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めぇでるコラム : 2014年12月 2ページ目
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>★★情操教育、難しく考える必要はありません 本を読んであげてください 〔1〕
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第3号-
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
第1章 (1) 情操教育、難しく考える必要はありません
本を読んであげてください 〔1〕
本を読んであげる、話の読み聞かせは、とても大切です。
安易に、テレビやDVDなどに、子守をさせてはいけないと思います。確かに、
このような教具は、映像と語りだけではなく、臨場感を盛り上げる音楽や効果
音を駆使して、瞬く間に、たくさんの情報を与えてくれます。これ程、便利な
ものはありませんが、送信する側と受信する者は一方通行ですから、疑問を感
じても質問できないといった不便な点もあります。わからないままに、話はど
んどん進みますから、疑問を残したままになり、消化不良を起こしがちではな
いでしょうか。しかも、伝える側に感情はありません、このことです……。
幼児には、お父さんやお母さんの生の声が何よりです。5歳頃になると、絵が
主役だった絵本から、字の多くなったものに変わり、話も筋道を立てて進む物
語になっていると思います。
ところで、本を読んでもらっている時の子どもの頭は、どうなっているのでし
ょうか。絵を見ながら読んでもらっていますから、お母さんの読んでくれる言
葉を、絵に置き換えるといいますか、映像化する作業がリアルタイムで行われ、
絵本や図鑑、テレビや実際に見た映像が、浮かんでいるのではないかと思いま
す。
聞いたことのない言葉が出てくると、声がかかります。
「お母さん、オニタイジって、どういうこと?」
そこで、お母さんは、お子さんのわかる言葉に置き換えて説明をします。お子
さんは、その意味を確かめ、納得し、新しい言葉を覚え、少しずつですが、確
実に語彙が増えていきます。
そして一人になると、まだ、字を読めないはずですが、何やらブツブツいいな
がら、絵本を見ています。あれは、本当に不思議ですね。おそらく、読んでも
らった本がおもしろかったので、お母さんの言葉を思い出しながら、確かめて
いるのだと思います。絵を見ながら、その状況を記憶した言葉をもとに、映像
を描き、イメージ化しているのではないでしょうか。つまり、「言葉で考え、
想像」しているのです。これは、すごいことだと思います。
それが証拠に子どもは、同じ本を、それこそ何回も何回も、飽きもせずに読ん
でくれとせがみます。それも、読んであげている途中に、
「お母さん、ありがとう、そこまででいいです」
といったことが、しばしば起こりがちです。
読んでもらったところを忘れてしまったのか、思い出せないのかわかりません
が、話が先に進まなくなってしまったのでしょう。イメージ化の中断です。読
んでもらい話がつながったので、そこまででいいのでしょう、後は覚えていま
すから。あれは、話を一所懸命に覚えようとしているのに違いありません。覚
えようとする力、「記憶力」がつきます。
さらに、繰り返し読んでもらうことで、頭に描かれた映像は、より鮮明に具体
的になってきます。そこから、独自の「想像力や空想力」が培われてきます。
ところで、昔話を何か思い出してください。
子どもの読む話は、「起承結」で成り立っています。「起承転結」と、「転」
はなく、話は複雑になっていないはずです。「起承転結」は、漢詩を組み立て
る形式の一つで、転じて、「ものごとの順序・作法を表す言葉」ですが、わか
りやすい例えがありますので紹介しましょう。江戸時代後期の儒学者・詩人・
歴史家であった頼山陽が作った「京都西陣帯屋の娘」です。
京都西陣帯屋の娘 (起)
姉は十八、妹は十六 (承)
諸国の大名は刀で殺す (転)
姉妹二人は目もとで殺す (結)
「ショコクノダイミョウって、なあに?」
余計なものが入ってくると、イメージ化する作業が複雑になります。帯屋の娘
の話は、帯屋の娘で終わらないと、子どもは安心できません。ですから、鬼退
治をした桃太郎が、ついでに海賊をやっつけることもなく、すんなりと終わっ
て、「めでたし、めでたし」が昔話に欠かせない決まりです。
さらに、物語は、「序破急(初め・中・終わり」と快適なテンポで進みます。
浦島太郎が、竜宮城で過ごした時間が何十年であっても、何らさしつかえあり
ません。話は、快く聞けるように仕組まれています。しかも物語は、単純で、
明快に展開しますから、話の世界へ引き込まれていきます。そこから、話を理
解する力、「理解力」が培われてきます。
そして、何とも素晴らしいのは、自然と話に引き込んでいく、あの約束事でし
ょう。イントロダクション、導入部などの言葉が、白々しくなるほど決まって
います。「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました」で始まりますが、これが、実に重大な役目を果たしているではあ
りませんか!などと興奮することもありませんが(笑)。
「むかし、むかし」は「いつ」と時間の設定ですが、いつのことだかわかりま
せん。
「あるところ」は「場所」ですが、どこだかわかりません。
「おじいさんとおばあさん」は「だれ」と大切な登場人物ですが、名前もあり
ません。みんなあいまいで、そのあいまいなままに「何を、なぜ、どのように」
と話は展開していきます。
これも、考えてみると大変なことです。
時代はいつでも、場所はどこでも、名前がなくても、何ら不都合はありません。
奈良時代だろうが平成時代であろうが、北海道だろうが、はたまた沖縄であろ
うが、みんな「むかし、むかし、あるところ……」で済ませてしまいます。時
代考証も、場所の設定も、人物の履歴も、何も必要ありません。ですから、子
ども達は、何ら抵抗なく、心安らかに、期待に胸を躍らせながら、話の世界へ
入っていけるのです。しかも、没我の世界です。
これを、几帳面に、
「江戸時代の元禄十二年、大晦日を迎える二日前の朝、上総の国、蒲郷郡、大
字蒲郷、字大和村の一本杉の側に、山之上太郎左エ門という名の爺さまとお熊
という名の婆さまが住んでいました」では、聞いてみようかなとはならないで
しょう。
「お母さん、もう眠いから……」、こうなるのに違いありません。読むお母さ
ん方も疲れてしまいますね。
こういった昔話の構成や作者の意図について、「なるほど!」と納得し、肯か
ざるを得ない古典落語に、「桃太郎」があります。確か、古今亭今輔師匠が得
意とした噺ではなかったかと思います。お薦めの話、第一号として、この章の
最後に紹介しておきましょう。
ところで、昔話は、
いつ(when)
どこで(where)
だれが(who)
何を(what)
なぜ(why)
どのように(how)
と文章を書くときの基本である[5W+1H]から成り立っていますが、新聞
記事やテレビのニュースなどを瞬時に理解できるのは、この原則に従っている
からです。ということは、昔話を聞きながら、[5W+1H]を小さい時から
学んでいることになります。これは、すごい知恵ではないでしょうか。
勿論、子ども達は、「いつ・どこで・だれが」などと意識して聞いているわけ
ではないでしょうが、話は理路整然とセオリーどおりに進んでいきますから、
話を覚え、絵本を見ながら言葉で表現することで、物事を筋道立てて考える訓
練にもなっているのです。物事を組み立てる、考える力、「構成力や思考力」
が自ずと身につきます。
そして、子どもは話を覚えると話したがります。
それには、自分自身が、話をよく理解していなければ出来ませんから、そのた
めの訓練が自発的に始まります。話の流れをきちんと記憶し、組み立て、味わ
い、自分の言葉で話す訓練です。それが「表現力」につながります。
こんなに大切な能力開発を自ら積極的に挑戦しているにもかかわらず、
「パパ、『ももたろう』の話、知っている?」
「ああ、知っているよ。猿と犬と雉の家来を連れて、鬼退治に行く話だろう」
と無造作に応じてしまうと、折角、積んできたトレーニングの成果を試すこと
も出来ません。
「今までの努力は、何だったのだ!」
とは思わないでしょうが、悔しい思いをさせているのではないでしょうか。
子どもは覚えた話を、話したいのです、聞いてもらいたいのです。
「うん、パパも子どもの頃は、よく知っていたけど、どういう話だったかな?」
と、やさしく受けてあげましょう。
お子さんは、一所懸命に話すはずです。
そして話し終えたときに一言、「よく覚えたな、えらいぞ!」と、褒めてあげ
ましょう。褒められて不愉快になるはずはありませんから、さらに、話を覚え
ようとします。そこから、「物事に取り組む意欲」が芽生えます。
意欲は、新しい能力を開発する起爆剤です。
しかも、「覚えなさい!」と言われて覚えたものではなく、「話してみなさい!」
と言われて訓練したものでもありません。強制されずに、自発的に、楽しみな
がら積極的に挑戦し、能力を開発しているのですから、その効果は一石二鳥ど
ころではなく、計り知れないものがあります。
このように話の読み聞かせは、
「語彙を増やす」だけではなく、
「イメージをふくらませる空想力や想像力」
「話を聞く力」
「構成力や思考力」
「言葉での表現力」
「物事に取り組む意欲」
といった能力などの開発に、とてつもない大きな影響を与えているのです。し
かも、これだけではありません。
(次回は、「本を読んであげてください 2」についてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>★★ことの始まりは、ある幼稚園の進学教室からでした
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第2号-
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-ことの始まりは、ある幼稚園の進学教室からでした-
私は、長い間、幼児教育のパイオニアである教育研究所でお世話になっていま
した。「情操を育むために、年中行事と昔話が大切な役目を果たしているので
はないか」と模索していたのは、幼児教育の本質が少しわかりかけてきた、
50歳になった頃ではなかったでしょうか。平成元年に、「年中行事を『科学』
する」という素晴らしい本にめぐり合い、進むべき道が見えてきました。
そして、この考えに「間違いはない」と自信らしいものが出てきたのは、ある
経験からでした。当時私は、約10年間にわたり、板橋にある淑徳幼稚園の課
外保育であった進学教室を担当していたのですが、後半の5年間は、一人で年
中組と年長組を指導することになりました。この間の子ども達のやり取りとお
母さん方の反応から、年中行事と昔話を組み合わせた「情操教育歳時記」とい
った何とも大仰なタイトルですが、気軽に読んでいただける本を作ってみよう
と思い始めていたのです。育児の専門家ではない「わたし流の育児書」という
わけです。
私どもの研究所の教室へやってくる子ども達は、全員、「受験のために勉強に
きている」といった意識が、しっかりと培われており、授業もやりやすかった
のです。「幼児教室は、こういうものだ」と思っていた私には、この幼稚園の
進学教室は、まさに青天の霹靂で、勝手が違い、思わぬ苦労をしました。
その日の保育が終わった後に、同じ教室でやるのですから、子ども達にとって
は、「自分たちの土俵に変な先生が入ってきた、エイリアン!」といった感じ
だったのでしょう、いつものように授業を始めることが出来なかったのです。
そのために、まず、授業に集中できる雰囲気を作ることからはじめました。い
ろいろと試行錯誤をしながら出来上がったのは、授業の前に、その月の行事、
11月でしたら七五三をテーマに、昔からの言い伝えを子ども達にわかるよう
に話し、その月に関係ある昔話をするといった方法でした。
回を重ねる内にわかったのは、子ども達は、「フランダースの犬」や「アルプ
スの少女ハイジ」を知っていても、「一寸法師」や「花さか爺さん」などの昔
話を、あまり知らないことでした。しかし、話をしてみると、熱心に聞いてく
れるのです。それならばと、徹底的に昔話をすることにしたのですが、年長組
は週2回で月8回、1年間で、ざっと96の話をすることになり、少々心配に
なりました。「絵本を見ながら読んであげればいいか!」と気軽に考えていた
私は、子ども達から思わぬしっぺ返しを食い、悪戦苦闘が始まったのです。
それは、本を見ながら話す時と見ないで話す時では、子どもの興味を示す様子
が、微妙に違うことでした。話を覚えている場合は、子ども達の目を見ながら
話をしますから、目をそらす子はいません。「目をそらさない」ことは、話を
しっかりと聞く基本的な姿勢です。本文でも紹介しますが、「大勢の子ども達
に、話を読み聞かせる重要なポイントは、話を記憶することだ」と教えてくれ
たのは、この教室の子ども達でした。
毎週2つの話を記憶するのは大変でしたが、子ども達は私の話を楽しみに待っ
てくれ、授業にもスムーズに入れるようになりました。見つけた時には私も驚
きましたが、「シンデレラ物語」とそっくりな話である「ぬかふくとこめふく」
を話した時の、子ども達の驚いた顔を忘れることができません。
ある時、昔話ではなかったのですが、椋 鳩十の動物の話をしてみました。す
ると、次の時間にもとリクエストがあり、動物達の話に興味があることもわか
りました。そこで、長編でもある「丘の野犬」をアレンジして話したところ、
何と熱心に聞いてくれ、涙さえ浮かべる子も出てきたのです。この時ばかりは、
今、思い出しても、ぞくぞくするほど感激したものです。
進学教室の役目は、併設する淑徳小学校での勉強に、スムーズに対応できる力
を身につけることでした。小学校へは、受験勉強をし、力をつけてきた大勢の
子ども達が入学してきます。そういった子ども達に共通しているのは、「話を
聞く姿勢」が身についていることで、小学校の受験でもっとも大切なのは、こ
の「話を聞く力」なのです。ペーパーテストを例にとっても、プリントの上に
ダミーを含めて、答はすべて出ていますが、「設問」はどこにも書かれていま
せんから、話を聞き逃すと、解答できないわけです。
昔話や年中行事のいわれなどを聞きながら、子ども達は意識することなく、
「話を聞く姿勢」を身につけてきたのです。こうなるとしめたもので、授業は
私の仕事でしたから、後は楽なものでした。集中さえできれば、問題を解く力
もつき、面白くなりますから、取り組む意欲も違ってきます。難易度の高い問
題にも挑戦し始め、毎月1回行われていた2000名近くの子どもが参加する
公開模擬テストで、10番以内に入る子も出てきたのです。
さらに、思わぬ収穫になったのは、お母さん方の反応でした。授業終了の5分
ほど前に、お母さん方に集まっていただき、今日取り組んだ問題を解説しなが
ら、家庭学習の要点を説明し、今月の行事とその日に話した昔話を紹介してい
ました。
すると、「先生、ママが菱餅を買ってきて、何で三色なのか、先生と同じ話を
してくれたんだよ」と、女の子がいない家庭にもかかわらず、「おひな様を飾
るわけや、菱餅の色」について、子どもに話をするお母さんも出てきたのです。
話してくれる子ども達の顔は、みんなうれしそうでした。四季折々の行事の意
味を説明してきたことが、話で終わらずに、各ご家庭で祝ってくれるようにな
ったのです。このことです……。
ここからは「わたし流の解釈」ですから、軽い気持ちで読み流してください。
話を聞こうとしなかった子ども達が、なぜ、楽しみに授業を待ってくれるよう
になったのか、それは子ども達の心の中に、幼いながらも、何らかの刺激を求
める小さな芽が、しっかりと培われてきていたからだと考えました。本文で詳
しくお話しますが、その小さな芽は、分化され始めた「情緒」だったのです。
「情緒とは、喜怒哀楽の感情の表れたもの」と考えていただければ、わかりや
すいと思います。きっかけを与えたのが、昔話であり年中行事であったわけで
す。育まれてきた小さな芽である情緒に刺激を与えてあげれば、素直に反応を
することもわかりました。そうでなければ、あれほど真剣に話を聞くはずがな
いからです。
私の話でさえ一所懸命に聞くのですから、ご両親の話であれば、もっと歓迎す
るはずです。「パパが、先生が話してくれた『おぶさりてえのおばけ』の本を
買ってきてくれたんだよ!」と嬉しそうに話してくれる子ども達も増えてきま
した。話を聞く姿勢は、幼児教室や塾で身につくものではなく、ご両親の「話
の読み聞かせ」や「対話」から育まれるものです。
こういった体験を何とか記録に残し、皆様方に読んでいただきたいと考え、出
来上がったのが、このメールマガジンです。話を聞く姿勢さえ身につけば、小
学校の受験は、決して難しくありません。また、年中行事を、ご家庭で楽しむ
ことにより、楽しい思い出がたくさん残り、それが豊かな情操を育む礎になっ
ていることも否めない事実です。
小学校の入試に季節の行事が出題されるのは、なぜでしょうか。知識として知
っているかを判断しているのではありません。四季折々の行事を楽しむ、ご家
庭の文化があるかどうかを見ているのではないでしょうか。家庭の文化は、ご
両親の育児の姿勢であり、それが受験する小学校の建学の精神や教育方針と限
りなく近ければ、それが志望理由になるわけです。
この1年間、お子さんは、受験勉強に励むわけですが、ご両親にも勉強をして
いただき、ご家庭の文化を築き上げてほしいと思います。話を聞く姿勢が身に
つくのも、豊かな情操が育まれるのも、ご両親の育児の姿勢次第です。小学校
の受験で必要な能力の基礎、基本は、「ご家庭で培われる」ことを学習してい
ただき、お子さんと三人四脚で、ゴールを目指して頑張ってほしいと願ってい
ます。
次回は「話の読み聞かせ」についてお話しましょう。
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★[2]5つの試験形式 個別テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第22号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
(2) 個別テスト
文字通り、先生と一対一、個別で行われるテストです。口頭試問と考えたらい
いでしょう。
しかし、幼児のことですから、言葉だけでは答え切れません。おはじきやプレ
ート、絵、時には本物や、それに近い物を使って出題され、おはじきを置いた
り、絵に指を差して答えたり、プレートで指示された形を作ったりします。学
校によっては、いくつもの部屋を回り、何人もの先生とお話しする場合もあり
ます。
この形式では、ペーパーテストと異なり、設問を聞き逃しても、「一巻の終わ
り!」とはなりません。勇気があればの話ですが、聞き直しが出来ます。幼児
のテストは、こういった個別テストが適しているのではないでしょうか。しか
し、答える子ども達には、つらいことになります。口頭試問の場合、問題を聞
き、考え、言葉で答えるからです。ペーパーテストでは、答えがわからなくて
も、適当に印をつけても正解になる場合もあります。時には、偶然が支配する
幸運もあります。個別テストには、それがなく、全部、自分でやらなければな
りません。育てられている環境、そのものがズバリと顔を見せます。
育児が過保護や過干渉になっていると、親離れが出来ていませんから困るでし
ょう。
「ママ、手伝って!」
「どうしたらいいの、ママ!」
そんなことを言っても、誰も手を貸してくれません。態度も、オドオドとして
落ち着きがないでしょう。
こういった子育てをしているお母さん方は、おくめんもなくおっしゃるそうで
す。
「私となら何でもできるのに。やっぱり、コネなんだわ!」
少し解説が必要ですね。試験を受けたのですが、合格しませんでした。その子
は、お母さんと一緒であれば、何でもできる抜群の能力の持ち主だそうです。
ですから、落ちたのは成績ではなく、出身者ではないから、また、紹介者、つ
まり、コネクションがないために、合格しなかったとおっしゃりたいらしいの
です。出身者だけを入学させたくても収容人員は限られていますし、紹介者が
いれば合格するのであれば、受験料を取ることは詐欺行為になります。ですか
ら、こういった怪情報は、単なる噂に過ぎません。
小学校の入学試験の狙いは、お母さんのもとを離れて、「一人で、どれだけの
ことが出来るか」であり、頼りになるのは自分だけです。 こういうお母さん
方が、面接で、
「お子さんを育てるにあたって、どういったことに気をつけていますか」
と聞かれたとします。すると、お母さんが、格好よく、
「子どもの自主性を育てることに留意しています」
と答えたら、先生方は「……!?」となるでしょうね。
個別試験に対して、入学試験問題集を買い込んで試験に備えるのは、試験があ
る以上、やらねばなりませんが、子どもの発育状態、生まれ月、これを考えず
にやってしまうと、困ったことになりかねません。
例えば、一枚の絵を見て自分で話を作る問題があります、創作です。うまく出
来ないと、お母さんが作った話を記憶させるようです。大人の考えた話や発想
は、大人のものですから、子どもは抵抗を感じないでしょうか。うまくでき過
ぎているからです。それを覚えさせるそうですが、自分で考えたものではなく、
お母さんの創作ですから、ついていけません。そして、記憶させられた話は、
忘れやすいものです。しかし、お母さんの前では、大丈夫なのです。何回も繰
り返し教え込まれるのですから、覚えるでしょう。
ところが、小学校の入学試験は、生まれて初めて入った場所で、初めて会った
先生のいうことを聞き、いろいろなことをしなければなりません。場所が変わ
り相手が変わると、うまくいかないものです。プレッシャーが、かかるからで
すね。大人の世界でもあるでしょう、ブルペン・エースです。練習では豪速球、
生きたボールを投げるのですが、マウンドに立つと平凡なボールを投げては、
ノックアウトされるピッチャーのことです。
さらに、問題集にある通りの絵が出てくる幸運は、ほとんどありません。たと
え幸運に恵まれても、先生は、お母さんに教えられたとおりに、聞いてくれる
保証もありません。同じような問題でも、ちょっとひねられると、それで、お
しまいです。先生方も、そこを見ていると思います。子ども自身の考えかどう
かですね。ですから、単に記憶させるだけでは駄目なのです。
ペーパーテストは、答えがあっていても、子ども自身の考えかどうか、わから
ない場合もあります。
個別テストは、ここが、はっきりとわかります。これが、いいですね。子ども
が自信を持って答えられるのは、日常生活で、きちんと体験していることです。
また、親の教育に対する姿勢も、はっきりと表れます。
「うちの子、引っ込み思案で、消極的だから、個別テストに向いていないわ」
とおっしゃるお母さんがいますが、子どもが好き好んでそうなったのではなく、
お母さんの育児の姿勢がそのまま表れているだけです。試験の形式だけで学校
を選ぶようでは、本末転倒な話で出発点から誤りです。
私学には、独自の建学の精神、教育理念があります。ご両親の教育に対する考
え方と、学校の教育方針に共通認識があり、限りなく近いことが、学校選びの
条件です。小学校の教育は、家庭と学校とお子さんの三人四脚で行われるもの
であり、決して忘れてはならないことです。
ところで、お嬢ちゃんで、一人っ子であると、消極的になりやすいものです。
しかし、過保護から身についた甘えん坊や、過干渉からなってしまった消極的
な性格から出る引っ込み思案とは、違います。一人っ子でも、自分でやるべき
ことを、きちんとさせているお母さんに育てられていると、一所懸命に取り組
みます。わからない問題にぶつかっても、簡単にあきらめません。精一杯、挑
戦したのですが、できなかったとしても、
「わかりません」
という顔に、悔しさこそあれ、明るいそうです。普段の生活が、そのまま出て
いるからです。失敗を恐れずに、一所懸命に考え、頑張り、挑戦する意欲のあ
る子に育てたいと考えているご両親の姿が、そこにあるからです。学校側の求
めている子は、こういう子です。自分で考えていることを、自分の言葉で話せ
る子です。
前にもお話しましたが、最近は、こういった問題が増えています。
◇机の上に半そでのYシャツと、近くの箱に500mlのペットボトルとプラ
スチックのコップ3個と黄色と赤色のリボンが入っている。
・Yシャツを着て、ボタンを留めましょう。
・箱からペットボトルを出し3個のコップに同じになるように水を入れましょ
う。
・終わったらペットボトルに黄色いリボンでちょう結びをしましょう。
・最後にYシャツを脱いで、たたんでください。
基本的な生活習慣やしつけ、自立心までわかります。個別テストからは、子ど
もの生育史をみることが出来るのです。それが、ご両親の育児の姿勢であり、
学校側の言う「ご家庭の教育方針」です。こういったことを理解していないと、
ご両親が面接で、どんなに格好のいいことを言っても、そうでないことをお子
さんが、きちんと見せるものです。
個別テストでは、自立心や自律心がどの程度、培われているかもはっきりと表
れます。「自分の考えを言葉で表す」のは、幼い子ども達には、とても難しい
ことですが、基本は、ご両親との対話から培われるものです。「対話の反対は
沈黙ではなく、命令と強制です」とおっしゃったのは、立教小学校の元校長で
あった田中司先生で、本校のペーパーテストを廃止した方です。
「こうしなさい」「それはだめ」などと一方通行では、対話は成り立ちません。
お子さんとの対話を弾ませることから、言葉で考え、表現する力は培われます。
お子さんは、ご両親の目を見ながら楽しく話をしているでしょうか。
(次回は、集団テストについてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★[2]5つの試験形式 ペーパーテスト 2
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第21号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
ペーパーテスト 2
正直にいって、この先生が恐いのです。
お母さんは、何とか力をつけようと夢中になってしまい、自分の言っているこ
と、やっていることが、わからなくなるようですね。たとえば、難易度の高い
「図形」の問題などで、子どもがよく理解出来ていないときに、こういったこ
とが起こりがちです。お母さん自身は、説明したことでお子さんも理解出来た
と思い、問題に取り組むのですができません。1回ぐらいの間違いは許容範囲
ですが、何回も同じ間違いが続くと、お母さんの顔つきも変わり、
「何回、教えたらわかるの!」
「こんな簡単な問題が、どうして出来ないの!」
と、なりがちなのです。
幼児がわからないというときは、本当にわからない、理解出来ていないのです。
このことをしっかりと肝に銘じ、お母さんの説明が不十分であることを考え、
お子さんがわかるように工夫してあげることが大切で、お子さんを責めるべき
ではありません。
また、昨日教えたことが、今日になると出来ない場合もありがちです。それは
お子さん自身が経験していないことを、記憶だけに頼って憶えさせている場合
が、多いからなのです。子どもは興味や関心のないことをやっても、すぐに忘
れがちです。
ですから、幼児は、机の上だけで知的な訓練をするのは、適切な方法ではあり
ません。お母さんのやり方が間違っています。それを棚に上げて、思わず子ど
もの頭を叩いてしまうお母さんもいるそうですが、何も悪いことをしていない
にもかかわらず、いくらお腹を痛めたからといって、手を上げる権利は、母親
といえどもありません。子どものためにも言っておきたいことがあります。
お母さんの子どもの頃、どうだったかということです。冷静に聞いてください、
冷静に。
ここでおさまると、まだ、両者の歩み寄る機会は残されています。しかし、こ
の線を越えて、怒鳴り散らしてまで受験勉強をすると、子どもも切れますが、
耐えるしかありません。お母さんに見捨てられたら、子どもは生きていけませ
ん。
「ボク、本当にお母さんの子かな?」
こうなったらトラウマになりかねません。
昔は「子をもって知る親の恩」と言いましたが、最近では、受験準備に熱が入
りすぎると、「合格の二文字のために忘れる子どもの心」とも言われているよ
うです。わが子を虐待して殺してしまう、鬼のような親がいるご時勢です。訂
正、鬼もわが子を手にかけなかった話が残っていますから、畜生にも劣る親と
します。ですから、「受験を始めて忘れてしまう子どもの心」になるようでは、
受験をする資格はないと考えましょう。先人の知恵でもある「三つ子の魂百ま
で」を、絶対に忘れないでください。小さい時に経験したことで、お子さんの
性格は築かれていくからです。
子どもをプリント漬けにし、来る日も来る日も、毎日、何時間も、入試問題集
を広げ、猛練習をして力がついたと思うのは錯覚です。類似問題を数こなせば、
出来るようになるでしょう。しかし、この方法は、一種の条件反射的なトレー
ニングです。これで考える力がつくでしょうか、疑問だと思います。行動観察
型のテストでは、対応できないでしょう。自ら考え、答えを導く力は、年月を
かけ、試行錯誤を繰り返しながら出来上がったカリキュラムがあり、それをよ
く理解している先生方の的確な指導のもとで身につくものなのです。
なぜ、このような受験準備が、行われてしまうのでしょうか。
例えばの話ですが、幼稚舎に入れば、余程のことがない限り、大学まで行けま
す。子どもの努力次第では、医学部へ進める可能性さえあります。子どもの将
来のためと考えるのも、無理からぬ親心です。
さらに、合格すれば、受験準備はこれっきりです。
場合によっては、中学、高校、大学と3回も受験戦争に参加させられる可能性
もあるわけですから。
「手のかからぬ内に入れてしまおう!」
このことです……。
思春期になり、難しい年齢になっての受験は、正直いって、しんどい話です。
身体は大人に近くなっても、精神年齢は年齢以下といったアンバランスな成長
をしている子、かなり見かけます。同じような大人も結構いますから、説得力
に欠けますけれど……。
さらにです。
年齢が下がれば下がるほど、能力の差は出にくいものです。ここで何とか手を
つくせば、志望校へ入学できるのではと考えるのも当然でしょう。しかし、厳
しい現実が控えています。お子さんの将来を案ずる親心は、どなたの心にも強
く、深く、ひそんでいます。ですから倍率は高くなり、10倍を越える学校も
あるほどです。
この現実を考えると、生半可な受験準備では、合格などありえないと考えるの
も無理からぬことで、かなりハードな受験準備が、待っていることになりがち
です。しかし、受験勉強をさせられる子どもの立場になると大変です。先にも
お話しましたように、何事もそうですが、過熱気味になると当事者は、自分の
やっていることが、わからなくなる仕組みになっています。「合格」の二文字
に、冷静さを失いがちですが、受験生のお母さん方全部が、こうなるわけでは
なく、ごく、一部のお母さん方であって、熱心すぎるだけで悪気はないのです。
こういう被害を子どもたちが受けないためにも、ペーパーテストのなくなるこ
とは、いい傾向にあると思います。誤解されると困るので言っておきますが、
ペーパーテストが悪いと言っているのではなく、準備の仕方にとかく問題があ
りがちだと言いたいのです。
また、ペーパーテストがないから問題集などやらなくてもいいと思っている方
がいると聞きますが、それはとんでもない間違いで、必ず、クリアしなければ
ならないハードルがあり、そのために問題集は必要です。問題に○や×をつけ
るだけではなく、行動観察型の試験のように、「どうしてそうなったか」など、
言葉で説明する口頭試問に対する準備です。
ところで、最近の入試問題を読むと、「幼稚園での生活能力があればできるテ
ストを実施したい」と考える学校が増えているのは確かで、これは歓迎すべき
ですね。
たとえば、部屋の一角にじゅうたんが敷いてあり、机の上に紙に包まれたお菓
子が置いてあって、ペットボトルに入った麦茶らしきものとコップが用意され、
「さぁ、おやつですよ」といった試験がありますが、チェックポイントは、以
下のようになっていると思います。
まず、靴を脱いで、キチンと揃えられるか。
お菓子を食べる前に、ハンカチで手の汚れをぬぐえるか。
包装紙でくるまれたお菓子を出すのにてこずらないか。
せんべいやクッキーであれば、ボロボロとこぼさないで食べられるか。
ペットボトルから、うまく麦茶をコップに注げるか。
「いただきます」、「ごちそうさま」をいえるか。
後片付けができるか。
みんな「……か」と、クエッション・マークつきです。
これがテストです、何を評価しているのでしょうか。
さらに、この話をどう思われますか。
教育者、特に小学校の先生方は、見るところが違います。テストが始まると、
子どもたちの姿勢と筆記用具の持ち方を見るそうです。姿勢がよければ、ご両
親がよいお手本を見せており、筆記用具を正しく持てていれば、おはしをきち
んと持って食事をしているはずですから、育児の方針がわかるというのです。
テレビを付けっ放しで食事をし、ダラダラ時間をかけていると、直ぐに腰が砕
けて、姿勢も崩れがちです。これは、お父さんにも責任の一端、ありです。特
に、朝食です。テレビを聞きながら新聞を読み読み、ご飯を胃袋に流しこんで
いませんか。親が、お手本です。
これはしつけ以前の基本的な生活習慣です。
ですから、直そうと思っても、直ぐにというわけにはいかないものです。食事
は毎日のことですから、おざなりにしていると、お子さんは学習の第一歩で苦
しむことになります。知識を詰め込むより、こういった生活習慣を大切に育て
ているお母さんは、お子さんから尊敬されます。
なぜなら、お母さんの手を借りずに出来ることは、子ども心にも嬉しいからで
す。間違いなく、「自分でやろうとする意欲」が育ちます。
ペーパーテストといっても、知的能力だけを見ているのではありません。
受験生は、幼児です。
親の育児の姿勢を評価しています。
このことをきちんと心に納めておかなくては、合格の二文字はありえません。
机の上だけで、記憶に頼った知識の詰込みばかりやっていると、頭でっかちで、
かたよった経験しか持っていない子になりがちで、被害者は、言うまでもなく
子ども自身です。ペーパーテストが中心になっている学校を受験される場合は、
こういった結果が残るような準備だけは、避けてほしいと思います。
これからの毎日の体験は、お子さんの心に残ることを忘れないでいただきたい
のです。年中から年長にかけては、将来の学習意欲も培われていく大切な時期
であり、人格を形成する重要な時期でもあるからです。
(次回は、個別テストについてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★[2]5つの試験形式 ペーパーテスト 1
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第20号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
ペーパーテスト 1
有名小学校の入学試験は、5つの試験形式から構成されています。
1 ペーパーテスト
2 個別テスト
3 集団テスト
4 運動テスト
5 面接テスト
昔は、ペーパーテストだけの小学校もありましたが、今は、ありません。
逆に、ペーパーテストを廃止した小学校もあります。
個別テストのない小学校もあります。
5つ、全部やってしまう小学校もあります。
面接テストをやっていない小学校もあり、いろいろです。
推薦状と面接だけの学校もあります。
それは、私立の小学校ですから、「建学の精神」や「教育方針」に、いろいろ
な特徴があり、それによって教育が行われていますから、試験にも、その学校
独自の自前のカラーがあって、当然なのです。
しかし、どこの学校も知的な能力だけで、合否の判定をしているわけではあり
ません。育児の集大成、まだ中間報告ですが、そこを見ているのです。その集
大成を判定する5つのテスト形式について具体的にお話しましょう。
1.ペーパーテスト
20人から30人程のグループで、オーディオの音声や動画、または口頭での
説明を聞きながら、一斉に答える筆記テストです。皆さん方も経験済みの、お
馴染みのテスト形式です。しかし、これは大変です。
何といっても幼児は、原則として、文字を読めないし書けません。
ですから、プリントのどこを見ても、文字で書かれた設問は、ありません。
おかしな話ですが、絵や図形などを使いダミーも含めて、全部、答えが描かれ
ています。
そして説明を聞いて、そのプリントに用意された筆記用具を使い、○や△、□
や×などの記号を書いたり、線を引いたり、色を塗って答えるわけです。
こんな問題があります。
B4判の大きさのプリントに、門松や節分、七夕、七五三、クリスマスといっ
た四季を代表する行事が描かれていて、解答はクレヨンを使いなさいと指示が
あり、
「春の仲間にはピンク色で○を、夏の仲間には青色で△をつけなさい」
といったコメントが、スピーカーから流れてきます。
これが、設問です。
一回きりで、後は、静かに時は流れるだけです。
当然、時間は限られています。30秒ぐらいで解答します。
「春は、○だったかな?」
などと悩んでいたら駄目です、そんな余裕はありません。
「何かいっていたな?」
などとぼんやりしていると、最悪の状態になってしまいます。
設問を聞き逃せば、それでおしまい、ゲームセットです。
設問は、どこにも書かれていないからです。
前にもお話ししましたが、中学、高校、大学の試験のように、わからない問題
は飛ばしておいて、
「後でやろう!」といったことは、絶対にできません。
そういったことを考えれば、いちばん厳しい条件の試験ではないでしょうか。
指示を正確に聞き取り、出来るだけ速やかに解答しなければ得点になりません。
こんなことはないと思いますが、その時に、ちょっと耳がかゆいと気を散らし
たら、それまでです。時間がくれば、次の問題に移りますから、まさに「待っ
たなし」なのです。
さらに、テストが始まると同時に、普段の生活習慣やしつけなど育児の姿勢が
わかります。話を静かに聞く姿勢が身についているか、筆記用具を正しく持っ
ているかなど、いろいろな様子が表れるからです。先ほどお話した「育児の集
大成」です。単に、常識や記憶力を見ているのではありません。こう考えると、
問題集だけやって「受験準備、こと足れり」とはならないことを、ご理解いた
だけるのではないでしょうか。
ところで、ペーパーテストに問題点はないのでしょうか。
ペーパーテストのメリットは、子どものあらゆる能力を判定することは出来ま
せんが、ある面は確実に評価できることでしょう。しかも手っ取り早いし、試
験官の数も少なくて済みますし、ペーパーに答えが残りますから判定も公平で
す。ですから、ペーパーテストを行う小学校が多いわけです。誤解を招くと困
りますから断っておきますが、他の試験は不公平というのではありません。
先ほどもお話しましたが、ペーパーテストだけを実施している小学校はなくな
りました。かつて、ペーパーテストだけを実施していた立教小学校は、現在で
はペーパーテストを廃止し、運動テストや制作に加え、ここ数年、シャイな男
の子の苦手な「ダンス」まで取り入れています。なぜでしょうか。
これも、以前にお話しましたが、ペーパーテストだけでは、社会性や協調性、
自主性、基本的な生活習慣やしつけなどは判定できないからです。逆に、知的
能力だけが高い、偏った経験を持つ子の集団になる可能性もあるからです。
こういう話を説明会で聞いたことがありました。
ペーパーテストの結果に従って、高得点者から順番に合格者を選んだところ、
早生れの子どもが少なくなり、翌年から生年月日順に切り替えたそうです。当
然でしょうね。4月2日生まれと翌年の4月1日生まれは、学年が一緒です。
1年間の差がありますから、早生れの子には、ハンディキャップになります。
生年月日順は、その配慮があるわけです。願書の受付順や五十音別に受験番号
をつける場合は、年齢の配慮はありません。
しかし、今では、多くの小学校で月齢への配慮をしていると言っていますから、
早生れのお子さんも心配はありませんが、「募集人員 男女約○○名」といっ
た場合は、男女を問わず、成績順に合格を決めますから、注意が必要です。説
明会へ参加し、きちんと確かめておきましょう。
もう一つ問題があります。
それは、ペーパーテストの対策、受験準備、これが過激になりがちなことです。
試験の難易度が高く、生半可な準備では、とてもクリアできない小学校もあり
ます。きちんとしたカリキュラムのもとに指導を受けているお子さんは、心配
ないでしょうが、少し気になる話を耳にします。幼児教室や塾を掛け持ちする
子もいるようです。指導方針が違っていれば、お子さんは混乱するだけです。
たとえば、こんなことはないと信じていますが、数を数える問題で、A教室で
は「線などを引かないで数える」と教わり、B塾では「線を引いて数える」と
いったように、全く相反する数え方を教われば、迷ってしまうのはお子さんで
す。皆さん方は、どちらが正しい指導方法だと思いますか。
たくさん受けさせれば効果があるとでも考えているとすれば、それは大きな間
違いです。そういったお母さん方は、うわさにも弱いようで、親子で受験地獄
に陥りがちです。受験地獄など、あるわけはないのですが……。
家に帰ると、お母さんが先生です。最近は、お父さんが力を入れている家庭も
増えてきました。 このことです……。ペーパーテストに対する過激な受験準
備、ここに問題があるようです。
次回は、「ペーパーテスト2」についてお話しましょう。
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