくない品性に欠けるものであったらどうでしょうか。たと
え、その時まで順調に進んでいたとしても、大きなペナルティーとなるのはいう
までもありません。
 
さらに、何から何まで指図をし、どちらが主人公なのかと、先生方を苦笑させる
過干渉型のお母さん方もいます。こういったお母さんのもとでは、2歳児から4
歳児に、もっとも大切な好奇心は育ちません。好奇心は、小さな疑問を解決する
意欲を育てる起爆剤です。その意欲から行動が生まれ、試行錯誤を積み重ねて得
たものが知恵となります。これは、勉強をして身につける知識ではなく、子ども
らしい子に育っていくために、体験を通して培われた、大切な知恵です。
好奇心は意欲を育て、意欲は知恵を育みます。
 
「どうも、うちの子は消極的で、私がいないと何もしないのですよ」
と嘆くお母さん方がいますが、それは、お子さんが好き好んでそうなったのでは
なく、育児が、過干渉な結果であることに気づいてほしいですね。
 
また、ある幼稚園のジェスチャー遊びで、「掃除機を使って掃除の真似をする様
子」を演じたところ、子どもには、何のことかわからず、なかなか答えが出ませ
ん。
「ほら、ママが、いつもこうやっているでしょう?」
「あっ、ゴルフだ!」
と答えたそうで、笑い話のようですが本当にあった話です。お母さんはキャリア
ウーマンで、一緒に住んでいたおばあちゃんが、家事を仕切っていたことから起
きたものですが、考えさせられたものでした。普段、母親の家事をする様子をあ
まり見ていない結果だったわけです。
料理、洗濯、掃除などをお母さんがやっていれば、こういうことも起きないでし
ょうが、育児の大半をベビーシッターなどに任せているようでは、こんな時に、
しっくりといかない親子関係が、顔をのぞかせる可能性のあることも、肝に銘じ
ておきましょう。
(次回は、「幼稚園のテスト(2)についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>話の読み聞かせ (2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第4号-
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第1章 (1) 情操教育、難しく考える必要はありません
 
話の読み聞かせ (2)
 
「竜宮城って、おもしろいところだな。絵に描いてみようかな!」
となると絵画の領域です。幼児期の絵は、写生ではなく、イメージ、想像して
描いたものです。ファンタジーの世界ですから夢もふくらみます。絵を描こう
とする動機は純粋です。幼児には、この「……かな?」がついた時こそ、好奇
心の芽を育む絶好のチャンスなのです。「小学校の入学試験に、絵を描かせる
学校があるから、絵画教室に行きましょう」と考えて始めるのは、子どもの希
望ではありませんから、絵を描くことが好きになるとは思えません。
 
最近、絵を描くことをいやがる子どもが増えていると聞きますが、想像力が培
われてくる前に、大人の求める望ましい上手な絵を期待するからではないでし
ょうか。感性が磨かれなければ、絵は描けません。
 
(環境+五感が受けた刺激)×(想像力×好奇心÷そしゃく力)=描かれた絵
 
妙な式ですが、冗談、冗談です。
専門家の先生方に叱りとばされますから、深く詮索なさらずに読み流してくだ
さい。感性は、子ども自身が与えられた環境の中で、自らの力で培ってきた
「自前の性能」ではないだろうかといいたいのです。親が、注文を付け始める
と、おもしろくない絵になりがちだからです。
 
お子さんの絵について、振り返ってみましょう。
2歳頃から、点や線の殴り書きが始まったのではないでしょうか。
3歳頃から、直線や曲線を使って○や□らしきものが表われ、それこそ、ある
日突然、頭から手足がニョキニョキ出ている頭足人間を描いたと思います。
やがて、頭と体が分かれ、一応、人間らしくなりますが、手は電信柱のように、
横に真っすぐのびたままで、年長になって、やっと手も下におり、人間と認め
られる絵になったのではないでしょうか。
ここまで表現できるようになるには、これだけの段階を踏んでいるのです。絵
は、言葉や身体表現と比べ、差のつきやすい能力といえます。うまい絵を求め
るより、何を描きたがっているのか、その内容に注目し、楽しく描ける雰囲気
を作ってあげることが大切です。
 
「絵は心の窓」ともいわれ、心の屈折が表れるそうです。冷静にお聞きくださ
い。もしかしたら、遺伝もあるかも知れません。ご両親、特に、お母さんは子
どもの頃、どういった絵を描いていたか、ご自身のお母さんに聞いておきまし
ょう。
 
話の読み聞かせの効果は、まだ、あります。
むかし話をはじめ、子どもの読む本は、勧善懲悪から成り立っています。正義
は、必ず勝ちます。倫理、道徳、善悪について、襟を正して説教をしなくても、
きちんと学習しています。言ってみれば、お子さん用の「修身、道徳講座」で
す。情操教育の基礎、基本を学習しています。
このことです……。
 
3歳を過ぎる頃から自立が始まります。自立が始まると、いろいろな経験を重
ねながら、さまざまな感情も一緒に培われます。これが情緒です。この情緒の
分化が、5歳頃から始まります。
赤ちゃん時代は、「ママ!」の一言で全ての要求を表し、ついこの間までは、何
でも泣くだけで表現していたことを考えれば、言葉で表せるのは、格段の進歩
ではないでしょうか。
 
今まではおもちゃ箱の中に、乱雑に入れられていたおもちゃが、「自動車はこ
こ」、「縫いぐるみはこっち」、「ままごと道具はあっち」と、きちんと整理
されて行く状態になるのです。まだ、整然とはいきませんが。
つまり、未分化だった情緒が分化されて、大人に見られるような、「喜び、怒
り、楽しみ、悲しみ、望み、不安」といった情緒が表れ、いろいろな話を聞く
ことから、喜怒哀楽など心の動きを誘い起こされ、幼いなりに自我を作ってい
るのです。
 
ずる賢い人には怒りを覚え、悲しい話になると涙ぐみ、正直な人が報われると
笑顔を見せ、恐い話になると表情も変わってきます。話をきちんと理解してい
る証拠です。正しいこと悪いことの分別を、感情を移入しながらシミュレーシ
ョン学習をし、幼いながらも、正義に対する憧れや悪に対する嫌悪感を養って
いるのです。それが自我であり、個性を培っていく基本的な学習になっている
のです。
「三つ子の魂百まで」の意味は、ここにある事も忘れてはならないでしょう。
小学校受験編でも紹介しましたが、英語では
“The leopard cannot change his spots”
というそうで、世の東西を問わず、育児の鉄則となっているようです。 
 
まだ、あります。これが最も大切だと思います。お母さんが感情こめて読んで
あげると、子どもは真剣に、心をこめて聞くものです。そこから、人の話を静
かに、行儀よく聞く姿勢が身につきます。これは、これから始まる小学校の勉
強に、スムーズに取り組むために身につけておきたい、大切な心構えであり、
学習態度です。話が聞けないようでは、いくら漢字が読め、足し算や引き算が
でき、九九をそらんじていても、駄目です。小学校の先生に聞いてみると、み
なさん、そうおっしゃいます。それほど、話を聞く姿勢を身につけることは大
切なのです。話を聞く姿勢ができていないと、勉強についていけず、落ちこぼ
れることにもなりかねません。
 
あまり本を読んであげずに、
「人の話は、キチンと聞かなくては駄目だと、お母さんはいつも言っているで
しょう!」 
と、恐い顔して、厳しく、何十回と言っても無駄でしょうね。言葉だけで説得
できません、態度で示すに限ります。本を読んであげることで、お母さん自身
が、よいお手本を見せています。
それが、話を聞く姿勢を身につける訓練になっているのです。
 
ひたすら自己中心に行動する子や、落ち着きがなくじっとしていられない子に
なる原因の一つとして、話を聞きたがる大切な時期に、読み聞かせを怠ったこ
とも考えられるのではないでしょうか。モンテッソーリの「敏感期」で、その時
期に著しく成長し、それを過ぎると鈍感になる成長過程のことです。真偽の程
は定かではないようですが、言葉の敏感期に人間の言葉に触れなかったため、
言葉を話せないまま成長したインドの狼少女は、敏感期を実証した話ではない
でしょうか。
マリア・モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教育を実施
し、知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困層の健常児を対
象にした保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。以後、
モンテッソ―リ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになった。
(ウィキペディア フリー百科事典より)
 
それはともかくとして、話の読み聞かせは、予想もつかない力も育みます。
話がおもしろければ、そしてそれが長編ともなれば没我の世界の中で、一つの
ことに集中できる持久力や耐久力さえ身につきます。気力や体力は、運動だけ
で培われるものではありません。こういった精神力を鍛えることで、物事に取
り組む意欲や頑張る力も育まれます。
 
さらに、すごいと思うのは、
「言語能力を高めるためのお勉強ですよ!」
といった意識は、読んでいるお母さんも、聞いているお子さんにも、全くない
はずです。無意識の内に、自主的に、積極的に、しかも楽しく学習しています。
これこそ、「教えない教育」の最も効果的な方法ではないでしょうか。「教え
ない教育」とは、誤解を恐れずに言えば、本人は、勉強だと思っていないにも
かかわらず、ものすごい勉強をしていることです。何かを学ぼうとする気持ち、
学習意欲が身につきます。
 
しつこいですけれど、まだ、あります。
お母さんの表情豊かな、やさしい語りかけが、何よりのスキンシップなのです。
ですから、本をたくさん読んであげるお母さんは、子どもに慕われます。それ
は、お母さんとお子さんが、同じ土俵に上がり、同じ気持ちで、物語の世界を
楽しんでいるからです。お母さんは、こんな荒唐無稽な話などありえないと思
っても、また少し抵抗を感じる言葉でも、一切、無視し、お子さんのレベルに
合わせて読んであげているはずです。視線は同じ高さですから、心は通います。
視線の高さが違ってくると、命令と忍従の関係になりがちです。
 
しかし、一つだけいっておきたいことがあります。
いくら話の読み聞かせは素晴らしいといっても、お子さんが興味を示さない本
では、あまり効果はありません。「少年少女 世界名作全集 全十巻」などを
買い揃えるのはどうでしょうか。
「本当は、『かちかち山』の話、読んでもらいたいのだけど……」、こういっ
たことは、小さい時から、とかくありがちです。気を遣ってください、親の考
えを押し付けるのは、決していいことではありません。私たち親は、とかく子
どものためによかれと思ってやることが、案外、子どもには迷惑な話となって
いる場合があるものです。「あなたのためなのに……!」という前に、親のエ
ゴが優先していないか考えましょう。
(お断わり 同名の「少年少女 世界名作全集 全十巻」があったとしても、
その本とは一切関係ありません)
 
また、ご両親が子どもの頃に読み、印象に残った本を読んであげることもある
でしょうが、
「どう、面白かった?」
といった言葉がけはやめましょう。親のイメージを押し付けることになりがち
だからです。
「ケンちゃん、どうだったかしら?」
と軽い気持ちで聞き、反応が今一の場合は、引き下がる思いやりも必要です。
読んでほしいとリクエストがあり、数回読んであげて、しっかりとしたイメー
ジが出来上がってから、感想を聞くようにしましょう。
 
ところで、本の選び方ですが、一緒に図書館へ行き、最初はお母さんが選んで
あげ、後はお子さんに任せてみましょう。お子さんが選んだ本は、たとえ、年
齢にふさわしくない幼い内容であっても、いやな顔をせずに読んであげてくだ
さい。そして、自分で選んだことをほめてあげましょう。お子さん自身が興味
を持たなければ、本の好きな子にならないからです。読書の芽は、ご両親の優
しい心遣いから培われるものではないでしょうか。
 
また、「読書の時間です」などと、スケジュールをキッチリと組むのもどうで
しょうか。お子さん自身に読んでほしいという意欲がないときは、あまり効果
的とは言えません。お子さん自身が望んだときが、最高の教場となるからです。
習慣にしてよいのは、寝る前に読んであげることではないかと思います。昨年
6月に再開された横浜雙葉小学校の説明会でも、学園長は「お子さまと添い寝
をしながら本を読んであげる機会が少なくなっているのでは」と懸念されてい
ましたが、皆さん方はどうでしょうか。
 
最後に、図書館には紙芝居がたくさんありますが、利用してみましょう。紙芝
居は、絵と言葉の表現に無駄がありませんから解りやすく、また、親子で向き
合っていますから、お子さんの表情がよく見え、どういったことに興味をもっ
ているかがわかるからです。
 
ところで、図書館で騒いでいる子や遊んでいる子もいますが、公衆道徳を教え
るのは、ご両親の大切な仕事です。手を抜いていると、あとで困るのは、お子
さん自身です。
 
また、借りた本は大切に扱う習慣をつけましょう。落書をされた本やジュース
などをこぼしたあとさえ残っているものも見かけます。「みんなで使うものは
丁寧に扱う」、これも守らなければいけない規則です。たった1冊の本から、
育児の姿勢が至るところに顔を出しています。
 
そして、返却期日は、必ず、守りましょう。こういった約束事は、幼児期にき
ちんと身につけてあげれば、お子さんの人格形成の礎にもなるからです。繰り
返しますが、「三つ子の魂百まで」は、「良い習慣は幼児期に身につく」こと
を伝える、育児の鉄則ではないでしょうか。
 
このように、幼児期は、文字を教えこむより、心をこめて本を読んであげ、心
の通った会話ができる環境を作ってあげることが大切です。「文字よりも言葉」
です。小学生になれば、覚えた言葉を文字で表す学習に進み、国語を楽しく勉
強できるようになるものです。これが私の考えているご家庭でできる「情操教
育の基礎、基本」ですが、納得していただけたでしょうか。
(次回は、季節の行事についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>[2]5つの試験形式 個別テスト

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第21号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■ 
(2) 個別テスト
 
文字通り、先生と一対一、個別で行われるテストです。口頭試問と考えたらい
いでしょう。
しかし、幼児のことですから、言葉だけでは答え切れません。おはじきやプレ
ート、絵、時には本物や、それに近い物を使って出題され、おはじきを置いた
り、絵に指を差して答えたり、プレートで指示された形を作ったりします。学
校によっては、いくつもの部屋を回り、何人もの先生とお話しする場合もあり
ます。
 
この形式では、ペーパーテストと異なり、設問を聞き逃しても、「それまで!」、
ゲームセットとはなりません。勇気があればの話ですが、聞き直しができます。
幼児のテストは、こういった個別テストが適しているのではないでしょうか。
しかし、答える子ども達には、つらいことになります。口頭試問の場合、問題
を聞き、考え、言葉で答えるからです。ペーパーテストでは、答えがわからな
くても、適当に印をつけても正解になる場合もあります。時には、偶然が支配
する幸運もあります。個別テストには、それがなく、全部、自分でやらなけれ
ばなりません。育てられている環境、そのものがズバリと顔を見せます。
 
育児が過保護や過干渉になっていると、親離れができていませんから困るでし
ょう。
「ママ、手伝って!」
「どうしたらいいの、ママ!」
そんなことを言っても、誰も手を貸してくれません。態度も、オドオドとして
落ち着きがないでしょう。
こういった子育てをしているお母さん方は、おくめんもなくおっしゃるそうで
す。
「私となら何でもできるのに。やっぱり、コネなんだわ!」
少し解説が必要ですね。試験を受けたのですが、合格しませんでした。その子
は、お母さんと一緒であれば、何でもできる抜群の能力の持ち主だそうです。
ですから、落ちたのは成績ではなく、出身者ではないから、また、紹介者、つ
まり、コネクションがないために、合格しなかったとおっしゃりたいらしいの
です。出身者だけを入学させたくても収容人員は限られていますし、紹介者が
いれば合格するのであれば、受験料を取ることは詐欺行為になります。ですか
ら、こういった怪情報は、単なる噂に過ぎません。
慶應義塾幼稚舎や青山学院初等部のホームページをご覧ください。「推薦状や
紹介状は必要ない」、「用意しても受け取らない」と公表しています。
 
小学校の入学試験の狙いは、お母さんのもとを離れて、「一人で、どれだけの
ことができるか」であり、頼りになるのは自分だけです。 こういうお母さん
方が、面接で、「お子さんを育てるにあたって、どういったことに気をつけて
いますか」と聞かれたとします。すると、お母さんが、格好よく、「子どもの
自主性を育てることに留意しています」と答えたら、先生方は「……!?」と
なるでしょうね。
 
個別試験に対して、入学試験問題集を買い込んで試験に備えるのは、試験があ
る以上、やらねばなりませんが、子どもの発育状態、生まれ月、これを考えず
にやってしまうと、困ったことになりかねません。
 
例えば、一枚の絵を見て自分で話を作る問題があります、創作です。うまくで
きないと、お母さんが作った話を記憶させるようです。大人の考えた話や発想
は、大人のものですから、子どもは抵抗を感じないでしょうか。うまくでき過
ぎているからです。それを覚えさせるそうですが、自分で考えたものではなく、
お母さんの創作ですから、ついていけません。そして、記憶させられた話は、
忘れやすいものです。しかし、お母さんの前では、大丈夫なのです。何回も繰
り返し教え込まれるのですから、覚えるでしょう。
 
ところが、小学校の入学試験は、生まれて初めて入った場所で、初めて会った
先生のいうことを聞き、いろいろなことをしなければなりません。場所が変わ
り相手が変わると、うまくいかないものです。プレッシャーが、かかるからで
すね。大人の世界でもあるでしょう、ブルペン・エースです。練習では豪速球、
生きたボールを投げるのですが、マウンドに立つと平凡なボールを投げては、
ノックアウトされるピッチャーのことです。
 
さらに、問題集にある通りの絵が出てくる幸運は、ほとんどありません。たと
え幸運に恵まれても、先生は、お母さんに教えられたとおりに、聞いてくれる
保証もありません。同じような問題でも、ちょっとひねられると、それで、お
しまいです。先生方も、そこを見ていると思います。子ども自身の考えかどう
かですね。ですから、単に記憶させるだけでは駄目なのです。
 
ペーパーテストは、答えがあっていても、子ども自身の考えかどうか、わから
ない場合もあります。
個別テストは、ここが、はっきりとわかります。これが、いいですね。子ども
が自信を持って答えられるのは、日常生活で、きちんと体験していることです。
 
また、親の教育に対する姿勢も、はっきりと表れます。
「うちの子、引っ込み思案で、消極的だから、個別テストに向いていないわ」
とおっしゃるお母さんがいますが、子どもが好き好んでそうなったのではなく、
お母さんの育児の姿勢がそのまま表れているだけです。試験の形式だけで学校
を選ぶようでは、本末転倒な話で出発点から誤りです。
 
私学には、独自の建学の精神、教育理念があります。ご両親の教育に対する考
え方と、学校の教育方針に共通認識があり、限りなく近いことが、学校選びの
条件です。小学校の教育は、家庭と学校とお子さんの三人四脚で行われるもの
であり、決して忘れてはならないことです。
ところで、女の子で、一人っ子であると、消極的になりやすいものです。しか
し、過保護から身についた甘えん坊や、過干渉からなってしまった消極的な性
格から出る引っ込み思案とは、違います。一人っ子でも、自分でやるべきこと
を、きちんとさせているお母さんに育てられていると、一所懸命に取り組みま
す。わからない問題にぶつかっても、簡単にあきらめません。精一杯、挑戦し
たのですが、できなかったとしても、
「わかりません」
という顔に、悔しさこそあれ、明るいそうです。普段の生活が、そのまま出て
いるからです。失敗を恐れずに、一所懸命に考え、頑張り、挑戦する意欲のあ
る子に育てたいと考えているご両親の姿が、そこにあるからです。学校側の求
めている子は、こういう子です。自分で考えていることを、自分の言葉で話せ
る子です。
 
前にもお話しましたが、最近は、こういった問題が増えています。
◇机の上に半そでのYシャツと、近くの箱に500mlのペットボトルとプラ
スチックのコップ3個と黄色と赤色のリボンが入っている。
 ・Yシャツを着て、ボタンを留めましょう。
 ・箱からペットボトルを出し3個のコップに同じになるように水を入れまし
  ょう。
 ・終わったらペットボトルに黄色いリボンでちょう結びをしましょう。
 ・最後にYシャツを脱いで、たたんでください。
 
基本的な生活習慣やしつけ、自立心までわかります。個別テストからは、子ど
もの生育史をみることができるのです。それが、ご両親の育児の姿勢であり、
学校側のいう「ご家庭の教育方針」です。こういったことを理解していないと、
ご両親が面接で、どんなに格好のいいことをいっても、そうでないことをお子
さんが、きちんと見せるものです。
 
個別テストでは、自立心や自律心がどの程度、培われているかもはっきりと表
れます。「自分の考えを言葉で表す」のは、幼い子ども達には、とても難しい
ことですが、基本は、ご両親との対話から培われるものです。「対話の反対は
沈黙ではなく、命令と強制です」とおっしゃったのは、立教小学校の元校長で
あった田中司先生で、本校のペーパーテストを廃止した方です。「こうしなさ
い」「それはだめ」などと一方通行では、対話は成り立ちません。お子さんと
の対話を弾ませることから、言葉で考え、表現する力は培われます。
 
お子さんは、ご両親の目を見ながら楽しく話をしているでしょうか。
(次回は、集団テストについてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>2、3歳児の心身の発達特徴 

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第3
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2、3歳児の心身の発達特徴 
 
高校や大学受験のように、受験生の成績だけで合否を決められないのが、幼稚
園や小学校の受験です。幼稚園の場合、3年保育のテストは、10月から12月
にかけて行われますから、早生まれのお子さんは、2歳で受験生になります。
 
桐朋幼稚園を除き、幼稚園で実施されているテストの内容を、具体的に発表し
ていませんが、一つの目安として、文部科学省が公表している資料があります
ので、それを参考に検討してみましょう。そうすれば、幼稚園入試は、子ども
達の発達段階を踏まえて行われていることもわかると思います。
 
それから、市販されているガイドブックなどをご覧ください。幼稚園側も、2
歳児、3歳児の試験には、いかに苦労しているかがわかります。さらに、うわ
さの一つでもある、「何でもできる、頭のいい子」だけを求めていないことも、
理解していただけるはずです。
 
繰り返しますが、幼稚園の入園テストは、子どもの知的な能力だけを見ている
のではありません。妙なうわさに惑わされないためにも、2、3歳児の発育状
態を見て、しっかりと理解してほしいと思います。
 
これは、昭和23年3月に、文部省令改正によって、教育課程の基準に定めら
れたもので、保育要領(幼児教育の手引き)の中で紹介されている「幼児の心
身の発達特徴」です。古いものですが内容は、身長や体重といった身体の発達
以外は現代にも通じます。戦後の混乱期に、こういうことをやっていた方々が
いたのですから、頭が下がります。国家の復興の礎は、何と言っても教育だか
らです。
 
[身体の運動的発達]
 ◇2歳児◇
 1.倒れないで走れる。
 2.一人で階段を昇降できる。
 3.大きいボールを蹴る。
 4.積み木三個を積み上げて塔を作る。
 5.垂直の線を模倣して引く。
 6.紙を一枚ずつめくる。
 7.さじを上手に使う。
 
 ◇3歳児◇
 1.両足をそろえてとぶ。
 2.脚を交互に踏み出して階段を上がる。
 3.円を描いてみせるとまねて描く。
 4.積み木で橋を作ってみせるとまねて作る。 
 5.正方形を模写する。
 6.はしを使うことができる。
 7.はさみを使うことができる。
 8.ボタンの掛けはずしができる。
 9.くつをはく。 
 10.水が半分ぐらい入ったコップを持ち運ぶ。
 
こういった身体の運動的発達を踏まえ、幼稚園で行われているテストをみると、
「なるほど」と肯けますし、積み木を使った模倣構成なども標準的な発達から
逸脱していないこともわかります。
 
[知的発達]
 ◇2歳児◇
 1.見慣れた物の名前を言うことができる。
 2.性の区別がわかる。
 3.自分の名前を言うことができる。
 4.絵の中の物を3つ以上列挙する。
 5.過去と現在の区別がわかる。
 6.簡単な形の区別がわかる。
 7.目の前にない名前を言うことができる。
 
 ◇3歳児◇
 1.絵を描いて命名する。
 2.仮定的な場面を考えることができる。
 3.四つの物を数える。
 4.短文(二・三語)の反復ができる。
 5.空間関係(上、下、前、後)を了解する。
  
言葉、話し言葉が急激に伸びていく時期で、語彙も2歳児で二百前後、3歳児
で八百から千、4歳児では千五百以上と飛躍的に増えてきます。名前を呼ばれ
ると返事をし、「いくつですか」と尋ねられると「ふたっつ」といえるように
もなります。
ある幼稚園では、幼児に立て続けに質問をすることから、立て板に水のごとく、
よどみなく答えられなければ合格しないといわれているようですが、それもお
かしなことだとわかります。2、3歳児の知的な発達は、この程度なのです。
空間認知能力といわれる上下、前後のほか、大小、高低、長短もわかり始め、
数も3~4個のものを数えられるようになります。しかし、比較して「うちの
子は?」などと思い悩むことはありません。これはあくまでも標準データで、
まもなくできるようになります。
 
[情緒的発達]
◇2歳児◇
 1.恐怖、不安、ちょっとした不快感などのためにもすぐに泣きやすい。
 2.新しい場面にはほとんど何時でも恐怖心を示す。
 3.かんしゃくを起こしやすく、その時泣いたり、引っ掻いたり、 足踏み
   したりする。
 4.喜びを表すのに微笑みや笑いをもってする。
 5.子どもより大人に対して親愛の情を表す。
 6.感情の興奮のためお漏らしをすることがたびたびある。
 7.嫉妬心を起こしはじめる。
 
◇3歳児◇
 1.困ったり、非常に不愉快なこと、苦痛があると泣きやすい。
 2.だんだん特殊なものを恐がりはじめる。(犬や猫など) 
 3.まだときどきはかんしゃくを起こすことがある。     
 4.喜びを言葉で表現することがある。
 5.子供どうしの愛情を表わしはじめる。
 6.小さいものをかわいがりはじめる。
 7.大人の干渉をいやがる。
 
2歳児は、まだまだ情緒の不安定な時期ですから、しっかりとした親の保護が
必要なこともわかります。情緒が不安定なのは、自立の準備が始まっていて、
何だかよくわからないけれど、やってみたいのだが、うまくできないもどかし
さや苛立たしさといいますか、今までなかった感情の変化に、幼児自身も戸惑
っている時期ではないでしょうか。
 
3歳児には、大人の干渉を嫌がる兆しが現われています、反抗期です。自立の
準備が、着々と進んでいることもわかります。こういう時期の受験ですから、
親の思い通りにはならないものです。やはり、熟練のスタッフを備えた幼児教
室での適切な指導が歓迎されているのは、こういった状況のもとでの受験だか
らです。
 
[社会的発達]
◇2歳児◇
 1.簡単な衣服を引っ張って身につける。(ソックス、指なし手袋等)
 2.家の中のことのまね遊びをする。
 3.一人遊びと並行遊びが多い。
 4.反抗期が始まる。
 
◇3歳児◇
 1.手を洗う。
 2.他人の注意を引くためによく質問をする。
 3.社会活動の中に入りはじめる。
 4.順番を待つことがわかる。
 5.ごっこ遊びが多くなる。
 6.自己主張が強く、反抗的になることが多くなる。
 
自分でやってみようとする意欲は、模倣、まねとなって現われてきます。「模
倣 まねる」は「学ぶ」につながる基本的な学習姿勢であると共に、「自分で
やろうとする意欲」も芽生え、自立の始まったことを示しています。この時期
のお手本は、ご両親、特に、お母さん方で、しっかりと観察されています。そ
の結果が、ままごと遊びにきちんと姿を現すものです。お父さん方も、よいお
手本を見せておかないと、後悔することになりかねません。
 
複数の幼児が同じ場所にいて、同じ遊びをしながらも、お互いにかかわりを持
たない状況を「並行遊び」といいますが、これができるのは、友達と遊ぶため
の準備も始まっている証(あかし)で、社会性の育つ兆しであり、それが、3
歳になると、仲間と一緒に何かをする「ごっこ遊び」となり、遊びの幅もぐん
と広がってきます。
 
2歳児は、第一次反抗期に入っていることもわかります。
3歳児の自己主張が盛んになるのは、自立の時期に入ったことを示しています。
心身共に、赤ちゃんから子どもに成長してく変化期を迎えていることを、毎日
の生活を通して、お母さん方自身も感じ、納得されているのではないでしょう
か。
 
こういった幼児の心身の発達を踏まえ、生まれ月を考慮しながら、無理のない
入園準備を進めていけば、「ママ、大好き!」と歓迎される、賢いお母さんに
もなれるわけです。頑張ってください。
(次回は、入園テストについてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>本を読んであげてください 〔1〕

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第3号-
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第1章 (1) 情操教育、難しく考える必要はありません
 
本を読んであげてください 〔1〕
 
本を読んであげる、話の読み聞かせは、とても大切です。
安易に、テレビやDVDなどに、子守をさせてはいけないと思います。確かに、
このような教具は、映像と語りだけではなく、臨場感を盛り上げる音楽や効果
音を駆使して、瞬く間に、たくさんの情報を与えてくれます。これ程、便利な
ものはありませんが、送信する側と受信する者は一方通行ですから、疑問を感
じても質問できないといった不便な点もあります。わからないままに、話はど
んどん進みますから、疑問を残したままになり、消化不良を起こしがちではな
いでしょうか。しかも、伝える側に感情はありません、このことです……。
 
幼児には、お父さんやお母さんの生の声が何よりです。5歳頃になると、絵が
主役だった絵本から、字の多くなったものに変わり、話も筋道を立てて進む物
語になっていると思います。
 
ところで、本を読んでもらっている時の子どもの頭は、どうなっているのでし
ょうか。絵を見ながら読んでもらっていますから、お母さんの読んでくれる言
葉を、絵に置き換えるといいますか、映像化する作業がリアルタイムで行われ、
絵本や図鑑、テレビや実際に見た映像が、浮かんでいるのではないかと思いま
す。
 
聞いたことのない言葉が出てくると、声がかかります。 
「お母さん、オニタイジって、どういうこと?」
そこで、お母さんは、お子さんのわかる言葉に置き換えて説明をします。お子
さんは、その意味を確かめ、納得し、新しい言葉を覚え、少しずつですが、確
実に語彙が増えていきます。
 
そして一人になると、まだ、字を読めないはずですが、何やらブツブツいいな
がら、絵本を見ています。あれは、本当に不思議ですね。おそらく、読んでも
らった本がおもしろかったので、お母さんの言葉を思い出しながら、確かめて
いるのだと思います。絵を見ながら、その状況を記憶した言葉をもとに、映像
を描き、イメージ化しているのではないでしょうか。つまり、「言葉で考え、
想像」しているのです。これは、すごいことだと思います。
 
それが証拠に子どもは、同じ本を、それこそ何回も何回も、飽きもせずに読ん
でくれとせがみます。それも、読んであげている途中に、
「お母さん、ありがとう、そこまででいいです」
といったことが、しばしば起こりがちです。
読んでもらったところを忘れてしまったのか、思い出せないのかわかりません
が、話が先に進まなくなってしまったのでしょう。イメージ化の中断です。読
んでもらい話がつながったので、そこまででいいのでしょう、後は覚えていま
すから。あれは、話を一所懸命に覚えようとしているのに違いありません。覚
えようとする力、「記憶力」がつきます。
 
さらに、繰り返し読んでもらうことで、頭に描かれた映像は、より鮮明に具体
的になってきます。そこから、独自の「想像力や空想力」が培われてきます。
 
ところで、昔話を何か思い出してください。
子どもの読む話は、「起承結」で成り立っています。「起承転結」と、「転」
はなく、話は複雑になっていないはずです。「起承転結」は、漢詩を組み立て
る形式の一つで、転じて、「ものごとの順序・作法を表す言葉」ですが、わか
りやすい例えがありますので紹介しましょう。江戸時代後期の儒学者・詩人・
歴史家であった頼山陽が作った「京都西陣帯屋の娘」です。
   京都西陣帯屋の娘    (起)
   姉は十八、妹は十六   (承)
   諸国の大名は刀で殺す  (転)
   姉妹二人は目もとで殺す (結)
「ショコクノダイミョウって、なあに?」
余計なものが入ってくると、イメージ化する作業が複雑になります。帯屋の娘
の話は、帯屋の娘で終わらないと、子どもは安心できません。ですから、鬼退
治をした桃太郎が、ついでに海賊をやっつけることもなく、すんなりと終わっ
て、「めでたし、めでたし」が昔話に欠かせない決まりです。
 
さらに、物語は、「序破急(初め・中・終わり」と快適なテンポで進みます。
浦島太郎が、竜宮城で過ごした時間が何十年であっても、何らさしつかえあり
ません。話は、快く聞けるように仕組まれています。しかも物語は、単純で、
明快に展開しますから、話の世界へ引き込まれていきます。そこから、話を理
解する力、「理解力」が培われてきます。
 
そして、何とも素晴らしいのは、自然と話に引き込んでいく、あの約束事でし
ょう。イントロダクション、導入部などの言葉が、白々しくなるほど決まって
います。「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました」で始まりますが、これが、実に重大な役目を果たしているではあ
りませんか!などと興奮することもありませんが(笑)。
 
「むかし、むかし」は「いつ」と時間の設定ですが、いつのことだかわかりま
せん。
「あるところ」は「場所」ですが、どこだかわかりません。
「おじいさんとおばあさん」は「だれ」と大切な登場人物ですが、名前もあり
ません。みんなあいまいで、そのあいまいなままに「何を、なぜ、どのように」
と話は展開していきます。
 
これも、考えてみると大変なことです。
時代はいつでも、場所はどこでも、名前がなくても、何ら不都合はありません。
奈良時代だろうが平成時代であろうが、北海道だろうが、はたまた沖縄であろ
うが、みんな「むかし、むかし、あるところ……」で済ませてしまいます。時
代考証も、場所の設定も、人物の履歴も、何も必要ありません。ですから、子
ども達は、何ら抵抗なく、心安らかに、期待に胸を躍らせながら、話の世界へ
入っていけるのです。しかも、没我の世界です。
 
これを、几帳面に、
「江戸時代の元禄十二年、大晦日を迎える二日前の朝、上総の国、蒲郷郡、大
字蒲郷、字大和村の一本杉の側に、山之上太郎左エ門という名の爺さまとお熊
という名の婆さまが住んでいました」では、聞いてみようかなとはならないで
しょう。
「お母さん、もう眠いから……」、こうなるのに違いありません。読むお母さ
ん方も疲れてしまいますね。
 
昔話の構成や作者の意図について、「なるほど!」と納得し、肯かざるを得な
い古典落語が、創刊号で紹介しました「桃太郎」です。確か、古今亭今輔師匠
が得意とした噺ではなかったでしょうか。お薦めの話、第一号として、この章
の最後にダイジェスト版ではなく、全編を紹介する予定です。
 
ところで、昔話は、
   いつ(when)
   どこで(where)
   だれが(who)
   何を(what)
   なぜ(why)
   どのように(how)
と文章を書くときの基本である[5W+1H]から成り立っていますが、新聞
記事やテレビのニュースなどを瞬時に理解できるのは、この原則に従っている
からです。ということは、昔話を聞きながら、[5W+1H]を小さい時から
学んでいることになります。これは、すごい知恵ではないでしょうか。
 
勿論、子ども達は、「いつ・どこで・だれが」などと意識して聞いているわけ
ではないでしょうが、話は理路整然とセオリーどおりに進んでいきますから、
繰り返し話を読んでもらい、話を覚え、絵本を見ながら言葉で表現することで、
物事を筋道立てて考える訓練にもなっているのです。物事を組み立てる、考え
る力、「構成力や思考力」が自ずと身につきます。
 
そして、子どもは話を覚えると話したがります。
それには、自分自身が、話をよく理解していなければできませんから、そのた
めの訓練が自発的に始まります。話の流れをきちんと記憶し、組み立て、味わ
い、自分の言葉で話す訓練です。それが「表現力」につながります。
 
こんなに大切な能力開発を自ら積極的に挑戦しているにもかかわらず、
「パパ、『ももたろう』の話、知っている?」
「ああ、知っているよ。猿と犬と雉の家来を連れて、鬼退治に行く話だろう」
と無造作に応じてしまうと、折角、積んできたトレーニングの成果を試すこと
もできません。
「今までの努力は、何だったのだ!」
とは思わないでしょうが、悔しい思いをさせているのではないでしょうか。
子どもは覚えた話を、話したいのです、聞いてもらいたいのです。
「うん、パパも子どもの頃は、よく知っていたけど、どういう話だったかな?」
と、やさしく受けてあげましょう。
お子さんは、一所懸命に話すはずです。
 
そして話し終えたときに一言、「よく覚えたな、えらいぞ!」と、褒めてあげ
ましょう。褒められて不愉快になるはずはありませんから、さらに、話を覚え
ようとします。そこから、「物事に取り組む意欲」が芽生えます。
意欲は、新しい能力を開発する起爆剤です。
しかも、「覚えなさい!」と言われて覚えたものではなく、「話してみなさい!」
と言われて訓練したものでもありません。強制されずに、自発的に、楽しみながら積極的に挑戦し、
能力を開発しているのですから、その効果は一石二鳥どころではなく、計り知れないものがあります。
 
このように話の読み聞かせは、
「語彙を増やす」だけではなく、
「イメージをふくらませる空想力や想像力」
「話を聞く力」
「構成力や思考力」
「言葉での表現力」
「物事に取り組む意欲」
といった能力などの開発に、とてつもない大きな影響を与えているのです。しか
も、これだけではありません。
(次回は、「本を読んであげてください 2」についてお話しましょう) 
 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>[2]5つの試験形式 ペーパーテスト 2

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第20号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
ペーパーテスト(2)
 
正直にいって、この先生が恐いのです。
お母さんは、何とか力をつけようと夢中になってしまい、自分の言っているこ
と、やっていることが、わからなくなるようですね。たとえば、難易度の高い
「図形」の問題などで、子どもがよく理解できていないときに、こういったこ
とが起きがちです。お母さん自身は、説明したことでお子さんも理解できたと
思い、問題に取り組むのですができません。1回ぐらいの間違いは許容範囲で
すが、何回も同じ間違いが続くと、お母さんの顔つきも変わり、
「何回、教えたらわかるの!」
「こんな簡単な問題が、どうしてできないの!」
と、なりがちなのです。
幼児が「わからない」と言うときは、本当にわからない、理解できていないの
です。このことをしっかりと肝に銘じ、お母さんの説明が不十分であることを
考え、お子さんがわかるように工夫してあげることが大切で、お子さんを責め
るべきではありません。
 
また、昨日教えたことが、今日になるとできない場合もあります。それはお子
さん自身が経験していないことを、記憶だけに頼って憶えさせている場合が多
いからではないでしょうか。子どもは、興味や関心のないことをやっても、す
ぐに忘れがちなものです。
 
ですから、幼児は、机の上だけで知的な訓練をするのは、適切な方法ではあり
ません。お母さんのやり方が間違っています。それを棚に上げて、思わず子ど
もの頭を叩いてしまうお母さんもいるようですが、何も悪いことをしていない
にもかかわらず、いくらお腹を痛めたからといって、手を上げる権利は、母親
といえどもありません。子どものためにも言っておきたいことがあります。
お母さんの子どもの頃、どうだったかということです。冷静に聞いてください、
冷静に。
 
ここでおさまると、まだ、両者の歩み寄る機会は残されています。しかし、こ
の線を越えて、怒鳴り散らしてまで勉強を続けると、子どもも切れますが、耐
えるしかありません。お母さんに見捨てられれば、子どもは生きていけません。
「ボク、本当にお母さんの子かな?」
こうなったらトラウマになりかねません。
 
昔は「子をもって知る親の恩」と言いましたが、最近では、受験準備に熱が入
りすぎると、「合格の二文字のために忘れる子どもの心」とも言われているよ
うです。わが子を虐待して殺してしまう、鬼のような親がいるご時勢です。訂
正、鬼もわが子を手にかけなかった話が残っていますから、犬畜生にも劣る親
とします。ですから、「受験を始めて忘れてしまう子どもの心」になるようで
は、受験をする資格はないと考えましょう。先人の知恵でもある「三つ子の魂
百まで」を、絶対に忘れないでください。小さい時に経験したことで、お子さ
んの性格は築かれていくからです。
 
子どもをプリント漬けにし、来る日も来る日も、毎日、何時間も、入試問題集
を広げ、猛練習をして力がついたと思うのは錯覚です。類似問題を数こなせば、
できるようになるでしょう。しかし、この方法は、一種の条件反射的なトレー
ニングです。これで考える力がつくでしょうか、疑問だと思います。行動観察
型のテストでは、対応できないでしょう。自ら考え、答えを導く力は、年月を
かけ、試行錯誤を積み重ねながらできたカリキュラムがあり、それをよく理解
している先生方の的確な指導のもとで身につくものなのだからです。
 
なぜ、このような受験準備が、行われてしまうのでしょうか。
例えば、幼稚舎に入れば、余程のことがない限り、大学まで行けます。子ども
の努力次第では、医学部へ進める可能性さえあります。子どもの将来のためと
考えるのも、無理からぬ親心です。
さらに、合格すれば、受験準備はこれっきりです。
場合によっては、中学、高校、大学と3回も受験戦争に参加させられる可能性
もあるわけですから。
「手のかからぬ内に入れてしまおう!」
このことです……。
思春期になり、難しい年齢になっての受験は、正直いって、しんどい話です。
身体は大人に近くなっても、精神年齢はそれ以下といったアンバランスな成長
をしている子、かなり見かけます。同じような大人も結構いますから、説得力
に欠けますけれど……。
 
さらにです。
年齢が下がれば下がるほど、能力の差は出にくいものです。ここで何とか手を
つくせば、志望校へ入学できるのではと考えるのも当然でしょう。しかし、厳
しい現実が控えています。お子さんの将来を案ずる親心は、どなたの心にも強
く、深く、ひそんでいます。ですから倍率は高くなり、10倍を越える学校も
あるほどです。
 
この現実を考えると、生半可な受験準備では、合格などありえないと考えるの
も無理からぬことで、かなりハードな受験準備が、待っていることになりがち
です。しかし、受験勉強をさせられる子どもの立場になると大変です。先にも
お話しましたように、何事もそうですが、過熱気味になると当事者は、自分の
やっていることが、わからなくなる仕組みになっています。「合格」の二文字
に、冷静さを失いがちですが、受験生のお母さん方全部が、こうなるわけでは
なく、ごく、一部のお母さん方であって、熱心すぎるだけで悪気はないのです。
こういう被害を子どもたちが受けないためにも、ペーパーテストのなくなるの
は、歓迎すべきことではないでしょうか。誤解されると困るので言っておきま
すが、「ペーパーテストが悪い」と言っているのではなく、「準備の仕方」に、
とかく問題がありがちだと言いたいのです。
 
また、ペーパーテストがないから問題集などやらなくてもいいと思っている方
がいると聞きますが、それはとんでもない間違いで、必ず、クリアしなければ
ならないハードルがあり、そのために問題集は必要です。問題に○や×をつけ
るだけではなく、行動観察型の試験のように、「どうしてそうなったか」など、
言葉で説明する口頭試問に対する準備です。
 
ところで、最近の入試問題を読むと、「幼稚園での生活能力があればできるテ
ストを実施したい」と考える学校が増えているのは確かで、これは歓迎すべき
ですね。
たとえば、部屋の一角にじゅうたんが敷いてあり、机の上に紙に包まれたお菓
子が置いてあって、ペットボトルに入った麦茶らしきものとコップが用意され、
「さぁ、おやつですよ」といった試験がありますが、チェックポイントは、以
下のようになっていると思います。
まず、靴を脱いで、キチンと揃えられるか。
お菓子を食べる前に、ハンカチで手の汚れをぬぐえるか。
包装紙でくるまれたお菓子を出すのにてこずらないか。
せんべいやクッキーであれば、ボロボロとこぼさないで食べられるか。
ペットボトルから、うまく麦茶をコップに注げるか。
「いただきます」、「ごちそうさま」を言えるか。
後片付けができるか。
みんな「……か」と、クエッション・マーク付きです。
これがテストです、何を評価しているのでしょうか。
 
さらに、この話をどう思われますか。
教育者、特に小学校の先生方は、見るところが違います。テストが始まると、子
どもたちの姿勢と筆記用具の持ち方を見るそうです。姿勢がよければ、ご両親が
よいお手本を見せており、筆記用具を正しく持てていれば、おはしをきちんと持
って食事をしているはずですから、育児の方針がわかるというのです。テレビを
付けっ放しで食事をし、ダラダラ時間をかけていると、直ぐに腰が砕けて、姿勢
も崩れがちです。これは、お父さんにも責任の一端、ありです。特に、朝食です。
テレビを聞きながら新聞を読み読み、ご飯を胃袋に流しこんでいませんか。親が、
お手本です。
 
これは、しつけ以前の基本的な生活習慣です。
ですから、直そうと思っても、直ぐにというわけにはいかないものです。食事は
毎日のことですから、おざなりにしていると、お子さんは学習の第一歩で苦しむ
ことになります。知識を詰め込むより、こういった生活習慣を大切に育てている
お母さんは、お子さんから尊敬されます。
なぜなら、お母さんの手を借りずにできることは、子ども心にも嬉しいからです。
間違いなく、「自分でやろうとする意欲」が育ちます。
 
ペーパーテストといっても、知的能力だけを判定しているのではありません。
受験生は、幼児です。
親の育児の姿勢を評価しています。
このことをきちんと心に納めておかなくては、合格の二文字はありえません。
 
机の上だけで、記憶に頼った知識の詰込みばかりやっていると、頭でっかちで、
偏った経験しかしていない子になりがちで、被害者は、言うまでもなく子ども自
身です。ペーパーテストが中心になっている学校を受験される場合は、こういっ
た結果が残るような準備だけは、避けてほしいと願っています。
 
これからの毎日の体験は、お子さんの心に残ることを忘れないでいただきたいの
です。
年中から年長にかけては、将来の学習意欲も培われていく大切な時であり、人格
を形成する重要な時期でもあるからです。「三つ子の魂百まで」は英語で、
“The leopard cannot change his spots”
 (豹は斑点を変えることはできない)というそうですが、洋の東西を問わず育
児の鉄則ではないでしょうか。
 
(次回は、個別テストについてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園を受験される皆さん方「はじめの一歩」

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第2
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幼稚園を受験される皆さん方「はじめの一歩」
 
古くは「0歳からの母親作戦」「幼稚園では遅すぎる」(井深 大 著)、右
脳の働きが話題になると「0歳から始める脳内開発」(石井 勲 著)など、
こと幼児の教育に関しては、さまざまな情報があふれエスカレートする傾向に
あるようです。その影響があるとは言いませんが、入園テストも「頭のよい子
でなければ!」と考えがちなお母さん方もいると聞きます。
 
創刊号でも、「幼稚園は、幼児に厳しいテストを受けさせ、その結果だけで合
否を決めているのではありません」とお話ししましたが、合格のカギを握って
いるのは、実は、お父さん方であり、お母さん方なのです。
 
2、3歳の幼児は、試験会場で、日頃、育てられている環境を、そのまま表す
もので、軌道を修正するのが、幼児教室の役目の一つでもあるのです。しかし、
この軌道は、ご両親の育児の姿勢そのものですから、わずか2,3年の育児歴
とはいえ、修正するのは非常に難しいのですが、先生方のアドバイスに耳を傾
け、その是非を話し合い、のり越えていくご両親は、希望する幼稚園から招待
状をいただけるものです。これがご両親の大切なお仕事で、その成果が表れる
のが、面接なのです。なぜなら、入園テストの合否の比重は、「ご両親の面接
8割、お子さんの発育度2割」とさえいわれ、面接で判定されるのは、ご両親
の育児の姿勢だからです。
 
小学校の場合は、お子さん自身も心身ともにかなり成長していますから、比重
は5分5分になります。しかし、慶應義塾幼稚舎や桐朋学園小学校のように面
接をしない学校もありますが、その理由を、かつて桐朋学園小学校の説明会で
伺ったことがあります。いつもは顔を見せない鈴村校長が、文言は正確ではあ
りませんが、こうおっしゃったのです。
 
「大人は、『趣味をお聞かせください』と尋ねられれば、たとえ競輪、競馬が
大好きでも『読書、音楽鑑賞です』と演技できます。私共の試験は2日間です
から、子どもたちは育てられた環境を、そのままテスト会場で見せてくれるも
のです。だから面接をしません」
その通りではないでしょうか。
 
しかし、2,3歳の幼児の場合は、まだ、こういった試験はできませんから、
面接を通して、ご両親の育児の姿勢と幼稚園の保育方針に違和感はないかを
評価しているのです。
少し、特殊な例になりますが、田園調布雙葉学園は、幼稚園と小学校の2回
しか募集しませんから、幼稚園側も大変なプレッシャーと戦いながら選択を
強いられています。面接の比重は高くなるのも当然で、「たかが面接」など
と軽く考えるわけにはいかないわけです。
 
他の幼稚園も同じで、園側の知りたいのは、「なぜ、本園を選ばれたか」、
志望理由です。ほとんどの場合、ご主人に尋ねられていますが、出身者の場
合は、ご自身の経験から、また奥様の体験などからはっきりと答えることが
できますが、そうでない場合は、この一点に的は絞られてきます。
まだ、この時期ですから、実感はないと思いますが、幼稚園受験で大切なの
は、その幼稚園を選んだ志望理由です。
 
それを知るために参加できるのが、入園説明会です。
5月から9月にかけて行われていますが、例えば、白百合学園幼稚園は、平
成27年の場合、第1回は5月9日(土)、第2回は9月5日(土)と2回
開催、しかも両方に参加されることを希望しています。
国立のお茶の水女子大学附属幼稚園も、平成27年9月21日(土)に開催
しました。
雙葉小学校附属幼稚園を除き、ほとんどの幼稚園で行っていますから、参加
され、研究されることが大切です。最近は、ご両親で参加される方が増えて
いるようで、それだけ「合否を左右するのは志望理由」を実感されているか
らではないでしょうか。
 
ところで、それ以前に、ご家庭で最新の情報を得ることができるのが、各園
のホームページで、アクセスすることをお勧めします。
国立附属の幼稚園では、その使命をわかりやすく解説していますし、応募者
を公表しているところもあり、私学の場合は、受験者が知りたい情報を、Q
&A形式で答えていますから、「どういったお子さんを歓迎しているか」も
わかります。
幼稚園の保育方針を理解し、高校までか、大学まで続く一貫教育制度がいい
のか、また共学か別学か、宗教教育に基づく保育がふさわしいかなど、総合
的に考えることが大切です。
先ずは、説明会の始まる前に、様々な情報を、ご両親の目で確かめ、どうい
った幼稚園があるかを確かめる、これもご両親の大切なお仕事です。
 
では、受験する幼児自身には、どのような準備が必要でしょうか。
2歳から3歳にかけ、日常生活で経験しておくべきこと、身につけておかな
ければならない基本的な生活習慣など、手を抜けないことがたくさんありま
す。入園テストの問題集を買い、知的な訓練をする前に、お母さん方には正
しい情報を身につけてほしいのです。
 
そのためには、どのような入園テストが行われているかを知ることです。
なぜなら、テストの内容を調べると、身体発育、知的発育、情緒的発育、社
会性の発育などを、総合的に判定しているかがわかるばかりか、幼稚園の求
めている子ども像まで、知ることができるからです。
 
繰り返しますが、入園テストは、子ども達の知的な能力だけを判定している
のではありません。妙なうわさなどに惑わされないためにも、まず、「2、
3歳児の心身の発達特徴」を知り、テストはその発育状態に基づいて実施さ
れていることを理解すべきだと思います。
 
これが、幼稚園の受験を考えている保護者の皆さん方の「はじめの一歩」で
す。
幼稚園の選択は、お子さんの一生を左右するかもしれない、教育の第一歩で
す。何事もスタートが大切です。そうすれば、子ども達に無理な受験準備を
押しつけることもないでしょうし、こんなことはあり得ないのですが、親子
で受験地獄なるものに落ち込み、苦しむこともないからです。
 
次回は、「3、3歳児の心身の発達特徴」についてお話しましょう。
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>-事の始まりは、ある幼稚園の進学教室からでした-

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第2号-
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-事の始まりは、ある幼稚園の進学教室からでした-
           
私は、長い間、幼児教育のパイオニアである教育研究所でお世話になっていま
した。「情操を育むために、年中行事と昔話が大切な役目を果たしているので
はないか」と模索していたのは、幼児教育の本質が少しわかりかけてきた、
50歳になった頃ではなかったでしょうか。平成元年に、「年中行事を『科学』
する」という素晴らしい本にめぐり合い、進むべき道が見えてきました。
 
そして、この考えに「間違いはない」と自信らしいものが出てきたのは、ある
経験からでした。
創刊号でもお話ししましたが、当時私は、約10年間にわたり、板橋にある淑
徳幼稚園の課外保育であった進学教室を担当していたのですが、後半の5年間
は、一人で年中組と年長組を指導することになりました。この間の子ども達の
やり取りとお母さん方の反応から、年中行事と昔話を組み合わせた「情操教育
歳時記」といった何とも大仰なタイトルですが、気軽に読んでいただける本を
作ってみようと思い始めていたのです。育児の専門家ではない「わたし流の育
児書」というわけです。
 
私どもの研究所の教室へやってくる子ども達は、全員、「受験のために勉強に
きている」といった意識が、しっかりと培われていましたから、授業もやりや
すかったのです。「幼児教室は、こういうものだ」と思っていた私には、この
進学教室は、まさに青天の霹靂で、勝手が違い、思わぬ苦労をしました。
 
その日の保育が終わった後に、同じ教室でやるのですから、子ども達にとって
は、「自分たちの土俵に変な先生が入ってきた、エイリアン!」といった感じ
だったのでしょう、いつものように授業を始めることができなかったのです。
そのために、まず、授業に集中できる雰囲気を作ることからはじめました。試
行錯誤を積み重ねながらできあがったのは、授業の前に、その月の行事、11
月でしたら七五三をテーマに、昔からの言い伝えを子ども達にわかるように話
し、その月に関係ある昔話をするといった方法でした。
 
回を重ねる内にわかったのは、子ども達は、「フランダースの犬」や「アルプ
スの少女ハイジ」を知っていても、「一寸法師」や「花さか爺さん」などの昔
話を、あまり知らないことでした。しかし、話をしてみると、熱心に聞いてく
れるのです。それならばと、徹底的に昔話をすることにしたのですが、年長組
は週2回で月8回、1年間で、ざっと96の話をすることになり、少々心配に
なりました。「絵本を見ながら読んであげればいいか!」と気軽に考えていた
私は、子ども達から思わぬしっぺ返しを食い、悪戦苦闘が始まったのです。
 
それは、本を見ながら話す時と見ないで話す時では、子どもの興味を示す様子
が、微妙に違うことでした。話を覚えている場合は、子ども達の目を見ながら
話をしますから、目をそらす子はいません。「目をそらさない」は、話をしっ
かりと聞く基本的な姿勢です。本文でも紹介しますが、「大勢の子ども達に、
話を読み聞かせる重要なポイントは、話を記憶することだ」と教えてくれたの
は、進学教室の子ども達でした。
 
毎週2つの話を記憶するのは大変でしたが、子ども達は私の話を楽しみに待っ
てくれ、授業にもスムーズに入れるようになりました。見つけた時には私も驚
きましたが、「シンデレラ物語」とそっくりな話である「ぬかふくとこめふく」
を話した時の、子ども達の驚いた顔を忘れることができません。
 
ある時、椋 鳩十の動物の話をしてみました。すると、次の時間にもとリクエ
ストがあり、動物達の話に興味があることもわかりました。そこで、長編でも
ある「丘の野犬」をアレンジして話したところ、何と熱心に聞いてくれ、涙さ
え浮かべる子も出てきたのです。この時ばかりは、今、思い出しても、ぞくぞ
くするほど感激したものです。
 
進学教室の役目は、併設する淑徳小学校での勉強に、スムーズに対応できる力
を身につけることでした。小学校へは、受験勉強をし、力をつけてきた大勢の
子ども達が入学してきます。そういった子ども達に共通しているのは、「話を
聞く姿勢」が身についていることで、小学校の受験でもっとも大切なのは、こ
の「話を聞く力」なのです。ペーパーテストを例にとっても、プリントの上に
ダミーを含めて、答はすべて出ていますが、「設問」はどこにも書かれていま
せんから、話を聞き逃すと、解答できないわけです。
 
昔話や年中行事のいわれなどを聞きながら、子ども達は意識することなく、
「話を聞く姿勢」を身につけてきたのです。こうなるとしめたもので、授業は
私の仕事でしたから、後は楽なものでした。集中さえできれば、問題を解く力
もつき、面白くなりますから、取り組む意欲も違ってきます。難易度の高い問
題にも挑戦し始め、当時、毎月1回行われていた2,000名近くの子どもが
参加する公開模擬テストで、10番以内に入る子も出てきたのです。
 
さらに、思わぬ収穫になったのは、お母さん方の反応でした。授業終了の5分
ほど前に、お母さん方に集まっていただき、今日取り組んだ問題を解説しなが
ら、家庭学習の要点を説明し、今月の行事とその日に話した昔話を紹介してい
ました。
 
すると、「先生、ママが菱餅を買ってきて、何で三色なのか、先生と同じ話を
してくれたんだよ」と、女の子がいない家庭にもかかわらず、「おひな様を飾
るわけや、菱餅の色」について、子どもに話をするお母さんも出てきたのです。
話してくれる子ども達の顔は、みんなうれしそうでした。四季折々の行事の意
味を説明してきたことが、話で終わらずに、各ご家庭で祝ってくれるようにな
ったのです。このことです……。
 
ここからは「わたし流の解釈」ですから、軽い気持ちで読み流してください。
話を聞こうとしなかった子ども達が、なぜ、楽しみに授業を待ってくれるよう
になったのか、それは子ども達の心の中に、幼いながらも、何らかの刺激を求
める小さな芽が、しっかりと培われてきていたからだと考えました。本文で詳
しくお話しますが、その小さな芽は、分化され始めた「情緒」だったのです。
「情緒とは、喜怒哀楽の感情の表れたもの」と考えていただければ、わかりや
すいと思います。きっかけを与えたのが、昔話であり年中行事であったわけで
す。育まれてきた小さな芽である情緒に刺激を与えてあげれば、素直に反応を
することもわかりました。そうでなければ、あれほど真剣に話を聞くはずがな
いからです。
 
私の話でさえ一所懸命に聞くのですから、ご両親の話であれば、もっと歓迎す
るはずです。「パパがね、先生が話してくれた『おぶさりてえのおばけ』の本
を買ってきてくれたんだよ!」と嬉しそうに話してくれる子ども達も増えてき
ました。話を聞く姿勢は、幼児教室や塾で身につくものではなく、ご両親の
「話の読み聞かせ」や「対話」から育まれるものです。
 
こういった体験を何とか記録に残し、皆様方に読んでいただきたいと考え、で
きあがったのが、このメールマガジンです。話を聞く姿勢さえ身につけば、小
学校の受験は、決して難しくありません。また、年中行事を、ご家庭で楽しむ
ことにより、楽しい思い出がたくさん残り、それが豊かな情操を育む礎になっ
ていることも否めない事実です。
 
小学校の入試に季節の行事が出題されるのは、なぜでしょうか。知識として知
っているかを判断しているのではありません。四季折々の行事を楽しむ、ご家
庭の文化があるかどうかを見ているのではないでしょうか。家庭の文化は、ご
両親の育児の姿勢であり、それが受験する小学校の建学の精神や教育方針と限
りなく近ければ、それが志望理由になるわけです。
 
創刊号でもお願いしましたが、この1年間、お子さんは受験勉強に励むわけで
すから、ご両親にも勉強をしていただき、ご家庭の文化を築き上げてほしいと
思います。話を聞く姿勢が身につくのも、豊かな情操が育まれるのも、ご両親
の育児の姿勢次第です。小学校の受験で必要な能力の基礎、基本は、「ご家庭
で培われる」ことを学習していただき、お子さんと三人四脚で、ゴールを目指
して頑張ってほしいと願っています。
         
次回は「話の読み聞かせ」についてお話しましょう。

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>[2]5つの試験形式 ペーパーテスト 1

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第19号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お知らせ
「さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>」
は、このたび
「2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
とタイトルを変更いたしました。
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■■[2]5つの試験形式■■
ペーパーテスト 1
 
有名小学校の入学試験は、5つの試験形式から構成されています。
 
1. ペーパーテスト
2. 個別テスト
3. 集団テスト
4. 運動テスト
5. 面接テスト 
 
昔は、ペーパーテストだけの小学校もありましたが、今は、ありません。
逆に、ペーパーテストを廃止した小学校もあります。
個別テストのない小学校もあります。
5つ、全部やってしまう小学校もあります。
面接テストをやっていない小学校もあり、いろいろです。
推薦状と面接だけの学校もあります。
それは、私立の小学校ですから、「建学の精神」や「教育方針」に、いろいろ
な特徴があり、それによって教育が行われていますから、試験にも、その学校
独自の自前のカラーがあって、当然なのです。
 
しかし、どこの学校も知的な能力だけで、合否の判定をしているわけではあり
ません。育児の集大成、まだ中間報告ですが、そこを見ているのです。その集
大成を判定する5つのテスト形式について具体的にお話しましょう。
 
1.ペーパーテスト 
20人から30人程のグループで、オーディオの音声や動画、または口頭での
説明を聞きながら、一斉に答える筆記テストです。皆さん方も経験済みの、お
馴染みのテスト形式です。しかし、これは大変です。
幼児は、原則として、文字を読めないし書けません。ですから、プリントのど
こを見ても、文字で書かれた設問は、ありません。おかしな話ですが、絵や図
形などを使いダミーも含めて、全部、答えが描かれています。そして説明を聞
いて、そのプリントに用意された筆記用具を使い、○や△、□や×などの記号
を書いたり、線を引いたり、色を塗って答えるわけです。
 
「常識の領域」に、こんな問題があります。
B4判の大きさのプリントに、門松や節分、七夕、七五三、クリスマスといっ
た四季を代表する行事が描かれていて、解答はクレヨンを使いなさいと指示が
あり、
「春の仲間にはピンク色で○を、夏の仲間には青色で△をつけなさい」
といったコメントが、スピーカーから流れてきます。
これが、設問です。
一回きりで、後は、静かに時は流れるだけです。
当然、時間は限られています。30秒ぐらいで解答します。
「春は、○だったかな?」
などと悩んでいたら駄目です、そんな余裕はありません。
「何かいっていたな?」
などとぼんやりしていると、最悪の状態になってしまいます。
設問を聞き逃せば、それでおしまい、ゲームセットです。
設問は、どこにも書かれていないからです。
前にもお話ししましたが、中学、高校、大学の試験のように、わからない問題
は飛ばしておいて、「後でやろう!」といったことは、絶対にできません。
 
そういったことを考えれば、いちばん厳しい条件の試験ではないでしょうか。
指示を正確に聞き取り、できるだけ速やかに解答しなければ得点になりません。
こんなことはないと思いますが、その時に、ちょっと耳がかゆいと気を散らし
たら、それまでです。時間がくれば、次の問題に移りますから、まさに「待っ
たなし」なのです。
 
さらに、テストが始まると同時に、普段の生活習慣やしつけなど育児の姿勢が
わかります。話を静かに聞く姿勢が身についているか、筆記用具を正しく持っ
ているかなど、いろいろな様子が表れるからです。先程お話した「育児の集大
成」です。単に、常識や記憶力を見ているのではありません。こう考えると、
問題集だけやって「受験準備、こと足れり」とはならないことを、ご理解いた
だけるのではないでしょうか。
 
ところで、ペーパーテストに問題点はないのでしょうか。
ペーパーテストのメリットは、子どものあらゆる能力を判定することはできま
せんが、ある面は確実に評価できることでしょう。しかも手っ取り早いし、試
験官の数も少なくて済みますし、ペーパーに答えが残りますから判定も公平で
す。ですから、ペーパーテストを行う小学校が多いわけです。誤解を招くと困
りますから断っておきますが、他の試験は不公平というのではありません。
 
先程もお話しましたが、ペーパーテストだけを実施している小学校はなくなり
ました。かつて、ペーパーテストだけを実施していた立教小学校は、現在では
ペーパーテストを廃止し、運動テストや制作に加え、ここ数年、シャイな男の
子の苦手な「ダンス」まで取り入れています。なぜでしょうか。
 
以前にお話しましたが、ペーパーテストだけでは、社会性や協調性、自主性、
基本的な生活習慣やしつけなどは判定できないからです。逆に、知的能力だけ
が高い、偏った経験を持つ子の集団になる可能性もあるからです。 
 
あるミッション系の説明会で、こういった話を聞いたことがありました。
ペーパーテストの結果に従って、高得点者から順番に合格者を選んだところ、
早生れの子どもが少なくなり、翌年から生年月日順に切り替えたそうです。当
然でしょうね。4月2日生まれと翌年の4月1日生まれは、学年が一緒です。
1年間の差がありますから、早生れの子には、ハンディキャップになります。
生年月日順は、その配慮があるわけです。願書の受付順や五十音別に受験番号
をつける場合は、年齢の配慮はありません。
初めて、「年齢への配慮をしている」と公表したのは、桐朋小学校ではなかっ
たでしょうか。確か「統計的な処理をしている」と年刊雑誌「桐朋教育」で読
んだ記憶があります。しかし、今では、多くの小学校で月齢への配慮をしてい
ると言っていますから、早生れのお子さんも心配はありませんが、桐蔭学園小
学部のように「募集人員 男女約80名」(平成27年11月現在)といった
場合は、男女を問わず、成績順に合格を決めますから、注意が必要です。説明
会へ参加し、きちんと確かめておきましょう。
 
もう一つ問題があります。
それは、ペーパーテストの対策、受験準備、これが過激になりがちなことです。
試験の難易度が高く、生半可な準備では、とてもクリアできない小学校もあり
ます。きちんとしたカリキュラムのもとに指導を受けているお子さんは、心配
ないでしょうが、少し気になる話を耳にします。幼児教室や塾を掛け持ちする
子もいるようです。指導方針が違っていれば、お子さんは混乱するだけです。
 
たとえば、こんなことはないと信じていますが、数を数える問題で、A教室で
は「線などを引かないで数える」と教わり、B塾では「線を引いて数える」とい
ったように、全く相反する数え方を教われば、迷ってしまうのはお子さんです。
皆さん方は、どちらが正しい指導方法だと思いますか。
 
たくさん受けさせれば効果があるとでも考えているとすれば、それは大きな間
違いです。そういったお母さん方は、うわさにも弱いようで、親子で受験地獄
に陥りがちです。受験地獄など、あるわけはないのですが……。
 
家に帰ると、お母さんが先生です。最近は、お父さんが力を入れている家庭も
増えてきました。 このことです……。ペーパーテストに対する過激な受験準
備、ここに問題があるようです。
 
次回は、「ペーパーテスト2」についてお話しましょう。

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