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めぇでるコラム : 2014年12月
2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★幼稚園の入園テストとは(2) 常識問題
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第6号
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幼稚園の入園テスト(3) 常識問題
常識問題とは、入園前の幼児の知的能力の発育状況をみるものです。と言うと、
「これぞ入園のキーポイント!」と考え、この種の問題(問題という表現が適
切かどうか疑問ですが……)ばかりを、熱心に教え込むお母さん方がいます。
しかし、あえて常識問題とお断りしたのは、入園前の幼児であれば、常日頃、
何かを通して体験している事柄が中心になっているからです。特殊な訓練を受
けなければ出来ない問題はなく、また幼稚園側も、知的な能力だけが高い、い
わゆる偏った成長をしている子を求めているわけではありません。
その誤解を解くために、二、三の問題を分析してみましょう。
(赤いチューリップが3本と黄色いチューリップを5本見せ)
・どちらが多いですか。 (学習院幼稚園)
(木の絵の下に、柿が置かれている)
・柿を1つ拾ってきてください。
・柿を3つ拾って、おじいさんに2つ、おばあさんに1つあげましょう。
・あなたの家族の数だけ柿を拾ってきましょう。
(白百合学園幼稚園)
こういったことがきちんと出来るためには、物の名前、色の種類がわかり、先
生の指示することを理解し、行動に移せなくてはなりません。チューリップも
柿も、日常の生活の中で目に触れるものばかりで、幼児向けの絵本でも主役で
す。色も紛らわしくない原色が使われています。先生の指示も簡単でわかりや
すく、しかも用意された小道具を前に話すのですから、この問題文を読んで想
像するよりやさしいはずです。幼児教室などで、楽しく学んでいるお子さんに
とっては、喜んで取り組むことばかりではないでしょうか。こんなとき、お母
さんの手伝いがなければ出来ない消極的なお子さんがいますが、それは子ども
の責任ではなく、そのように育ててきた育児の姿勢に問題があります。
「家では、ちゃんとできるのですが……」
と嘆くお母さん方がいらっしゃいます。お母さん以外の人から、こういった指
示を受けたことがなければ、戸惑うのも当然です。幼児教室の大切な役目は、
「お母さんのもとを離れても楽しいことがあることを知ると共に、お母さん以
外の人の話を聞き、行動に移すことができるようにすること」でもあるのです。
内弁慶であれば、こういったことに対応出来なくなりがちです。
また、お母さんと二人で過ごす時間が多ければ、過保護にならないように注意
していても、とかく、かまい過ぎになりがちです。「まだ、ムリだから」「う
まく出来ないから」と、お母さん自身でやってしまう場合が多いものです。自
ら行動を起こす芽を、知らず知らずに摘み取ってしまった結果といえます。
知能が高いかどうかではなく、こういった事柄が、指示された通りに行動でき
る子に育っているかがポイントなのです。指示どおりに実践できるのは、相手
の話をきちんと理解出来ることですから、言語に関して年齢にふさわしい発達
をしており、そして人に頼らず自力で行う自立心も培われていることもわかり
ます。それが幼稚園という集団生活を送るための、基本的な条件になっている
ことは言うまでもありません。そういった能力を作り上げる基本は、日常生活
であり、親子の対話にあるのです。
また、「数」にこだわるお母さん方がいらっしゃいますが、4歳児が、たとえ
百まで数えることが出来ても、数えられることは素晴らしいかも知れませんが、
その子の日常生活と、何らかの関わりがなければ、あまり価値のあることとは
言えないでしょう。3歳児で5前後、4歳児で10以下の数、これが日常生活
と直結する数です。これだけ知っていれば、毎日の生活に不便はないはずです。
毎日の生活に不便のないことは、年齢相応に、バランスよく発育している証拠
です。
「ケンちゃん、テーブルの上にあるおミカンを3個持ってきて」とはいっても、
「ケンちゃん、ミカン箱から15個、ミカンを持ってきてちょうだい!」と言
うお母さんは、いるわけがないからです。
幼稚園で行われるテストの基本姿勢も、ここにあります。その年齢にふさわし
い日常生活を送っているかを知ることにあるのですから、いたずらに知的な能
力を高めるようなことは、かえって全体のバランスを歪め、他の能力の発達を
阻害する原因になりますから、お止めになるべきだと思います。
(並べられたおはじきを見せて)
・どちらが多いですか。合わせていくつですか。
・並べられたおはじきに幾つか足して5つになるようにしてください。
(学習院幼稚園)
・四角い積み木を3つとってください
・三角の積み木を2つとってください
・積み木は、全部で、いくつになりましたか
(川村幼稚園)
問題は、いずれも、普段、家庭で行われていることばかりであることに、賢明
なお母さん方はお気づきのはずです。
ですから、積み木遊びのときに、また、スーパーマーケットなどへ買い物に行
ったときに、果物の種類と数を指示し、かごに入れさせるなどして、数の理解
ができているかなど、お子さんの出来る範囲内でお母さんのお手伝いをさせな
がら、それとなく確かめておく必要がありますね。お子さんにとっても、お母
さんの手伝いが出来るのは、とてもうれしいものです。
こういったように、生活の中で、数に触れる体験をたくさん積みながら、数に
対する理解を高めていくことが大切です。それにはガイドブックに紹介されて
いる問題をアレンジし、生活の中でやってみることです。こういった体験を通
し、十分な学習が出来てから、実際に出題されている問題に挑戦すれば、お子
さんも自信を持って答えることができるはずです。体験することなく、机の上
だけで問題を解く訓練するのは、幼児にふさわしい学習ではありません。
その他の問題を、いくつか紹介しておきましょう。
・イヌやネコなどの動物の絵のパズル(4ピースほど)を組み立てる。
(構成)
(いったん完成したものを見せてから作らせることもあります)
・一ヶ所だけ違う2枚の絵を見せて、
「2枚の絵の違いはどこですか」(類似差異)
・不足な部分がある絵を見せて、
「この絵の足りないところを書き足してください」(欠所補完)
・(丸の紙を3枚、四角の紙を1枚並べておき)
「どれが仲間外れですか」(仲間探し)
・ 絵を見て、動物、植物、道具などの名前をいい、何に使うかなどを説明する。(常識)
・いいことをしている子、悪いことをしている子の絵を見て、意見を言う。
(常識)
(注「構成」とか「類似差異」など、いかにも入試問題といったことをイメー
ジしやすい言葉を使っていますが、これは出題領域を分類するために使っているも
ので、こだわる必要はありません)
いかがでしょうか。
しつこく繰り返しますが、いずれも毎日の生活の中で、お子さんが遊びを通して、
体験していることではないでしょうか。春になれば、入園テストの問題集も発売さ
れますから、教室の先生に相談されてから、お買いになって調べてみましょう。そ
して、お母さんとお子さんが一緒になり、遊びの中で、いろいろと工夫し、挑戦し
てみることです。
その時に大切なのは、問題集をそばに置かずに、問題や設問は、きちんと記憶する
ことです。お母さんが、問題の意図を理解していなければ、お子さんは戸惑います
し、問題集を見ながらやるようでは、お子さんは遊びだと思わないからです。設問
は、ゆっくり、丁寧に、きれいな言葉で、話しかけるようにしましょう。こういっ
たことを体験しておくと、教室で課題に取り組むとき、「あれ、これママとやった
ことがある!」となり、大きな自信につながるからです。
(次回は「幼稚園の入園テスト4」についてお話ししましょう)
2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★幼稚園の入園テストとは(2) 課題遊び
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第5号
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幼稚園の入園テストとは(2) 課題遊び
マットの上でクマさんになり、高さの違うお山を3つ登り、跳び越える。
平均台を歩き、下りて、的に向かってボールを投げる。
(東京学芸大学教育学部附属幼稚園竹早園舎)
ホールをかけ足で回り「走って!」「並んで!」の合図で、走ったり並んだ
りする。 (白百合学園幼稚園)
自由遊びの中で、課題遊びが行われます。言葉はふさわしいかどうか疑問です
が、運動テストも、その一つです。先生方の目は、楽しそうに取り組んでいる
幼児に注がれています。
3~4歳頃には、運動機能の発育が盛んになります。部屋の中だけではなく、
外で遊ぶ機会も多くなり、運動量も増えてきます。危ないことでも、何気なく
やってしまいますから、うっかりできません。お母さん方なら、どなたも経験
されていると思います。「お家にいた方が手もかからないのに」と思うお母さ
んはいないでしょう。家事が一段落ついたところで、近所の公園などに出かけ、
一緒に遊んでいるのではないでしょうか。そうしたお母さんのやさしい心遣い
で、のびのび育てられた子は、先生の模範演技を見て、元気いっぱいに挑戦し
ます。
ですから、平均台でバランスを崩して落ちても、再び乗り、最後まで頑張り、
元気よく跳び下ります。 こういった一連の行動から、先生の話を聞き取る力、
理解し表現する力や取り組む意欲、こういったことがわかるわけです。難しい
ことはさせませんし、先生の指示通りにできればいいのです。2~4歳児なら
そなわっている言語や運動能力を、総合的に判定するのですから。
しかし、「横転が出来ない」、「30センチほどの高さから跳び下りることが出
来ない」のでは、年齢にふさわしい運動能力が、発育しているとは考えられま
せん。現代っ子は、骨折しやすいと言われています。最近では、「ぶらさがる」、
「転がる」、「跳び下りる」といった、簡単なことが出来ない子が増えている
そうです。運動能力は、自然に発達するのではなく、遊びや日常生活を通し、
体を動かす中で育まれます。もし、出来ないことがあるならば、そういった運
動をする機会を与えられなかったか、十分ではなかった結果ではないでしょう
か。
体験しないと育まれないのが、運動能力です。
もし、お母さんが、「危ないから、けがするから、そんなことをしてはいけま
せん!」と過保護や過干渉になり過ぎると、体験学習に必要な好奇心の芽を摘
むばかりか、それにともなう運動機能も、正常に発育しないおそれもあります。
これは子どもの責任ではなく、親の責任でしょう。なぜなら、現在あるお子さ
んの姿は、今まで手塩にかけてきた育児の結果だからです。
「ご近所に、一緒に遊ぶお友達がいないものですから……」
「都心のマンションですので遊ぶ場所もなく、交通量も多い所ですから危なく
て……」
「恐い事件が起きているものですから……」
不幸なことですが、幼児を取り巻く環境は、決して安全ではありません。しか
し、運動能力は、健康であることと密接な関わりを持っています。お子さんが、
ゼロ歳の頃を思い出してください。“はいはい”を始めたとき、部屋にある危
ないものは片付けました。時間を決めて、日光浴をさせました。歩き始めると、
外へ連れていきました。こういったことの目的は、五体の健全な発育ではなか
ったでしょうか。
幼稚園側の求めている子、それは健康な子どもです。健康な子は、元気で、明
るい子であり、情緒の安定しているのは言うまでもありません。
「大きな栗の木の下で」「糸巻きの歌」「ちょうちょ」「チューリップ」な
どから選び、好きな歌を一人で歌う。 (雙葉小学校附属幼稚園)
好きな動物のお面をつけて、その動物ごとにピアノに合わせ、先生と一緒に
お遊戯をする。 (雙葉小学校附属幼稚園)
幼稚園の遊戯会などで見かけることですが、楽しく歌うお子さんばかりではな
く、嫌々ながら歌っているお子さんもいれば、黙って下を向き、まったく歌わ
ないお子さんもいます。
幼児のことですから、ちょっとしたことで気分が変わってしまうこともありま
すが、こういった様子から、育児の姿勢などもわかるものです。
たとえば、お母さんがお子さんと一緒に、楽しく歌っていれば、お子さんは歌
います。テレビに映るアイドル歌手の動きを、真似しながら歌う子どもの様子
を見ると、言葉は幼児のボキャブラリーをこえていますから、舌足らずになり
がちですが、本当に楽しそうです。言葉より動作で表現する年齢ですから、そ
こには、屈託のない自然な動きが表われます。身振り、手振りによる身体表現
も、幼児の成長を推し量る、重要なポイントの一つです。豊かな愛情に包まれ、
のびのびとした環境で育てられた子には、明るい、子どもらしい表現がみられ
ます。
もちろん、巧拙は関係なく、「先生の指示に従う、真似をする」、これも、集
団生活を送るうえに、欠くことのできないものです。「むすんでひらいて」や
「ぞうさん」「チューリップ」などの曲を、お子さんと一緒に楽しく歌い、踊
れるお母さんであってください。幼児の歌や身体表現は、心身の発達のバロメ
ーターであることも忘れてはいけないと思います。
過去にこんな問題もありました。
ホールから上履きを脱いで、じゅうたんのある部屋に移り、チョコとせんべ
いをもらう。(お菓子を食べる前に先生にウェットティッシュで手を拭いても
らう)食べ終わった子どもから、ゴミを片付け、「ごちそうさま」をして、靴
をはき、並んで帰ってくる。 (白百合学園幼稚園)
先生からお菓子をいただいて食べる、おやつの時間です。基本的な生活習慣を
みているわけですが、ここでもいろいろなことがわかります。
「ありがとう」といえる子、黙っている子。「いただきます」「ごちそうさま」
が素直にいえる子。お菓子の包装紙を無造作にまとめ、机の上に置きっぱなし
にする子もいれば、部屋の隅にあるごみ箱へきちんと捨てる子、さまざまです。
2~4歳の幼児が、おやつをもらった場合、まず「ありがとう」「いただきま
す」、そして食べたならば「ごちそうさま」といって、お菓子の包装紙を片付
けるなどの習慣は、身につけておきたいものです。それに加え、食べる前に手
を洗う習慣が身についていれば、言うことはありません。おやつをどのように
食べるか、これほど簡単に優劣がついてしまうもの、お母さん方の子育ての姿
勢が表われるものもないでしょう。
ですから、「躾」に関しては、こういったおやつの時間を設ける他に、おみや
げに、子どもの興味をそそる折り紙やあめを渡したこともありました。こうい
ったことなどは、ごく自然に行われますから、幼児の態度にも、普段のありの
ままの姿が現れます。つまり、テストを受けているのはお子さんですが、「評
価されているのはお母さん」だということになるわけです。
「子どもの自主性を尊重し個性的に育てたい」と、おっしゃるお母さん方がい
ます。しかし、そういった考えを持ったお母さんに育てられた子は、親の期待
とは逆に、ともすると、あいさつもできない、わがままな性格になりがちです。
それは、2~4歳児ならば当然、身につけていなくてはならない「躾」を、な
おざりにしている場合があるからです。こういった「躾」は、その年齢にふさ
わしいときに、身につけるものばかりですから、お母さんの育児の方針、ご家
庭の教育方針など、手に取るようにわかります。
しかし、どの幼稚園でも、不自然な礼儀作法を身につけることを望んでいませ
ん。ある市の青少年育成運動のキャッチフレーズに「オアシス運動」というの
がありました。これは「オはよう」「アりがとう」「シつれいします」「スみ
ません」の頭文字を並べたもので、「しつれい」はともかく、日常生活に必要
なあいさつは、きちんとできるようにしておきたいものです。
裏返しになっている洋服をもとに戻しなさい。
洋服のボタンかけをしなさい。
トイレットペーパーを上手にちぎりなさい。
(白百合学園幼稚園)
さっさと戻してしまう子、ボタンがけが苦手な子、先生の手助けが必要ではな
いかと思える子、どうにもならなくなってしまう子など、さまざまです。なぜ、
こういったテストが行われるのでしょうか。
幼稚園は、ほとんどの子にとり、生まれて初めて集団で生活する所です。集団
生活では、他人に迷惑をかけないことが基本的な条件ですから、自力でできな
くてはならないことがたくさんあります。衣服の着脱、食事、そして排泄、こ
の3つが、他人の手を借りずにできないようでは、たとえ他の面がすぐれてい
ても、入園はおぼつかないでしょう。その他、ハンカチ、ティッシュを持ち、
それらを正しく使えるか、つめは短く切ってあるかなどを通して清潔感は育っ
ているかなどを、幼稚園側は見ているわけです。ハンカチを持っていても、手
を洗ったときにズボンで拭いてしまう子、ティッシュを持っていても、はなを
手で拭いてしまう子では、お母さんの育児の姿勢は、明らかです。
さらには、スモックを着て、おやつを食べ、後片付けをする様子や、靴下を脱
がせ、後で自分のものをはくといった基本的な生活習慣をチェックしながら、
区別、選別といった知的な能力まで判定することも可能なわけです。こういっ
たことは、いずれも躾と同様、毎日の生活と深い関わりを持ち、育児の「かな
め」となっていることです。お子さんの反応は、お母さん方の日常生活の姿勢
が、そのまま表われるものですから、普段の生活がいかに大切であるか、おわ
かりいただけたと思います。
数えることができるより、文字を読めるよりも、まず、基本的な生活習慣がき
ちんと身についていることこそ、幼稚園が求めている子ども像でもあるのです。
お子さんの一日の生活を見直してください。何か出来ないことはないでしょう
か。毎日、一緒にいるだけに、お母さん方は、案外、気づかないものなのです
か……。
このように、テストからは、ご家庭の育児の姿勢が、手に取るようにわかるわ
けです。
しかし、基本的な生活習慣は、月齢の差がはっきりと出やすいものです。11
月の試験の時におむつが外れていなくても、「入園する4月までに取れていれ
ば結構です」という幼稚園もありますし、「まだ、すべてがきちんとできる年
ではないことを考えてあげましょう」という幼稚園もあります。生まれ月、月
齢を無視すると、お子さんの心が歪むことも忘れてはならない、大切な育児の
心構えです。入園試験のために、心が歪むような準備だけは、やるべきではあ
りません。
最後に、白百合幼稚園の清水前園長の話を、紹介しておきたいと思います。
「私どもが希望しておりますのは、小さいときから入園テストですとか、面接
を受けて訓練されることではなく、むしろ日常生活の中で、特に、お父さま、
お母さまの、生きたお手本の中で育てられたお子さま方、それから、年齢相応
に基本的な生活習慣が、ある程度、これはまだ完全にできませんから、ある程
度、身についたお子さま方、明るく、素直で、イキイキとしたお子さま、そう
いった子ども達を希望しております」
「生きたお手本の中で育てられたお子さま方」、これがすべてではないでしょ
うか。
(次回は、「入園テストの 3」についてお話ししましょう)
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>★★第2章(1)何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師走
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第6号-
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
第2章 (1) 何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師 走
暦の上では、12月から冬です。
物の本によると、冬という読み方は、「冷(ひ)ゆ」からといわれていますが、
他にも、冬が威力を「振るう」、寒さに「震(ふる)う」、動物の出産の時期
である「殖(ふ)ゆ」の意との説もあるようです。
師走(しわす)のいわれは、これまた文字通り、1年の終わりである12月は、
何かとあわただしい日が続き、普段、どっしりと構えている師匠といえども趨
走(すうそう ちょこちょこ走る意)するので、師趨となり、これが「師走」
となったという説が有力だそうです。
季節の読み方と陰暦のいわれについては、
「子どもに伝えたい年中行事・記念日 萌文書林 編集部 編 萌文書林 刊」
を参考にさせていただきました。
12月といったら、何といっても大晦日です。「ちょっと待った!」と、さえ
ぎる声が聞こえそうです。
クリスマスですね、わかっています。子ども達が、最も楽しみにしている日で
すから。しかし、クリスマスは、キリスト教のお祭りで、12月だけ、にわか
信者になってお祝いするのも、おかしな話ではありませんか。バレンタイン・
デーほどではないでしょうが、何やら、商業主義の笛に踊らされているような
気がします。そう考えるのも、私にはクリスマスの思い出が、ほとんどないか
らかもしれません。戦争中、キリスト教は敵性宗教ですから、信者は、非国民
扱いでした。「え、ウッソー! 信仰は、個人の自由でしょ!」とは軽薄な言
い方で嫌いですが、こんな声が聞こえてきそうです。若いお母さん方には、信
じられないでしょう。為政者が、その気になれば、宗教まで法律で規制できる
のですから、恐いことです。
一時、クリスマス・イブは、どんちゃん騒ぎをする日でしたが、今は、健全な
ホーム・パーティーになっているようです。質素に祝うのが、本来の在り方で
す。しかし、毎年思うのは、あのデコレーション・ケーキです。翌日になると、
ぐっと値が下がります。翌日がクリスマスですから、25日に豪勢にとは、や
はり、駄目なのでしょう。子どもの夢ですから、財布のひももゆるみます。
ところで、「26日のクリスマスケーキ」という言葉を聞いたことはあります
か。結婚適齢期があった頃の話ですが、26歳になると「誰も手を出さない」
という意味で使っていたそうです。封建時代の婦道(女性の守るべき道)の名
残で、今どき、こんなことをいったら、袋叩きにあいますね。
それはさておき、北は北海道から南は沖縄まで、全国的に展開され、いや、世
界的な規模でのお祝いですが、キリスト生誕のことは、ここでは、遠慮してお
きましょう、日本は、仏教と神道の国ですから。何やら、殊勝な態度のようで
すが、キリスト教について、よく知らないだけの話です。
しかし、なぜ、なぜ、どうしてと思う素朴な疑問は、数々あります。
★★12月25日は、キリストの誕生日ではない!?★★
「ナヌ……!?」
この歳時記には、筆者の不勉強から「……!?」が再三、姿を見せますが、第
1号は、キリストの誕生日です。読んだときはびっくりしました。例の、とい
っては不敬に当たると思いますが、馬小屋でお生まれになったあのお話は、ど
うなるのでしょうか。いろいろと探って(これも不敬でしょうね)いく内に、
何と小さなお子さん用の歳時記に、実にわかりやすく、説明されているではあ
りませんか。
クリスマスは、イエス・キリストの生誕を祝うお祭りですが、聖書の中では、
キリストの誕生日は特定されていません。4世紀頃、キリスト教が広まるにつ
れて、統一された聖誕祭が必要となりました。その頃、力を持っていたミトラ
教のお祭りに対抗するために、12月25日に決められたといわれています。
(えほん百科 ぎょうじのゆらい 講談社 刊)
ミトラ教とは、ユーラシア大陸(ヨーロッパとアジアの総称 亜欧州)で信仰さ
れていた太陽の神さまミトラスのことで、12月25日は、ローマの冬至祭に
あたり、この日を境に短かった昼間が次第に長くなる、不滅の太陽の生まれ変
わる日と考えられていました。4世紀になり、この慣わしを取り入れ、「キリ
ストこそ、私達の太陽」とあがめ、キリストの誕生日として祝うようになった
のです。信者の皆様方には不敬になるのをお詫びしながら申し上げますが、
「イエス・キリストが、この世に生まれたことをお祝いする日」であり、「キ
リストが、神からこの世に送られてきたことを感謝する日」なのですね。「き
よし、この夜」は、やはり、心静かに感謝の心を込めて過ごす日なのです。
★★なぜ、クリスマスには「赤、緑、白」の三色になるのですか★★
このことです。どうしてクリスマスになると、「赤、緑、白」の三色になるの
でしょうか。12月になると、ジングルベルのメロデイーが流れ、この三色が
街にあふれます。デパートへ行って、この色にお目にかからない売場は、ほと
んどありません。私は、子ども達に、「赤はサンタさんの着ている服の色、緑
はクリスマス・ツリーの樅の木、白は雪です」といい加減な説明をしていまし
た。ハワイで見たサンタさんは裸足でしたし、常夏の国ですから「白は雪」と
はいえません。これも、当然のごとく訳ありでした。
クリスマスの色は、赤と緑と白である。キリストが人類のために十字架に流し
た血の色は赤である。キリストの純潔を表す色は白、そしてキリストの永遠の
命を象徴する色が緑である。
〔年中行事を「科学」する P245 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
★★なぜ、クリスマス・ツリーは、樅の木ですか★★
日本式では、松の木でしょう。常緑樹は、いつも、みずみずしい姿ですから縁
起物には欠かせません。門松も、その一つです。では、なぜ樅の木になったの
でしょうか、これも訳ありでした。
クリスマス・ツリーは不滅のシンボルとして永遠の生命を表す常緑の木である。
12月24日は「アダムとイブ」の日といわれている。アダムは楽園を追われ
たとき、生命の木から実を一つとってきた。その実から木が育ち、キリストの
十字架が作られたという。クリスマス・ツリーはアダムの持ってきた「善意を
知る木」であり、キリストを表す不滅の生命の木である。
〔年中行事を「科学」する P244 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
クリスマス・ツリーは、アダムが楽園から持ってきた実から生まれたとは、こ
れまた驚きです。せいぜい、真冬にもかれることなく青々と緑を茂らせ、花を
咲かせる常緑樹であることから、「厳冬に耐える生命力にあやかりたい」など
と考えるのは、やはり、不謹慎なわけですね。では、いつごろからクリスマス・
ツリーは、飾られるようになったのでしょうか。
プロテスタントでは、クリスマス・ツリーは、マルティン・ルーテル
(1483-1546)が、初めて採用したのです。1529年のクリスマス
の前夜、ルーテルが凍りついた雪の道を歩きながら、澄み切った夜空を見上げ
ると、無数の星が、美しく輝いていた。この星の輝きを、キリストの愛と感じ
たルーテルは、樅の木を一本切り取り、木の枝にたくさんのろうそくを灯し、
感激した夜の情景を家の中に再現したのである。ギリシャ正教ではケルラリウ
スによって、1054年にクリスマス飾りとして採用された。
〔年中行事を「科学」する P244・245 永田 久 著
日本経済新聞社 刊〕
都会の空では望めませんが、清里の高原で見た星空は、本当に、星が降ってき
そうな感じでした。陳腐な表現で申し訳ないのですが、神秘的でしたね。「神
秘的…」、この言葉も、影が薄くなってきたようです。
当時のクリスマス・ツリーは、どのようなものだったのでしょうか。
樅の木は、はじめは、ろうそくと林檎(りんご)で飾られていた。人々は、キ
リストの光を表すろうそくと、豊穣を示す林檎によって、明日の命、永遠の命
を讃え、祈った。さらに樅の木は天使が飾りつけをする意味を象徴して、一本
の銀の糸を「天使の髪」といって、飾りつけの最後に何気なく木にかけておく
習わしがある。
〔年中行事を「科学」する P245 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
本来の飾りは、ろうそくと林檎だけで、質素なものでした。何やら、今の樅の
木は、華やかです。
靴までぶらさげ、物欲の権化のようになってはいますが、子どもの夢ですから
仕方がないでしょう。
ところで、樅の木のてっぺんに飾ってある星は、キリストが生まれたときに輝
いた星といわれ、「ベツレヘムの星」と呼ばれていますが、それがどの星に当
たるかは、定かではないそうです。
★★なぜ、クリスマス・リースは、柊なのですか★★
クリスマスといえば、樅の木が主役だと思っていましたが、玄関やプレゼント
の飾りつけにするクリスマス・リースも外せません。しかし、あれは柊(ひい
らぎ)の葉です。柊は、日本では鬼から身を守る魔除けの一つです。やはり、
これも訳ありでした。
クリスマスシーズンに赤い実をつけ、緑の葉を持つ柊(holly)は、古く
から、ローマ人によって魔除けとして、また長寿の木として、サトゥルナリア、
冬至祭にも用いられていたが、キリスト教がこの習慣を引き継ぎ、棘(とげ)
はキリストの受難、赤い実はキリストの血という解釈を与え、クリスマスの
愛の木としたのである。英語で(holly)がholy(神聖な)に通じる縁起もあ
るのだろう。
〔年中行事を「科学」する P245 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
サトゥルナリアは、12月17日から25日まで祝われた古代ローマのお祭り
で、農耕神サトゥルナリアを祀り、闇を追い払う冬至祭のことです。ただし、
リースに使う柊は「ひいらぎもち(Chinese holly)」と呼ばれ、赤い実をつ
け、葉っぱもトゲの形も異なり、節分に使う柊とは同じではありません。
そういえば、クリスマスのテーマソングのような
[Silent Night, Holy Night]、この 翻訳ですが、「きよし、この夜」と、
決めています、これも名訳です。「静かで、神聖な夜」だと、ぶち壊しでしょ
う。日本の英語教育って、こんなことをやっていたのではないでしょうか。だ
から、実用的な英語力が身につかなかったのではと、偉そうなことはいえませ
んが。「……いた」と過去形にこだわったのは、2002年度の指導要領改定
で、公立の小学校でも英語の授業が始まったからです。「読む英語
“reading”から、話す英語“speaking”へ」、期待したいものです。
ところで、古い話で申し訳ないのですが、ウィリアム・ホールデンとジェニフ
ァー・ジョーンズが共演した映画
“Love is a many splendid thing”
を「慕情」と訳した方がいましたが、これなども、うならされませんか。また、
名女優、キャサリン・ヘップパーンの演じた
“Summer time in Venice”
は「旅情」です。わずか二文字の漢字に刺激を受け、映画館へ足を運んだもの
でした。最近の映画は、題名が横文字のままのものが多くなっているようです
が、映画を見てから「なるほど!」と納得させられるようなタイトルが少なく
なっているようで、残念な気がします。至る所で、横文字が大きな顔をしてい
ますが、日本語、捨てたものではありません。もっと大切に使ってあげないと
可愛そうですよ、何しろ、母国語ですから。
漢字仮名交じり文は、私達の祖先が英知を結集して、中国から伝わってきた漢
字から、カナ、ひらがなを作り、完成させた素晴らしい表記法であり大変な文
化財です。あまり知られていないようですが、アジア・アフリカ諸国では、数
学や物理、化学など自然科学を学ぶには、英語やフランス語を学び、習得しな
ければ出来ません。日本の高校生は微分、積分を日本語で学んでいますが、そ
れを可能にしたのは日本の漢字文化なのです。母国語で自然科学を学び研究出
来るのは、世界でも奇跡に近いことでもあるのです。今週ノーベル賞の授賞式
が行われましたが、3人の受賞者が生まれたのも、勿論、ご本人の努力のたま
ものですが、自然科学を母国語で学べる素晴らしい教育環境であることも、子
ども達にきちんと教えるべきではないでしょうか。
(「日本の科学教育は大丈夫か」 内科医 西岡昌紀 著 WILL
12月号より 抄訳)
(次回は、クリスマスの2 についてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>★★季節の行事、これも欠かせません
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第5号-
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第1章 (3) 情操教育、難しく考えることはありません
季節の行事、これも欠かせません
季節折々の行事を祝うことも大切です。
最近、旗日、祝祭日のことですが、この日に日の丸の旗を掲げる家は、ほとん
ど見かけなくなりました。祝祭日を家庭で祝うことも、少なくなっているので
しょう。元日にお雑煮を食べない家庭があるそうですから、当然かも知れませ
ん。しかし、七五三や成人式は、華やかに行われていますし、ひな祭りと端午
の節句、これは両家のおじいちゃん、おばあちゃんの気張りどころでしょう。
国産ではありませんが、クリスマスもきちんと祝っています。
お父さん、お母さんに聞いてみましょう。
「なぜ、門松は、松竹梅で飾るのでしょうか」
「なぜ、鬼は、柊(ひいらぎ)、いわしの頭、豆を嫌うのでしょうか」
「なぜ、菱餅は、白、桃色、緑の三色なのでしょうか」
「なぜ、お釈迦さまに甘茶をかけるのでしょうか」
「なぜ、端午の節句に、鯉のぼりを飾るのでしょうか」
これくらいにしておきましょう。
私は、こういった四季折々の行事を、家族で祝い、その意味を両親から話して
もらった記憶があります。その中でも、本当に感心したのは、正月の門松でし
た。いつ頃から飾るようになったのか定かではありませんが、これには、きち
んとした科学的な根拠があるのです。その訳は、1月に詳しく説明しますが、
ここでは、私が父から聞いた話を紹介しておきましょう。父の話は、アカデミ
ックなものではありませんが、こういうことでした。突然、大阪弁になって恐
縮ですが、父は関西の出身でしたから、この言葉の方が、私には実感があるの
です。
松は、一年中、葉が青くて、冬にも色が変わらん。元気で健康な証拠や。
竹は、真っすぐに伸び、雪が積もっても折れん我慢強さがある。しかもや、
中は空っぽやから腹に一物もなく、きれいや。『竹を割ったような性格』って
いうやろ、正直や。男は、これでなきゃあかんのや。
梅は、他の木がつぼみさえ持たん寒い冬に、リンと咲く強さやな。それに、
咲く姿は清らかや。
みんな、それぞれ、それなりの理由がある。みんな縁起もんや。そやから、
これらを飾って、新しい年神様を迎えて、健康で、辛抱強く、正直に生きて、
家内繁盛を願ったのや」
こういった話を、元日の朝祝いの時に、必ず聞かされていました。
季節折々の行事は、自然への感謝の気持ちと家族の幸せを願って、家族みんな
で祝ったものでした。その行事の意味を子どもに教え、楽しく祝い、一つの思
い出として心に残してあげ、自分が親になった時に、その楽しい思い出を子ど
もに伝える、そういった目的があるのだと教わった記憶があります。何しろ、
情報量の少なかった時代でしたから、これも親の大切な役目でもあったわけで
す。
しかし、最近は、「鬼は外、福は内!」の声など、聞こえなくなりました。そ
んなことは迷信だといって、だんだん、影をひそめていくようです。「月にう
さぎが住んでいる」と信じている子はいないでしょうが、「サンタクロースは
いる」と信じている子はたくさんいます。事実、サンタさんから送られてきた
手紙を、目を輝かせ、得意そうに見せてくれた子もいました。「迷信と切り捨
てる」のと、「迷信でも子どもの夢を一緒に楽しんであげる」とでは、どちら
が子どもにとって幸せでしょうか。「サンタクロースなんて迷信で、プレゼン
トはお父さんが買ってくるんだよ」といった先生を許せないと、涙ながらに語
る友人の話を、池波正太郎の随筆で読んだ記憶があります。この先生には、ク
リスマスの思い出は、何もなかったのでしょう。あれば、こんな残酷なことは
いえません。でも、これは許せない。
豆をまき、菖蒲(しょうぶ)湯に入って菖蒲で鉢巻したり、短冊につたない字で
願い事を書いたり、お月見に薄(すすき)を飾ってお団子を食べ、素朴に祝って
いたのでしょう。「素朴」、いい言葉ではありませんか。最近、あまり聞かれ
ない言葉の一つになりましたけど……。時の流れとはいえ、一抹の寂しさを感
じます。
しかし、その時に、父や母から話を聞くことが本当に楽しみでした。今のよう
にテレビもなく、むかし話の本などあまりなかった戦後の貧しい時代でしたか
ら、ほとんど、両親の記憶によるものでした。親によって語り継がれる、むか
し話の原点が、まだ、残っていました。特に、鬼の話や地獄の話は恐かったも
のです。悪いことをすると地獄に落ち、針の山に追われ、血の池に放りこまれ
る話などは、心から信じていました。これも、私にとっては 「情操教育」で
あったと思います。こういった家族全員で祝うことがなくなったのも、家族の
きずなが薄くなった原因の一つであることは、間違いないでしょう。季節折々
の行事も、心を培う「情操教育」に欠かせない、大切なものだと思います。
そこで、月々の行事を取り上げ、その行事に関係のあるむかし話を紹介しよう
と試みたのですが、素人の悲しさですね、日本中の行事といえば気が遠くなる
ほどありますし、むかし話となると、とてもではありませんが手に負えない、
ものすごい数です。
行事は、全国的に行われているものから選びましたが、その基本的な資料とし
て使わせて頂いた
のは。永田 久先生の「年中行事を『科学』する」(日本経済社 刊)でした。
表現に専門用語が使われ難しいものですから、わたし流に解釈させていただき
ましたが、詳しくは、最後の「おわりに」のところで説明いたしますので、ご
本家の方をお読みいただければ幸いです。
むかし話は、教室でうけた話を中心に、私の独断と偏見で選んでみました。児
童文学を修めたわけでもなく、系統立てて民話などを研究したこともありませ
んから、間違った解釈をしているところも多々あると思います。専門家の諸先
生方に一笑されるかもしれませんが、それは覚悟の上です。何やら強気のよう
ですが、目に触れる心配などありえませんから、突っ張っているだけです(笑)。
紹介した話は、本当に氷山の一角で、しかもダイジェスト版になっています。
紹介した話は、本当に氷山の一角で、しかもダイジェスト版になっています。
面白いと思われましたら、本物を読んであげてください。それも、このメール
マガジンの狙いの一つです。紹介する本は、ほとんどが川越市の県立図書館で
読んだものです。何とも悲しい話ですが閉館されてしまい、勉強させてくれた
本を再読できません。しかし、お住まいになっている図書館の子ども部屋には
あると思いますので、作者と出版社名を明記しましたから、参考になさってく
ださい。
お父さん、お母さん、頑張ってください。情操教育は、心の教育です。心の教
育は、幼児期に基本的なことを学習しておくべきです。今は、学習ではなく、
勉強が、幼児の心をむしばんではいないでしょうか。文字の成り立ちからもわ
かるように、学習は「習い学ぶこと」で、勉強は「強いて勉めること」です。
幼児を取り巻く環境は、何やら落ち着きません。親が勉強せず、子どもだけに
勉強を強いる傾向にあると思えてならないのです。情緒が不安定で、情操の乏
しい子が増えているといわれていますが、知識を詰め込むことにこだわり、心
を育てる育児が、おろそかになっていないでしょうか。
キリスト、お釈迦さま、マホメッドと共に、世界の四大聖人である孔子さまも、
「論語物語」の「うぐいすの声」でいっています。うぐいすのひな鳥が、親鳥
の美しく鳴く声を聞きながら、繰り返し練習をして、やがて、一人前に鳴ける
ようになる話です。その心は、「親鳥のようになりたい……」、このことです。
ある年の7月、上高地へ出かけた時、大正池で、実際に聞くことができ感激し
ました!
幼児期は、「強いて勉めるときではなく、習い学ぶとき」です。心の教育は、
お子さんの人生観の基礎を培う大切な学習です。お手本は、ご両親です。ご両
親が、うぐいすの親のようにならなければ、迷うのはお子さん自身です。心の
教育こそ、ご両親が力を合わせて、育み、培うものです。
ご両親が受けてきた教育を、そのままお子さんにも受けさせたいとお考えでし
ょうか。もし、不安を感じているようでしたら、教育についての考え方を、改
めるべきではないかと、赤面しながら、あえて言い切っておきましょう。私は、
「教育とは自己学習のできる人間を育てること」であり、ご両親が作る環境から
培われていくものだと考えています。ちょっと背伸びをしすぎました、読み飛
ばしてください。
★★古典落語「桃太郎」の作者の意図★★
本書の解説によると、江戸時代の落語家、乾坤坊 良斉(けんこんぼう りょ
うさい)が書いたといわれる古典落語の傑作の一つだそうです。高校生の頃だ
と思いますが、大人をからかうおもしろさに腹を抱えたものでした。今、読み
返してみると作者の意図が明確で、「うん、そうだ、そうだ。その通りだ!」
などと、うなずきながら納得させられてしまいます。また、「桃太郎」は、
「かちかち山」「花さか爺さん」「さるかに合戦」「舌きり雀」と共に、日本
の五大お伽話と言われています。私の年代では、信じられないのですが、この
五つの話を知らない子がいます。「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハ
イジ」の方が、人気があるようですね。
◆桃太郎◆ 乾坤坊 良斉(けんこんぼう りょうさい)
昔の子どもは、親の言うことを聞き、子守歌の代わりにむかし話をすると寝た
ものですが、今の子は、そうはいきません。
お父さんが、
「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいて、おじいさ
んは山へ芝を刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました」
と話をすると、子どもは眠るどころか、
「むかしっていつの時代、ある所ってどこ。おじいさんとおばあさんの名前は
何というの。
山と川の名前は」
と聞き返してきます。
お父さんが答えるのに困っていると、話を聞くはずの子どもが、作者の意図を
解説し始めるのです。
時代、場所、名前の無いこと、おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ
洗濯にいくわけから始まり、鬼が島は、これから生きていく社会のことで、そ
こでの厳しい修業を鬼退治にたとえていること、きび団子は、粗食にたえろと
いう教えであり、家来の猿、犬、きじは、“知仁勇”を表し、世間で信用を得
るための大事な心構えであって、社会人となり、信用と
いう大切な宝物を持って、出世して帰ってくれば、親も喜び、幸せになる、こ
れが作者の狙いだというのです。
「どう、わかったかい、おとっつぁん……、」
といって、子どもがお父さんを見ると、寝てしまっていたというお話です。
こども古典落語1 あっぱれ! わんぱく編
小島 貞二 文 宮本 忠夫 画 アリス館 刊
説得力があります。歳月を経て伝えられてきた話は、研ぎ澄まされており、実
に無駄がありません。しかも、落語であるところが愉快ではありませんか。笑
いながら、人生修業をしているのですから。
そして落語は、最後の締めである「落ち」が、笑いのポイントになるのですが、
これがまた、こたえられません。本当は、ネタを話したくてうずうずしていま
すが、推理小説の犯人を明かすのと同じで、罪深いことですから、皆さんの楽
しみにしておきましょう。ぜひ、お読みになってください。
古今亭志ん生師匠をはじめ、咄家のすばらしい名人芸がCDに収録されていま
す。図書館の視聴覚室にあるはずですから、疲れたときに聞いてみませんか。落語
は、声を出して笑うことが、いかに大切であるかを教えてくれるからです。あ
るミッション系の小学校の面接試験で、「最近、大笑いしたことがありますか」
と尋ねられたことがありましたが、この質問の意図を、どのようにお考えでし
ょうか。 (次回は12月の年中行事についてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★★★[2]5つの試験形式 運動テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第24号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
(4)運動テスト
みんなで一斉にする集団テストと、一人ひとりでする個別テストがあります。
集団テストには、先生のお手本を見て、その通りにする模倣体操や、タンバリ
ンなどのリズムに合わせて行進をする、片足で三十秒間ほど立つバランス感覚、
指の屈伸などがあります。
個別テストは、ケンケン、ケンパー、くま歩き、ボール遊び、ゴム段、跳び箱、
平均台といった運動をいくつか組み合わせて、先生の模範演技の後に一人ひと
りが挑戦するものです。
たとえば、こういった組み合わせです。
「床に引かれた真っすぐな線の上をケンケンで進み、平均台を渡り、次に
跳び箱に登り、元気よく跳び降り、得意なポーズをする」
ほとんどの学校でやっています。しかし、これは技を競う「競技大会」ではあ
りません。ボールを投げたり、ついたり、走ったりしながら、年齢にふさわし
い運動機能の発育状態を見ているだけです。ですから、難しいものはありませ
ん。ウルトラなんとかなどは、オリンピックの話で、一所懸命、子どもらしく、
挑戦出来れば、いいのです。
これも生活体験が、そのまま出ます。ボールをついたことのない子にボールを
つけといっても、絶対にできません。運動は、身体全体で学習するものですか
ら、正直に表れます。これは、誰の責任でしょうか。親です。運動器官に、何
らかの障害がある場合はともかく、普通の発育状態で、みんなが出来る運動も
出来ないのは、親がさせていないからと言えないでしょうか。こういう子は、
比較的に頭が、よいそうです。頭だけよくても、みんなが出来ることが出来な
いと、いやな言葉ですが、いじめの原因になったりもします。
逆も、あるのだそうです。スポーツ教室に通って、きちんと技をみがき、それ
は、それでいいのでしょうが、
「みんな、下手だな……! こうやるのだよ!」
見下しているのです。態度がでかいのです。ボール遊びなどでこういうことも
あるそうですが、これも駄目ですね。
早期教育にも、こういう欠点が、現われがちではないでしょうか。
「九九もできないの!」
これと同じです。油断して、かめさんに抜かれるうさぎさん、たくさんいるそ
うです。うさぎさんは、ひらめき型で、かめさんは、じっくり考えるタイプで
す。試行錯誤をするかめさんを、あたたかく見守ってあげるお母さんになりま
しょう。かめさんは、小学校の4年生頃から、うさぎさんを追い抜きはじめま
す。その理由は、選択肢が2つか3つの場合は、直感力がすぐれているひらめ
き型のうさぎさんは、あまり苦労することなく答えを選び出せますが、選択肢
がふえてくると、直感力だけでは解決できなくなります。じっくり考えるかめ
さん型は、選択肢が少なくても、一つひとつ検証して答えを出すので、時間は
かかりますが、試行錯誤を重ね、きちんと考えて答えを出す習慣を身につけて
いるからです。イソップの寓話「うさぎとかめ」にありますね。
ところで、話は変わりますが、負けたうさぎはどうなったかご存知ですか。か
めに負けた駄目うさぎとして、うさぎ村から追放されてしまいますが、「子う
さぎを餌に差し出せ!」と脅迫する狼をやっつけ、無事、うさぎ村に復帰しま
す。子どもから聞いた話で、真偽のほどは定かではありませんでしたが、図書
館でやっと見つけました。狼をやっつける方法が、用心深いウサギらしくて面
白いのです。
(「それからのうさぎ」
読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話(上) 筑摩書房 刊)
話を戻しまして、問題点は、まだ、あります。指示されたとおりに出来るかで
す。先程のいろいろな運動を組み合わせたものや、模範演技を、しっかり見て、
理解し、同じように出来るかです。指示の理解と的確な行動力を判定している
と思います。
まだ、あります、待っている間です。自分の番が来るまでは、緊張しています
から心配ありませんが、自分の番が終わると、ゆるみがちです。他の子どもが
やっている間、キチンと体操座りで待っていられるかです。本当は、これが学
校側の狙いだと思うのですが……。
最後に、一言。これは、笑えない話ですね。あるミッション系の小学校の説明
会で聞いた話です。
先生が模範演技をして、さて始めようとしたとき、一人の女の子が聞いたので
した。
「先生、これテストですか?」
「………!」
先生は、何とも言えません。どこの学校も、子どもたちには、テストというプ
レッシャーをかけないように気をつかっていますから、「試験です!」とは、
言いがたいのです。
「試験でないなら、やりたくありません!」
子どもの正直な告白です。毎日、やること、全て、試験のための訓練になって
いるのでしょう、悲しくなりますね。しかし、体を動かすことをいやがる子ど
もなど、いるのでしょうか。「お子さんを追い込むような準備はしないでほし
い」と、シスターはおっしゃっていました。やはり、おかしいです。
おかしくしているのは、誰でしょうか。ほんの一部の猛烈受験ママの話でしょ
うが、こういったことからマスコミの言う「受験戦争の低年齢化」となり、針
小棒大に騒がれてしまうのでしょうけれど、お子さんのためです、こういった
お母さんにはならないでいただきたいとお願いしておきましょう。
昔の話ですが、お父さんが海外へ単身赴任しているお子さんの志望校は、ボー
ルを使った運動テストが行われる暁星小学校でした。お父さんの代わりは出来
ませんが、盛んに話しかけてくるので、やはり、寂しいのだなと耳を傾け、時
には叱ったりしたものでした。子どもから聞いた話ですが、お母さんと近所の
公園で、毎日のようにボール遊びや縄跳びをしていたそうです。試験のためで
はなくても、親子で汗を流すのは大切なことです。少し太めであったお母さん
が、スリムになってきたので、絶対に合格するだろうと思いました。親子が心
を一つにして目標に向かえば、望みはかなえられるものです。入学式の帰りに
挨拶に見えましたが、一番うれしそうだったのは、何と初対面のお父さんでし
た。
何から何まで、塾や教室の先生方にお任せだけでは、よい結果は出ないことも
覚えておいてください。
(次回は、「面接テスト」についてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★★★[2]5つの試験形式 集団テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第23号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
(3)集団テスト
10名から20名位のグループで、部屋に置かれている遊び道具、ボールや縄
跳び、積み木や輪投げなどを使い、各人が自由に遊んでいる様子や、先生のま
ねをして踊ったり、熊や象などの動物のまねをしているところを観察するもの
や、話を聞いて、話の続きを想像して絵に描いたり、全く条件を与えられない
で好きな絵を描いたりします。
遊んでいる様子から自発性を、何かを作ったり、絵を描いたりすることから表
現力や創造力、巧緻性などを見ます。巧緻性は、きめ細かく上手にできている
ことで、「手は第二の脳」で詳しくお話しましたから省略しますが、一言でい
えば、普段、両手を使う作業をやっているかを見るわけです。
テストの狙いは、親の手を借りずに、どのくらい自分自身でできるか、自立心
ですね。さらに、基本的な生活習慣も関わっています。もちろん、積極的に参
加する意欲や自主性もわかりますから、手を抜けません。
また、たとえば、クリスマス・ツリーなどを作る課題を与えられ、5、6名の
友だちとグループを組み、相談をしながら、自分の考えをいい、相手の意見に
も耳をかたむけながら、仲良く作り上げていく問題もあります。社会性や協調
性が培われているかを見る行動観察型のテストです。
[自由遊び]
「好きな道具を選んで、自由に遊びなさい」
といわれて、戸惑う子がいます。子どもの仕事は、遊びですから、信じられま
せんね。なぜでしょうか。その原因は、日常生活が何から何まで管理されてい
ることにあるのではないでしょうか。お母さんの指示どおりにしないと、お母
さんの気持ちが済まないようです。その心は、無事に〇〇小学校へ入るためで
す。これでは、学校側が求めている自発性や自主性は、育たないと思いますね。
お子さんの通っている幼稚園は、自由保育です。お母さんのやっていることは、
管理育児です。こんな言葉はないでしょうけれど、保育の方針に逆らっていま
す。
遊んでいるときに、子ども本来の姿が表れるもので、そこを学校側はみたいの
です。みんなが自分の好きな遊びに熱中している時に、お母さんの子だけが、
何やら不安気に、ボーッとしていると、先生方は、どう思うでしょうか。育児
が過干渉である証で、自分の意志を持たない「受験サイボーグ戦士」と思われ
るかもしれません。その心配なしとは言えませんね。
こんな子もいるそうです。今、ボールで遊んでいたと思ったら、今度は縄跳び、
と思う間もなく輪投げです。一ヶ所にジッとできません。これは、この時期に
見られる子どもの成長を現す一面で、目移りではなく、好奇心が旺盛なのです。
とは言っても、次から次へと手を出し、人が遊んでいるおもちゃを横取りした
り、いくつも独占したり、あげくのはてには散らかしっぱなしはどうでしょう
か。
これでは、好奇心が旺盛とは言えません。単なるわがままか、飽きっぽいだけ
で、育児が過保護になっている証拠です。
遊ばせれば、子どもの育てられている環境はわかります。幼児の試験は、これ
が最も適切ではないでしょうか。子どもたちは、全身で育てられている環境を
表します。無心に遊ぶ、ちょっとしたしぐさから、育児の姿勢が伝わってくる
ものです。
[身体表現]
先生のやっている動作をまねる、いわゆる身体表現です。
たとえば、あざらしの歩き方をまねたりします。これは、かなり、難しいです
ね。両手で体重を支え、両足をそろえて伸ばし、両手を交互に出しながら前に
進みます。まさに、あざらしさんです。腕力と腹筋を使いますから、かなりき
ついですね。もちろん、あざらしそっくりにできればいいのですが、それだけ
ではありません。これも積極的に参加する意欲があるかどうかです。ちょっぴ
り照れながらも、顔を真っ赤にして挑戦する子、いいですね。
幼児は自分の考えを表すときに、言葉だけでは十分でない場合、どうするでし
ょうか。身体全体を使って表現しようとするものです。しかし、これは表現す
る対象をよく観察していないと出来ません。あざらしを見たことのない子に、
まねられるでしょうか。たとえお手本があっても、ぎごちないでしょう。見た
ことのある子は、「不思議な歩き方だな?」と思うはずです。「思う」とは、
注意を呼び起こされることです。「どこが、どう違うのかな?」と観察を始め
ます。
幼児の学習は、これが基本です。
興味があれば、細かいところまで見極めようとします。他の動物との違いを見
つけられれば、素晴らしい学習になります。大切なのは、実物を見ることです。
同じところと異なったところを見つける、類似差異の見極めです。そこから、
新しい知識が備わってきます。机の上で、いろいろと知識を詰め込まれても、
あざらしを見たことがなければ、はつらつと表現できるでしょうか。このテス
トの目的は、生活体験、自分を取り巻くものへの関心や、そういったものに対
する観察力ではないかと思います。
かつて、アメリカでベストセラーとなった「人生に必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」の第1章 私の生活信条(クレド)に、「不思議だな、と思
う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェーンを主人公にした子供
の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味を持つ言葉。“見
てごらん”」があります。(“ ”は引用者)
幼児に大切なのは、教え込むより、疑問の芽を育ててあげることではないでし
ょうか。発想が兼好法師の「徒然草」とそっくりなことに驚かされましたが、
著者のロバート・フルガムは、牧師であったことから納得したものでした。
[共同制作]
クリスマス・ツリーを作ることを考えてみましょう。折り紙、モール、きびが
ら、発泡スチロール、リボン、厚紙などの材料から、セロテープやのりなどの
接着剤、はさみ、穴あけパンチ、ホチキスといった道具が用意され、相談しな
がら作ります。共同制作です。
「制作、得意なんです、私に任せといて!」
「苦手なんだ、はさみを使うの。手を出さないで見てよう!」
そうはいきません。みんなで相談しながら作ります。自主制作ではありません、
共同制作です。
しかし、これは、本当に大変です。考えてください、全員、今日、初めて会っ
たのです。幼稚園や保育園、近所の気心のわかりあった友だちではありません。
名前も性格も技量も趣味も、全く、わからない集りです。ですから、育てられ
ている環境が、姿を現します。
「自分のことは自分でしなさい」
と、自主性を培う育児に徹していれば、自分からやります。過保護、過干渉な
育児では、積極的に参加出来るでしょうか、出来ないと思いますね。学校側の
狙いは、ここにあるのではないでしょうか。
ある年の、幼稚舎の試験に、こういうのがありました。教室に紙を貼ったイー
ゼルが立てかけてあり、その前に数種類の絵具が用意され、絵を描かせたので
す。学校の狙いは、何でしょう。絵の巧拙でしょうか。それはないと思います、
挑戦する意欲だと思います。そうでしょう、4、5歳の幼児が、イーゼルを使
って絵を描く機会があるでしょうか。ほとんどの子どもは、「何だろう、これ
は?」となるに違いありません。新しいもの、未知なるものに挑戦する意欲で
す。積極的に挑戦する子の好奇心は、旺盛です。これですね。
体中から好奇心という触角を出して、うるさいほど知りたがるのが子どもです。
こういう子は、やります。筆につけすぎた絵具をボタボタ落としながらでも。
手や顔どころか、服まで絵具だらけになるかもしれませんが、幼稚舎の試験は、
体操着に着替えてしますから心配ありません。どうして、体操着に着替えるの
でしょうか、受験される方は、これを考えましょう。
ところで、「なぜ、イーゼルで絵を描かせたのですか」の質問に、「子どもの
表情を見たかったのです」とおっしゃった当時の舎長のコメントが印象に残っ
ています。なぜなら、一心に絵を描いている子ども達の表情は、実に生き生き
としているからです。知的能力だけではなく、身体全体から表われる子どもら
しい成長の証(あかし)を見ているのです。大切なポイントです。
制作、絵画は、完成した作品の巧拙だけを見極めるのではありません。積極的
に楽しく取り組む意欲や共同で作業を進める協調性です。協調性は、社会性と
共に、大切な集団生活への適応力を育むものです。
ペーパーテストは、満点を取っても、集団テストの苦手な子を、学校は歓迎す
るとは考えにくいことです。社会性がどのくらい培われているか、子どもは態
度で示します。過保護、過干渉の環境では、こういう子になりがちではないで
しょうか。
通っている幼稚園の先生や保育園の保育士さんに聞いてみましょう。「集団生
活に、少し心配な点が見られますね」などの答があった場合は、「ものすごく
心配な点がある」と受け取り、お子さんに対する育児の姿勢、取り巻く環境を
総点検する必要があります。
繰り返しますが、「ご両親の育児の姿勢」を総合的に判定するのが、小学校の
入学試験です。このことを、肝に銘じておくべきではないでしょうか。
(次回は、運動テストについてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★幼稚園の試験とは
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第4号
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幼稚園の試験とは
[「幼稚園の試験とは」に関しては、以前、(株)攻文社から発行された拙著
の「ご存知ですか、お母さん! 幼稚園編」(現在は発売されていません)の
原稿の一部を、加筆、訂正したものを紹介しましょう]
一般に、幼稚園の試験は、
・集団テスト
・運動テスト
・個別テスト
・面接テスト
の4項目に分けることができます。
といっても、幼稚園の生活は、小学校のように1時間目国語、2時間目算数と、
教科別に学習しているわけではありませんから、ほとんどの幼稚園では、集団
テストの中に、発達状況を判定するために必要な領域が組み込まれた形式にな
っています。
また、知的な能力も「数能力・記憶力・推理、思考力・言語力」といったよう
に、領域ごとに分けて判定しているわけではありません。
テストの流れの中で、いろいろな課題を通して、知育・徳育・体育の3つの能
力が、バランスよく発達しているかを総合的に判定するものですが、ここでは
説明の便宜上、4つの形式に分けてお話しましょう。
[集団テスト]
5名から20名単位で行われ、試験官は3名から6名程度。
自由遊びが中心で、ままごとセット、ブロック、積み木、ぬいぐるみ、木製の
家(中に入れるもの)、滑り台、粘土、お絵描き道具、絵本などの中から、好
きなものを選んで遊ばせます。
遊んでいる様子から、社会性や協調性などの集団生活への適応力、基本的な生
活習慣やしつけ、性格、2歳児から4歳児にふさわしい知的な能力が備わって
いるかなどを観察します。
[運動テスト]
自由遊び、集団テストの延長として行われることが多く、年齢にふさわしい運
動能力が発達しているかを判定します。
通園は保護者と一緒ですが、都心の幼稚園に通うには体力が必要ですから、心
身の発達の状態も考慮されます。
先生方の話を聞き取り、指示通りに行動できるか、指示の理解と行動力などを
みています。
[個別テスト]
1~5名単位で行われることが多く、先生の指示に従い、絵や話の記憶、積み
木などでものを作ったり、折り紙、クレヨンなどを使い基本色を理解出来てい
るかどうかをみます。
また、小道具を用いて数の理解や形(○、△、□など)の構成など、いろいろ
と工夫されて出題されます。
年齢にふさわしい知的な能力を判定しますが、日常生活で幼児が体験できるこ
とが基本になっています。
[親子テスト]
親子が一緒になって、指示された問題に取り組むものです。
挑戦する様子や雰囲気、会話などから、普段の育児の姿勢も判定されます。
[面接テスト]
園長先生を中心に2、3名の試験官によって行われ、両親の育児の姿勢と幼稚
園の保育の方針に違和感がないかなどを判定するもので、ほとんどの幼稚園で
親子同伴の面接が行われます。
テストを受けるのは、2歳から4歳の幼児で、能力の差など見極めにくい年代
ですから、両親面接の占める比重は大きく、幼児の発育状態2割、両親の面接
8割とさえ言われています。
父親には「園を選んだ理由、志望理由」、母親には「育児の姿勢」などを中心
にした質問が行われています。
子どもには、成長の様子がわかる簡単な質問が中心になっていますから、年齢
に相応しい幼児らしい対応ができれば問題はなく、「面接試験!」などと大げ
さに考える必要はありません。
以上、試験の概要についてお話しましたが、狙いがどこにあるか、おわかりい
ただけたと思います。幼稚園側は、ご両親の育児の姿勢と成果(といっても、
まだ出発したばかりの、しかも中間報告のようなものですが)をみているわけ
です。育児は、毎日の積み重ねであり、今日あるお子さんの姿は、ご両親の
「育児の成果」であることは間違いありません。
その育児の方針と園の保育の方針に違和感や矛盾がなく、共通認識のあること
が、合格への道につながるわけです。入園準備は、「はじめに有名幼稚園があ
りき」ではなく、「はじめに我が家の育児の方針ありき」でなければならない
理由は、ここにあります。ある名門小学校の説明会で、校長先生が、こうおっ
しゃったことがありました。
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを、泥縄式に詰め込んで、受験準備、
事足れりとお考えでしたら、それは誤りであることに気づいてほしい」
幼稚園の受験準備も同じこと、いや、年齢を考えると、泥縄式に詰め込むのは、
もっと危険であり、心がゆがんでくることを忘れてはならないでしょう。まし
てや、志望する幼稚園の保育方針に合わせるために、育児の方針を変えるなど
は、賢明なお母さん方のやるべきことではありません。
次に、有名幼稚園で実施されている入園テスト内容について説明いたしましょ
う。
(1)プレイ・ルームでの自由遊び
2歳から4歳の幼児であれば、当然、興味を示すおもちゃが用意されたプレイ・
ルームで、十数人の子どもたちが遊んでいます。
ほとんどの入園テストは、自由遊びから始まります。
幼児には、初めて入った所であり、初めて会った先生であり、初めて会ったお
友達という、「初めて尽くし」の経験です。ここで泣いて入室できなければ、
失格になる幼稚園もあると言われていますが、多くの幼稚園の場合、大らかに
対処しているようです。「お母さんのもとを離れても楽しいことがある」こと
を、きちんと体験しているお子さんは心配ありません。入園テストの第一関門
は、お母さんから離れることができるかなのです。
入室した子どもたちは、先生方の誘導を受け、じゅうたんの上に靴を脱いであ
がります。靴の向きを変え、きちんと並べられる子もいます。教室で見ていて
も、その仕草はあどけなく、とても可愛いものです。そして、遊び道具が目に
入ると、遊びがはじまります。
子どもの仕事は遊びですから、いろいろなことがわかるものです。例えば、お
もちゃを見ても何の反応も示さない子、逆に、遊ぶことより所有欲が先行し、
おもちゃを独り占めすることに熱心な子、一つのおもちゃで満足して遊んでい
る子、かと思えば、次から次へと手を出しては飽きて放り投げてしまう子、お
母さんのことが気にかかり、おもちゃで遊ぶどころではない子、どうしてよい
のかわからずに泣きだす子など、さまざまです。また、友達と仲良く遊ぼうと
積極的に話しかける子、反対に引っ込み思案でうまくとけこめない子、協調性
のないわがままな子、神経質な子といったように、その子の性格や社会性、言
語の発育状況などもわかります。
繰り返しますが、遊びは幼児には仕事であり、新しい体験を積み重ねる場です。
遊びを支えているのは、好奇心です。旺盛な好奇心こそ、幼児の心身の発育を
促す原動力です。幼児にとって遊びは、生活の基本的なリズムであり、健全な
発育をとげているかどうかを知るバロメーターでもあるのです。ですから、ど
のような育児をしてきたか、その結果が、無心に遊ぶ子どもの姿に、ごく自然
に表われます。
「育児、それは生まれて今日までの、ご家庭における教育の集大成である」と
いわれる理由は、ここにあるのです。
友達と仲良く遊ぶには、コミュニケーションが求められます。それには、年齢
にふさわしい言語の表現力、理解力が必要です。コミュニケーションが出来れ
ば、楽しく遊ぶには、自分のやりたいことだけを押し通せないことや、仲良く
すること、また守るべきルールのあることなど、いわゆる共通の約束事、社会
性が必要であることもわかってきます。ですから、友達と仲良く遊べる子は、
自分の考えを言葉で表現でき、相手のいうことも理解でき、わがままは通らな
いといったことを知っているわけです。これは非常に大切なことで、幼いなが
らも、年齢にふさわしい自我と自我をぶつけあい、やっていいこと悪いことを、
体験を経て学び、身につけているのです。
このように自由遊びを通して、子どもを取り巻く環境、子育ての姿勢がにじみ
出てくるもので、これほど正直に表われるものもないでしょう。幼稚園側の狙
いは、ここにあるのです。
以前にもお話しましたが、4歳児の話せる言葉は、約1600前後といわれて
いますが、お母さんと一緒に遊んでいるだけでは、なかなか増えないものです。
子どもは、いつも使っている言葉を、無意識の内に学習していくもので、子ど
も同士の遊びが不足すると、当然、話す機会も少ないため、うまくコミュニケ
ーションができないものです。核家族化、少子化に伴い、きょうだいも少なく、
近所に同じ年齢の子どもがあまりいないなど、子どもを取り巻く環境の変化を
見逃すことは出来ませんが、だからといって、子どもを一人で遊ばせ、お母さ
んだけが相手の毎日では、やはり、コミュニケーションがうまくいかない子に
なりがちで、引っ込み思案な子、わがままな子になる傾向にあるようです。3
年保育が過熱気味にあるのも、こういった環境から、わが子を解放してあげた
い気持ちが強く働いているのではないでしょうか。
[親子テスト]
ところで、お茶の水女子大学附属幼稚園や暁星幼稚園、白百合学園幼稚園、雙
葉小学校附属幼稚園のように、親子でプレイ・ルームへ入り、一緒に遊ぶテス
トがあります。遊ぶ様子から、普段の親子のかかわり方、母親の心遣い、親子
の絆などを見ています。
例えば、以下のような態度を示したお母さん方から、先生方は、どのような印
象をもたれるでしょうか。
「子どもだけ遊ばせ、お母さんは見ている」
「子どもよりお母さんが夢中になってしまう」
「むやみに注意や指示を出し、その言葉がきつい」
「自分の思い通りにならないからと、子どもを叱ってしまう」
「(積み木の模倣構成など)間違いをすぐに注意する」
いかがでしょうか。
冷静なときには隠せても、わが子が苦戦をし、うまくいかないと、つい本性を
表わしがちなお母さん方がいます。普段、お子さんを叱るときの言葉遣いを思
い出してください。語気鋭く、かなり乱暴な言葉になっていないでしょうか。
そういった傾向にあると、つい、言葉が、態度が、正直に出やすいものです。
逆に、親子で楽しく遊ぶ姿からは、あたたかい家庭の雰囲気や育児の姿勢がう
かがえ、先生方にも、よい印象を与えるのはいうまでもありません。こういっ
たところに、日頃の家庭の素顔が出がちなのです。
子どもだけ遊ばせているのでは、一緒に遊ぶ目的を達していませんから論外で
す。子どもの自主性に任せるのは結構ですが、「お母さんと一緒に」と指示さ
れていることに注意してください。遊びを通して、普段、どういった生活を送
っているかを見ているからです。
また、いかにも育児に専念していますとばかりに、その熱意を示すのはいいと
しても、お子さま不在の遊びは、これも問題外です。
以上のケースに関しては、まだ笑って済ませられますが、子どもを叱り、その
叱る言葉がお母さんらしくない品性に欠けるものであったらどうでしょうか。
たとえ、その時まで順調に進んでいたとしても、大きなペナルティーとなるの
は言うまでもありません。
さらに、何から何まで指図し、どちらが主人公なのかと、先生方を苦笑させる
過干渉のお母さん方もいます。こういったお母さんのもとでは、2歳児から4
歳児に、もっとも大切な好奇心は育ちません。好奇心は、小さな疑問を解決す
る意欲を育てる起爆剤です。その意欲から行動が生まれ、試行錯誤を繰り返し
て得たものが知恵となります。これは、勉強をして身につける知識ではなく、
子どもらしい子に育っていくために、体験を通して培われた、大切な知恵です。
好奇心は意欲を育て、意欲は知恵を育みます。
「どうも、うちの子は消極的で、私がいないと何もしないのですよ」
と嘆くお母さん方がいますが、それは、お子さんが好き好んでそうなったので
はなく、育児が、過干渉な結果であることに気づいてほしいですね。
また、ある幼稚園のジェスチャー遊びで、「掃除機を使って掃除の真似をする
様子」を演じたところ、子どもには、何のことかわからず、なかなか答えが出
ません。
「ほら、ママが、いつもこうやっているでしょう?」
「あっ、ゴルフだ!」
と答えたそうです。笑い話のようですが本当にあった話です。お母さんはキャ
リアウーマンで、一緒に住んでいたおばあちゃんが、家事を仕切っていたこと
から起きたものですが、考えさせられたものでした。普段、母親の家事をする
様子をあまり見ていない結果だったわけです。料理、洗濯、掃除などをお母さ
んがやっていれば、こういうことも起きないでしょうが、育児の大半をベビー
シッターなどに任せているようでは、こんな時に、しっくりといかない親子関
係が、顔をのぞかせる可能性のあることも、肝に銘じておきましょう。
(次回は、「幼稚園のテスト(2)についてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★二、三歳児の心身の発達特徴
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第3号
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二、三歳児の心身の発達特徴
高校や大学受験のように、受験生の成績だけで合否を決められないのが、幼稚
園や小学校の受験です。幼稚園の場合、三年保育のテストは、10月から12
月にかけて行われますから、早生まれのお子さんは、二歳で受験生になります。
桐朋幼稚園を除き、幼稚園で実施されているテストの内容を、具体的に発表し
ていませんが、一つの目安として、文部科学省が公表している資料があります
ので、それを参考に検討してみましょう。そうすれば、幼稚園入試は、子ども
達の発達段階を踏まえて行われていることもわかると思います。
それから、市販されているガイドブックなどをご覧ください。幼稚園側も、二
歳児、三歳児の試験には、いかに苦労しているかがわかります。さらに、うわ
さの一つでもある、「何でもできる、頭のいい子」だけを求めていないことも、
理解していただけるはずです。
幼稚園の入園テストは、子どもの知的な能力だけを見ているのではありません。
妙なうわさに惑わされないためにも、二、三歳児の発育状態を見て、しっかり
と理解してほしいと思います。そうすれば、子どもに無理な準備を押しつける
こともないでしょうし、こんなこともある訳はないのですが、親子で受験地獄
なるものに落ち込み、苦しむこともないからです。
これは、昭和23年3月に、文部省令改正によって、教育課程の基準に定めら
れたもので、保育要領(幼児教育の手引き)の中で紹介されている「幼児の心
身の発達特徴」です。古いものですが内容は、現代にも通じます。戦後の混乱
期に、こういうことをやっていた方々がいたのですから、頭が下がります。国
家の復興の礎は、何と言っても教育だからです。
[身体の運動的発達]
◇二歳児◇
1 倒れないで走れる。
2 一人で階段を昇降できる。
3 大きいボールを蹴る。
4 積み木三個を積み上げて塔を作る。
5 垂直の線を模倣して引く。
6 紙を一枚ずつめくる。
7 さじを上手に使う。
◇三歳児◇
1 両足をそろえてとぶ。
2 脚を交互に踏み出して階段を上がる。
3 円を描いてみせるとまねて描く。
4 積み木で橋を作ってみせるとまねて作る。
5 正方形を模写する。
6 はしを使うことができる。
7 はさみを使うことができる。
8 ボタンの掛けはずしができる。
9 くつをはく。
10 水が半分ぐらい入ったコップを持ち運ぶ。
こういった身体の運動的発達を踏まえ、幼稚園で行われているテストをみると、
なるほどと、うなずけます。標準的な発達から逸脱していないことがわかるか
らです。
[知的発達]
◇二歳児◇
1 見慣れた物の名前を言うことができる。
2 性の区別がわかる。
3 自分の名前を言うことができる。
4 絵の中の物を3つ以上列挙する。
5 過去と現在の区別がわかる。
6 簡単な形の区別がわかる。
7 目の前にない名前を言うことができる。
◇三歳児◇
1 絵を描いて命名する。
2 仮定的な場面を考えることができる。
3 四つの物を数える。
4 短文(二・三語)の反復ができる。
5 空間関係(上、下、前、後)を了解する。
言葉は、二歳児で二百前後、三歳から四歳にかけて千五百以上と飛躍的に増え
てきます。ある幼稚園では、幼児に立て続けに質問をすることから、立て板に
水のごとく、よどみなく答えられなければ合格しないといわれているようです
が、それもおかしなことだとわかります。二、三歳児の知的な発達は、この程
度なのです。しかし、比較してはいけません、これはあくまでも標準データで
すから。
[情緒的発達]
◇二歳児◇
1 恐怖、不安、ちょっとした不快感などのためにもすぐに泣きやすい。
2 新しい場面にはほとんど何時でも恐怖心を示す。
3 かんしゃくを起こしやすく、その時泣いたり、引っ掻いたり、 足踏みしたりする。
4 喜びを表すのに微笑みや笑いをもってする。
5 子どもより大人に対して親愛の情を表す。
6 感情の興奮のためお漏らしをすることがたびたびある。
7 嫉妬心を起こしはじめる。
◇三歳児◇
1 困ったり、非常に不愉快なこと、苦痛があると泣きやすい。
2 だんだん特殊なものを恐がりはじめる。(犬や猫など)
3 まだときどきはかんしゃくを起こすことがある。
4 喜びを言葉で表現することがある。
5 子供どうしの愛情を表わしはじめる。
6 小さいものをかわいがりはじめる。
7 大人の干渉をいやがる。
二歳児は、まだまだ情緒の不安定な時期です。ですから、しっかりとした親の
保護が必要なこともわかります。情緒が不安定なのは、自立の準備が始まって
いて、何だかよくわからないけれど、やってみたいのだが、うまく出来ないも
どかしさや苛立たしさといいますか、今までなかった感情の変化に、幼児自身
も戸惑っている時期ではないかと思います。
三歳児には、大人の干渉を嫌がる兆しが現われています、反抗期です。自立の
準備が、着々と進んでいることがわかります。こういう時期の受験ですから、
親の思い通りにはならないものです。やはり、熟練のスタッフを備えた幼児教
室での適切な指導が歓迎されているのは、こういった状況下での受験だからな
のです。
[社会的発達]
◇二歳児◇
1 簡単な衣服を引っ張って身につける。(ソックス、指なし手袋等)
2 家の中のことのまね遊びをする。
3 一人遊びと並行遊びが多い。
4 反抗期が始まる。
◇三歳児◇
1 手を洗う。
2 他人の注意を引くためによく質問をする。
3 社会活動の中に入りはじめる。
4 順番を待つことがわかる。
5 ごっこ遊びが多くなる。
6 自己主張が強く、反抗的になることが多くなる。
自分でやってみようとする意欲は、模倣、まねとなって現われてきます。「模
倣 まねる」は「学ぶ」につながっていく基本的な学習姿勢であると共に、自
立の始まったことを示しています。お手本は、ご両親、特に、お母さん方です。
しっかり観察されています。お父さん方も、よいお手本を見せておかないと後
悔することになります。
並行遊びが出来るのは、友達と遊ぶための準備も始まっている証で、社会性の
育つ兆しが現われているのです。
二歳児は、第一次反抗期に入っていることがわかります。三歳児の自己主張が
盛んになるのは、自立の時期に入ったことを示しています。心身共に変化期を
迎えたことが、はっきりとわかります。
こういった幼児の心身の発達を踏まえ、生まれ月を考慮しながら、無理のない
入園準備を進めていただきたいと思います。
(次回は、入園テストについてお話しましょう)
2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★幼稚園を受験される皆さん方「はじめの一歩」
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「めぇでる教育研究所」発行
「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
第2号
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幼稚園を受験される皆さん方「はじめの一歩」
古くは「0歳からの母親作戦」「幼稚園では遅すぎる」(井深 大 著)、右
脳の働きが話題になると「0歳から始める脳内開発」(石井 勲 著)など、こ
と幼児の教育に関しては、さまざまな情報があふれエスカレートする傾向にあ
るようです。
中でもお母さん方の関心の的は、かつて「受験戦争の低年齢化」と、マスコミ
から非難されたこともある、国立、私立小学校附属幼稚園への入園ではないで
しょうか。ここ数年、少子化に伴い近所に遊ぶ子どもがいないこと、また核家
族化の影響から過保護、過干渉の育児になることを心配し、3年保育を希望す
る方が増えています。そういったことから、特別な指導を受けなければ合格し
ないなどといった怪情報、うわさなども流れているようです。
では、幼稚園側は、幼児に厳しいテストを受けさせ、その結果だけで合否を決
めているのでしょうか。
入園を希望する幼児の年齢を考えれば、そのようなことは決してあり得ないと、
賢いお母さん方は笑って過ごせるのですが、一部のお母さん方にとっては、こ
ういった情報に耳をそば立てがちなのも、残念ながら事実のようです。
しかし、ここで考えていただきたいのは、国立・私立の有名小学校で実施され
ている入学試験は、「知育・徳育・体育の3つの能力が、バランスよく発育し
ているかどうかを判定するために、いろいろと工夫され、その年齢にもっとも
ふさわしい方法で行われている」ことです。
学齢期を迎えた子ども達でさえ、こういった配慮がなされています。入園テス
トを受ける子ども達は、それ以下の年齢の幼児で、知力も集中力もまだまだ未
熟ですから、知的能力を中心としたテストを行うなど、とても考えられること
ではありません。
ただ、お母さん方が入園を望まれる、いわゆる国立・私立の小学校に附属する
幼稚園では、毎年、多くの応募者があり倍率も高いですから、小学校と同様、
やはり狭き門をくぐらなければならず、そのために選考試験があるわけです。
かなり情報が行き渡っていると言われている有名小学校の入学試験に関しても、
巷に伝わる、単なるうわさに惑わされるお母さん方は、依然として少なくあり
ません。ましてや、幼稚園についての情報は、一般に不足気味です。そのよう
なことから、不正確な情報に心を奪われるお母さん方にも、同情の余地ありと
言えるでしょう。
だからと言って、テスト、テストと神経質になるのは、お母さん方にとっても、
いや、子ども達にとっても、決して良い結果をもたらすものではありません。
発達段階を無視した知的なトレーニングは、心をゆがめるもとになるとも言わ
れています。
2歳から3歳にかけ、日常生活で経験しておくべきこと、身につけておかなけ
ればならない基本的な生活習慣など、手を抜けないことがたくさんあります。
入園テストの問題集を買い、知的な訓練をする前に、お母さん方には正しい情
報を身につけてほしいのです。
幼稚園の選択は、お子さんの一生を左右するかもしれない、教育の第一歩です。
「はじめの一歩」、何事もスタートが大切です。
そのためには、どのような入園テストが行われているかを知ることです。なぜ
なら、テストの内容を分析すると、身体発育、知的発育、情緒的発育、社会性
の発育などを、総合的に判定していることがわかるばかりか、幼稚園の求めて
いる子ども像まで、知ることができるからです。
繰り返しますが、入園テストは、子ども達の知的な能力だけを見ているのでは
ありません。
妙なうわさなどに惑わされないためにも、まず、「2、3歳児の心身の発達特
徴」を知り、テストはその発育状態に基づいて実施されていることを理解すべ
きなのです。
そして、幼稚園の保育方針を理解し、高校まででいいのか、大学まで続く一貫
教育制度がいいのか、また共学か別学か、宗教教育がふさわしいのかなど、総
合的に考えることが大切です。
これが、幼稚園の受験を考えている保護者の皆さん方の「はじめの一歩」です。
そうすれば、子ども達に無理な受験準備を押しつけることもないでしょうし、
こんなことはあり得ないのですが、親子で受験地獄なるものに落ち込み、苦し
むこともないからです。
次回は、「二、三歳児の心身の発達特徴」についてお話しましょう。
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>★★情操教育、難しく考える必要はありません 話の読み聞かせ (2)
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「めぇでる教育研究所」発行
2016さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第4号-
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第1章 (2)情操教育、難しく考えることはありません
話の読み聞かせ (2)
「竜宮城って、おもしろいところだな。絵に描いてみるかな」
となると絵画の領域です。幼児期の絵は、写生ではなく、イメージ、想像して
描いたものです。ファンタジーの世界ですから夢もふくらみます。絵を描こう
とする動機は純粋です。幼児には、この「……かな?」がついた時こそ、好奇
心の芽を育む絶好のチャンスなのです。「小学校の入学試験に、絵を描かせる
学校があるから、絵画教室に行きましょう」と考えて始めるのは、子どもの希
望ではありませんから、絵を描くことが好きになるとは思えません。
最近、絵を描くことをいやがる子どもが増えていると聞きますが、想像力が培
われてくる前に、大人の求める望ましい上手な絵を期待するからではないでし
ょうか。感性が磨かれなければ、絵は描けません。
(環境+五感が受けた刺激)×(想像力×好奇心÷そしゃく力)=描かれた絵
妙な式ですが、冗談、冗談です。
専門家の先生に叱りとばされますから、深く詮索なさらずに読み流してくださ
い。感性は、子ども自身が与えられた環境の中で、自らの力で培ってきた「自
前の性能」ではないだろうかと言いたいのです。親が、注文を付け始めると、
おもしろくない絵になりがちだからです。
お子さんの絵について、振り返ってみましょう。
2歳頃から、点や線の殴り書きが始まったのではないでしょうか。
3歳頃から、直線や曲線を使って○や□らしきものが表われ、それこそ、ある
日突然、頭から手足がニョキニョキ出ている頭足人間を描いたと思います。
やがて、頭と体が分かれ、一応、人間らしくなりますが、手は電信柱のように、
横に真っすぐのびたままで、年長さんになって、やっと手も下におり、人間と
認められる絵になったのではないでしょうか。
ここまで表現できるようになるには、これだけの段階を踏んでいるのです。絵
は、言葉や身体表現と比べ、差のつきやすい能力といえます。うまい絵を求め
るより、何を描きたがっているのか、その内容に注目し、楽しく描ける雰囲気
を作ってあげることが大切です。
「絵は心の窓」ともいわれ、心の屈折が表れるそうです。冷静にお聞きくださ
い。もしかしたら、遺伝もあるかも知れません。ご両親、特に、お母さんは子
どもの頃、どういった絵を描いていたか、ご自身のお母さんに聞いておきまし
ょう。
話の読み聞かせの効果は、まだ、あります。
むかし話をはじめ、子どもの読む本は、勧善懲悪から成り立っています。正義
は、必ず勝ちます。倫理、道徳、善悪について、襟を正して説教をしなくても、
きちんと学習しています。言ってみれば、お子さん用の「修身、道徳講座」で
す。情操教育の基礎、基本を学習しています。
このことです……。
3歳を過ぎる頃から自立が始まります。自立が始まると、いろいろな経験を重
ねながら、さまざまな感情も一緒に培われます。これが情緒です。この情緒の
分化が、5歳頃から始まります。
赤ちゃん時代は、「ママ!」の一言で全ての要求を表し、ついこの間までは、
何でも泣くだけで表現していたことを考えれば、言葉で表せるのは、格段の進
歩ではないでしょうか。
今まではおもちゃ箱の中に、乱雑に入れられていたおもちゃが、「自動車はこ
こ」、「縫いぐるみはこっち」、「ままごと道具はあっち」と、きちんと整理
されて行く状態になるのです。まだ、整然とはいきませんが。
つまり、未分化だった情緒が分化されて、大人に見られるような、「喜び、怒
り、楽しみ、悲しみ、望み、不安」といった情緒が表れ、いろいろな話を聞く
ことから、喜怒哀楽など心の動きを誘い起こされ、幼いなりに自我を作ってい
るのです。
ずる賢い人には、怒りを覚え、悲しい話になると涙ぐみ、正直な人が報われる
と笑顔を見せ、恐い話になると表情も変わってきます。話をきちんと理解して
いる証拠です。正しいこと悪いことの分別を、感情を移入しながらシミュレー
ション学習をし、幼いながらも、正義に対する憧れや悪に対する嫌悪感を養っ
ているのです。それが自我であり、個性を培っていく基本的な学習になってい
るのです。
「三つ子の魂百まで」の意味は、ここにある事も忘れてはならないでしょう。
まだ、あります。これが最も大切だと思います。お母さんが感情こめて読んで
あげると、子どもは真剣に、心をこめて聞くものです。そこから、人の話を静
かに、行儀よく聞く姿勢が身につきます。これは、これから始まる小学校の勉
強に、スムーズに取り組むために身につけておきたい、大切な心構えであり、
学習態度です。話が聞けないようでは、いくら漢字が読め、足し算や引き算が
でき、九九をそらんじていても、駄目です。小学校の先生に聞いてみると、み
なさん、そうおっしゃいます。それほど、話を聞く姿勢を身につけることは大
切なのです。話を聞く姿勢ができていないと、勉強についていけず、落ちこぼ
れることにもなりかねません。
あまり本を読んであげずに、
「人の話は、キチンと聞かなくては駄目だと、お母さんはいつも言っているで
しょう!」
と、恐い顔して、厳しく、何十回と言っても無駄でしょうね。言葉だけで説得
できません、態度で示すに限ります。本を読んであげることで、お母さん自身
が、よいお手本を見せています。
それが、話を聞く姿勢を身につける訓練になっているのです。
ひたすら自己中心に行動する子や、落ち着きがなくじっとしていられない子に
なる原因の一つとして、話を聞きたがる大切な時期に、読み聞かせを怠ったこ
とも考えられるのではないでしょうか。モンテッソーリの「敏感期」で、その時
期に著しく成長し、それを過ぎると鈍感になる成長過程のことです。真偽の程
は定かではないようですが、言葉の敏感期に人間の言葉に触れなかったため、
言葉を話せないまま成長したインドの狼少年は、敏感期を実証した話ではない
でしょうか。
マリア・モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教育
を実施し、知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困層の健常
児を対象にした保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。
以後、モンテッソ―リ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるように
なった。
(ウィキペディア フリー百科事典より)
それはともかくとして、話の読み聞かせは、予想もつかない力も育みます。
話がおもしろければ、そしてそれが長編ともなれば没我の世界の中で、一つの
ことに集中できる持久力や耐久力さえ身につきます。気力や体力は、運動だけ
で培われるものではありません。こういった精神力を鍛えることで、物事に取
り組む意欲や頑張る力も育まれます。
さらに、すごいと思うのは、
「言語能力を高めるためのお勉強ですよ!」
といった意識は、読んでいるお母さんも、聞いているお子さんにも、全くない
はずです。無意識の内に、自主的に、積極的に、しかも楽しく学習しています。
これこそ、「教えない教育」の最も効果的な方法ではないでしょうか。「教え
ない教育」とは、誤解を恐れずにいえば、本人は、勉強だと思っていないにも
かかわらず、ものすごい勉強をしていることです。何かを学ぼうとする気持ち、
学習意欲が身につきます。
しつこいですけれど、まだ、あります。
お母さんの表情豊かな、やさしい語りかけが、何よりのスキンシップなのです。
ですから、本をたくさん読んであげるお母さんは、子どもに慕われます。それ
は、お母さんとお子さんが、同じ土俵に上がり、同じ気持ちで、物語の世界を
楽しんでいるからです。お母さんは、こんな荒唐無稽な話などありえないと思
っても、また少し抵抗を感じる言葉でも、一切、無視し、お子さんのレベルに
合わせて読んであげているはずです。視線は同じ高さですから、心は通います。
視線の高さが違ってくると、命令と忍従の関係になりがちです。
しかし、一つだけいっておきたいことがあります。
いくら話の読み聞かせは素晴らしいといっても、お子さんが興味を示さない本
では、あまり効果はありません。「少年少女 世界名作全集 全十巻」などを
買い揃えるのはどうでしょうか。
「本当は、『かちかち山』の話、読んでもらいたいのだけど……」、こういっ
たことは、小さい時から、とかくありがちです。気を遣ってください、親の考
えを押し付けるのは、決していいことではありません。私たち親は、とかく子
どものためによかれと思ってやることが、案外、子どもには迷惑な話となって
いる場合があるものです。「あなたのためなのに……!」という前に、親のエ
ゴが優先していないか考えましょう。
(お断わり 同名の「少年少女 世界名作全集 全十巻」があったとしても、
その本とは一切関係ありません)
また、ご両親が子どもの頃に読み、印象に残った本を読んであげることがある
でしょうが、
「どう、面白かった?」
といった言葉がけはやめましょう。親のイメージを押し付けることになりがち
だからです。
「ケンちゃん、どうだったかしら?」
と軽い気持ちで聞き、反応が今一の場合は、引き下がる思いやりも必要です。
読んでほしいとリクエストがあり、数回読んであげて、しっかりとしたイメー
ジが出来上がってから、感想を聞くようにしましょう。
ところで、本の選び方ですが、一緒に図書館へ行き、最初はお母さんが選んで
あげ、後はお子さんに任せてみましょう。お子さんが選んだ本は、たとえ、年
齢にふさわしくない幼い内容であっても、いやな顔をせずに読んであげてくだ
さい。そして、自分で選んだことをほめてあげましょう。お子さん自身が興味
を持たなければ、本の好きな子にならないからです。読書の芽は、ご両親の優
しい心遣いから培われるものではないでしょうか。
また、「読書の時間です」などと、スケジュールをキッチリと組むのもどうで
しょうか。お子さん自身に読んでほしいという意欲がないときは、あまり効果
的とは言えません。お子さん自身が望んだときが、最高の教場となるからです。
習慣にしてよいのは、寝る前に読んであげることではないかと思います。今年
6月に再開された横浜雙葉小学校の説明会でも、学園長は「お子さまと添い寝
をしながら本を読んであげる機会が少なくなっているのでは」と懸念されてい
ましたが、皆さん方はどうでしょうか。
最後に、図書館には紙芝居がたくさんありますが、利用してみましょう。紙芝
居は、絵と言葉の表現に無駄がありませんから解りやすく、また、親子で向き
合っていますから、お子さんの表情がよく見え、どういったことに興味をもっ
ているかがわかるからです。
ところで、図書館で騒いでいる子や遊んでいる子もいますが、公衆道徳を教え
るのは、ご両親の大切な仕事です。手を抜いていると、あとで困るのは、お子
さん自身です。
また、借りた本は大切に扱う習慣をつけましょう。落書をされた本やジュース
などをこぼしたあとさえ残っているものも見かけます。「みんなで使うものは
丁寧に扱う」、これも守らなければいけない規則です。たった1冊の本から、
育児の姿勢が至るところに顔を出しています。
そして、返却期日は、必ず、守りましょう。こういった約束事は、幼児期にき
ちんと身につけてあげれば、お子さんの人格形成の礎にもなるからです。繰り
返しますが、「三つ子の魂百まで」は、「良い習慣は幼児期に身につく」こと
を伝える、育児の鉄則ではないでしょうか。
このように、幼児期は、文字を教えこむより、心をこめて本を読んであげ、心
の通った会話ができる環境を作ってあげることが大切です。「文字よりも言葉」
です。これが私の考えているご家庭でできる「情操教育」の基礎、基本ですが、
納得していただけたでしょうか。
(次回は、季節の行事についてお話しましょう)
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