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めぇでるコラム : 2015年6月 3ページ目
さわやかお受験のススメ<保護者編>★★第7章(2) 端午の節句です 皐月
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第25号-
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
第7章(2)端午の節句です
★★なぜ、菖蒲湯なのでしょうか★★
昔は、今のように風呂のある家は、少なかったものです。銭湯といって、お金
を払い、みんなと一緒に入りました。大勢の人が入りますから湯船も広く、そ
こへ、どっさりと菖蒲を入れるのですから、その香りでいっぱいになります。
菖蒲が邪気を払ういわれは、中国の古くからの言い伝えで、王様が殺した不忠
の家来の魂が、毒蛇となって災いをもたらしたので、香りが強く、頭のところ
が赤く、青い葉の形が蛇に似ている菖蒲を酒に入れて飲んだところ、悪魔を降
伏させる術を授かり、蛇を退治した話によるものです。昔は節分の時に、玄関
に柊や鰯の頭を飾りましたが、あれと同じです。鬼や悪魔は、香りの強いもの
を苦手としていました。
そういえば、ヨーロッパのモンスターの代表ドラキュラの苦手とするものは、
十字架と太陽とにんにくです。世界中の妖怪は、香りや匂いの強いものに弱い
共通点がありますが、朝鮮半島に住む妖怪は、にんにくに弱くないでしょうね。
また、菖蒲が侍の家で大切にされたのは、 武芸、軍事などを尊ぶ「尚武(武
芸、軍事などを尊ぶこと)」と同音だからでした。
燕子花(かきつばた)は菖蒲(あやめ)と花がよく似ているため、「源氏物
語」のなかで、―いずれがあやめか、かきつばた―と書かれて以来、酷似して
いることをいう雅言(がげん)となった。万葉集では加吉都播多(かきつばた)、
安夜女具佐(あやめぐさ)とはっきり区別されている。
(花暦「花にかかわる十二の短編」P121 澤田ふじ子 著 徳間文庫 刊)
万葉仮名は、漢字本来の意味から離れて、仮名のように読みますから面白いで
すね。
雅言は、広辞苑によれば「洗練された言語、特に和歌などに用いられる古代、
特に平安時代の言葉」で、「いずれがあやめか、かきつばた」は、美人が大勢
いて優劣がつけられないたとえだと、軽薄に思い込んでいたのですが、美人に
限らず、選択に迷うことのたとえなんですね(笑)
あやめは、きれいな花を咲かせる花菖蒲のことで、葉は剣型で似ていますが、
菖蒲湯として用いられることはありません。
かきつばたは、今は「杜若」と書きますが、難しくて読めませんね。
タレントの出るクイズ番組で、こういった難しい字を、何の苦もなく読む方が
いますが、マルチタレントとでもいうのでしょうか、多才なんですね。
以前、「26日のクリスマスケーキ」を紹介しましたが、同じ意味で「6日の
菖蒲」があります。
菖蒲が6日に届いたのでは、節句に間に合わないので、そこから「時期に遅
れて間に合わないこと」をいうそうです。
(知らない日本語 教養が試される341語 P321
谷沢 永一 著 幻冬社 刊)
読むたびに教えられることばかりだった博識の谷沢先生は、平成23年3月に
亡くなられました。渡辺昇一先生との対談集を時々読み返していますが、その
度に肯かざるを得ない話題にあふれ、刺激を受けるのは、失礼な言い方で気が
引けますが、勤勉であった先生の性格が表れたものだと圧倒されてしまいます。
★★粽(ちまき)のルーツは……?★★
物事には、何でも訳ありです。
端午の節句に粽を作るのは、このような言い伝えがあるのです。(以下、抄訳
です)
屈原(くつげん)は、楚の時代に、人々に愛された清廉潔白な憂国の詩人で、
淵に身を投げ、命を絶った人ですが、そのなきがらを守り屈原の故郷まで運ん
だのは鯉でした。
その日が、紀元前278年5月5日。
命日になると、楚の人々は、竹の筒に米を入れて川に投げ、屈原の霊に捧げ、
無事に運んでくれた忠義な鯉に、感謝の気持ちを表したのです。
ところが、屈原の死後、300年経った時のことです。
ある人の所に、他人に身をやつした屈原が現われ、投げ入れてくれる竹筒の米
は、淵に棲む主である竜に全部食べられてしまうので、竜の恐れる「楝(おう
ち)の葉っぱ」で米を包み、五色の糸で結んでほしいと告げたのです。そこで、
屈原をとむらい、鯉に感謝してつくった「楝の葉で包み、五色の糸でしばった
米」が、粽の始まりです。
楝は、栴檀(せんだん)の昔の言い方で、香りがあるので虫もつかず、竜も嫌
いであったのです。粽は、古くは「茅(ちがや)」の葉で巻いたから「ちまき」
といい、五色の糸は、鯉のぼりの吹流しにも出てきましたが、竜の恐れた色で
す。端午の節句に粽を作るのは、このような言い伝えがあるのです。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊
P110-113)
私が知っている粽は、笹の葉で巻いたものでした。
そして、驚いたことに、毎年、6月の第1日曜日に長崎で行われている「竜船
競渡(けいと)ドラゴンレース」は、淵に身を投げた屈原を、一刻も早く救う
ために、速く舟を漕ぐことを争うイベントなのです。
鯉のぼり、粽、競渡、いずれも、今からおよそ2000年前の中国の戦国時代
にあった出来事が、現在まで伝えられているなどとは、信じがたいのですが、
本当の話です。
楚の項羽が漢軍に包囲されたとき、周囲から楚の歌ばかりが聞こえてくるので、
楚の人々が漢に降伏したのかと驚いた故事「四面楚歌」、あの時代です。
故事、ことわざ、慣用句、私たちの祖先が残してくれた英知でもあるのですが、
書物の中で、イライラしながら出番を待っているのではないでしょうか。簡単
に手に入り、利用できる貴重な文化遺産でもあるのですが……。
ちなみに、栴檀はビャクダンの異称ですが、「栴檀は双葉より芳し」といって、
発芽の頃から早くも香気があるように、大成する人物は、幼いときから人並み
はずれて優れたところがあるたとえに用います。同義語として、「実のなる木
は、花から知れる」や「蛇は寸にして人を呑む」があり、対義語は「大器晩成」
です。
ところで、楚辞(楚の地方において謡われた詩の形式 全17巻)に、屈原と
漁師の面白い話があります。最後の3行ですが、清廉潔白な屈原の嘆きに対し、
「滄浪の水が清らかに澄んだときは、自分の冠のひもを洗えばよい。もし滄浪
の水が濁ったときは、自分の足を洗えばよい」と小舟の船ばたを叩きつつ歌い
ながら水の上を去っていったそうですが、清濁を合わせて呑んでしまう私は、
漁師の歌に納得してしまいますね。単なる怠け者の、いい加減な生き方ですが(笑)。
(抄訳 「大河の一滴」P40 五木寛之 著 幻冬舎 刊)
注 滄浪 あおあおとした波 中国湖北省を流れる漢水の一部の異称
コトバンクより
★★柏餅のルーツも中国ですか★★
今は、粽よりも柏餅が、メインです。これも中国から伝わってきたと思ってい
ましたが、何と、日本生まれなのです。
柏の木は新芽が出ない限り古い葉は落ちないので、家系が絶えないという縁
起をかついで柏の葉で包んだ柏餅を食べる。
柏餅は、楝(おうち)の葉の代わりに柏の葉を使ったことから生まれたもので、
江戸時代中期頃に作られたといわれている。柏の葉の表を外にするのが味噌入
り、裏を表にするのが餡入りという。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P113)
私の子どもの頃にもありましたから覚えていますが、柏餅の中身は、あんこだ
けではなく、味噌もあり、柏の葉っぱの表を外にしてあるのは味噌が、裏を外
にしてあるのにはあんこが入っていました。
ところで、子どもの頃に歌った懐かしい歌に「背くらべ」があります。最後に、
富士山の出てくるところがすごいですね。
背くらべ
作詞 海野 厚
作曲 中山 晋平
(一) 柱のきずは おととしの 五月五日の背くらべ
ちまき食べ食べ 兄さんが 計ってくれた 背のたけ
きのう比べりゃ 何のこと やっと羽織の 紐のたけ
(二) 柱に凭(もた)れりゃ すぐ見える 遠いお山も 背くらべ
雲の上まで 顔だして てんでに背伸び していても
雪の帽子を ぬいでさえ 一はやっぱり 富士の山
粽のわからない子が、増えているのではないでしょうか。鉄筋コンクリート建
てでは「柱」も見あたりませんし、きずが残るほど背比べをする兄弟、姉妹も
いないでしょうね。もう、この歌も歌われていないような気もします。
音楽など勉強しなくてもいいと思われているようでしたら、それは間違いです。
その歳、その時でなければ歌わない、大切な歌があります。それは、成長をつ
づる「心の歌」です。
小学校時代に母と一緒に歌った歌は、童謡と唱歌だけでしたから、今でもその
歌を覚えています。
お父さん、お母さん、思い出してください。小学校時代に歌った歌に、思い出
は残っていませんか。なかったとしたら、やはり、不幸なことではないでしょ
うか。勉強だけやっていればいい子といった教育観は、子どもの心をゆがめて
いることを、もっと真剣に考えましょう。
ビートたけしさんは、「いかに小学唱歌がすぐれていたかわかりますよ。あん
な格調高い詩なんて今はどこを探したって出てきやしないもの」(「だから私
は嫌われる」P10 ビートたけし 著 新潮社 刊)と、若いタレントたち
の言葉を駆使した表現力の幼さを切り捨てていましたが、言葉と思考力は、同
格だと思います。私たちは、言葉で考えているのですから。
若者に人気のある漫画、訂正、子どもから大人まで夢中になって読んでいる漫
画、吹き出しに書かれている言葉、あれは、記号なんですね。あらゆるものを
絵で表し、それが言葉の代役を果たしているのですから、それを読みこなして
いるならば、表現力も豊かになるはずですが、逆に、低下する一方ではないで
しょうか。言葉や文章で表現することが、いかに大切であるかを知るのは、多
くの場合、社会に出てからのようです。「学生時代に、もっと勉強をしておけ
ばよかった!」、こうなりがちです。「後悔、先に立たず」、わかっているの
ですが、わかったときは手遅れなんですね(笑)。
「一家の大黒柱」、この言葉も、あまり耳にしなくなりました。父権喪失は、
子どもにとって、決していいことではありません。母親の強いのは、善し悪し
だと思います。日本の歴史をきちんと理解しなければいけないと教えてくれた
のは、司馬遼太郎と英文学者の渡辺昇一先生です。先生は、こうおっしゃって
います。
父親の権威はどうやって作るか。これは幼い時に悪いことをしたら、きちん
と叱るということですね。子どもは悪いことをしてひっぱたかれれば、どこか
心の深いところで気持ちいいんです。「叱られたい」という欲求を持っているの
です。そして、さらに大切なのは、母親が父親のことを「立派な仕事をしてい
るんだ」と、子どもに言い聞かせ続けることです。それと同時に大切なのは、
小さい頃から、かわいがられて育てられたという記憶です。その記憶があるか
ら、子どもは自制する。親に迷惑かけてはいかんと思う。だから、子どもが小
さい頃は母親がそばにいてあげるほうがいいということなんです。
(今、「エリートの罪」を裁くとき 誰が国賊か P254
谷沢永一 渡辺昇一 著 文春文庫 刊)
お断りしておきますが、「母親がそばにいてあげるほうがいい」といっても、
過保護、過干渉になってはダメだということです。また、子どもの前で、お父
さんの悪口を言ったり、やっつけてしまうお母さん方もいるようですが、子ど
もにとってつらく悲しいことに、どうして気づかないのでしょうか。逆も同じ
ですが、強いお父さんは少なくなっているようです。男の節句であるにもかか
わらず、何やら暗いムードになってしまいました。「頑張れ、お父さん!」と、
エールを送っておきましょう。
★★鍾馗さまって、わかりますか★★
端午の節句は、男の子の節句です。ひな祭りには、おひな様を飾りましたが、
男の節句は、鯉のぼりだけではありません。外には旗やのぼり、家には、かぶ
とや武者人形も飾りました。武者人形は、男らしい姿と気性にあやかりたいと
願って飾られたものですが、私の頃の人気者は、大きな目をして黒いひげを生
やした鍾馗(しょうき)でした。今は、どうでしょうか。金太郎、桃太郎は、
よく見かけますが、最近、鍾馗は見られなくなったようです。
鍾馗は、中国の魔除けの神さまで、かの有名な玄宗皇帝(唐の時代)が、病気に
かかり夢うつつの時に、皇帝と楊貴妃が大切にしていた宝物を盗み、逃げよう
とした悪い鬼を退治しました。目を覚ました皇帝は、熱も下がり、病気も治っ
ていたので、夢で見た鍾馗の姿を口述しながら描かせたのが、鍾馗の姿だそう
です。三国志の英雄、関雲は鍾馗のようだと想像しています。こいう豪傑は、
今風ではないのでしょうね。
とこで、マリアの教えを建学の精神とする男子だけの学校でサッカーの強い暁
星小学校は、「鍛える教育」を実践していますが、その具体的な目標として、
桃太郎や金太郎など日本昔話のキャラクターである「気は優しくて力持ち」を
掲げています。
やはり、幼い時にこそ昔話をたくさん読んであげ、正義感や弱い者いじめをし
てはいけないことを、きちんと、しっかりと教えるべきではないでしょうか。
(次回は、「竜とドラゴン 他」についてお話しましょう)
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