2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>入学試験の傾向

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         「めぇでる教育研究所」発行
2026さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2026年度入試(2025年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第16号
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入学試験の傾向 
 
小学校の試験を目指す皆様方ですから、既に、ご承知と思いますが、ペーパーテストを実施しない学校も増えました。また、ペーパーテストを行う学校でも行動観察型のテストを併用しています。
その経緯については、あとで詳しく紹介するとして、学校側が試験を通して何を見ているのか、何を求めているのかについて、簡単に触れておきましょう。
 
ペーパーテストを行わない学校は、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、立教小学校、桐朋学園小学校、川村小学校などで、いわゆる行動観察型のテストを実施しています。(青山学院初等部は以前
はペーパーテストを行っていませんでしたが、コロナウィルス感染症拡大を機にペーパーテストを行うようになっています。)
 
「ペーパーテストを行わずに、何がわかるのですか?」と、疑問視する方も大勢いらっしゃるようです。
 
ところが、これがよくわかる仕掛けになっているのです。
仕掛けといっては失礼になるかもしれませんが、ある年の桐朋学園小学校の学校説明会で、たまたま顔を出された校長先生が、面接についておもしろい話をしてくれたのでした。
 
「私どもが面接をしないのは、親御さんに『趣味は何ですか』とうかがっても、本当は競輪や競馬が大好きでも『読書、音楽鑑賞です』とおっしゃるでしょう。だから面接をしません。しかし、
私どもでは二日間、お子さんを預かりますから、どのような家庭環境で育てられているかわかるのです」
 
文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
その通りではないでしょうか。
 
子ども達は演技ができませんから、育てられた環境を、そのまま正直に、試験会場で見せることになります。
 
基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣いから社会性や協調性といった集団への適応力など、手に取るようにわかるのではないでしょうか。
ですから、「ペーパーテストがないから受験準備は楽だわ!」などと考えるのは、とんでもない誤解で、行動観察型の試験は、ペーパーテストより難しいところがあります。
 
なぜなら、先生方の言葉を聞き取り、理解し、考え、自分の言葉で表現したり、絵を描いたり、行動する、それが行動観察の試験だからです。
どういった準備が必要だとお考えでしょうか。
 
次にペーパーテストを実施している学校ですが、暁星小学校、雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科(一時期、ペーパーテストをやめていたのですが)、
立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、国府台女子学院小学部などです。
 
このように学校名をあげてみると、何かお気づきのことはありませんか。
 
そうです、何とも不思議なことに、宗教教育を行っている学校が多いのです。しかも、いずれも、いわゆる名門校ですから、試験問題の難易度は、高いことも共通しています。
なぜ、難しい問題が出題されるのでしょうか。
 
おそらく、過去問といわれている、以前に出題された問題を集めた本などを使い、繰り返し問題を解くといった受験準備ではなく、基礎知識をきちんと身につけた上で、問題を解く力を備えてほしいと、学校側は考えているのではないでしょうか。
 
簡単に説明するのは難しいのですが、わかりやすい話だと思いますので紹介しましょう。
 
試験問題の中に、「四方図」、「四方観察」と呼ばれるものがあります。これは、テーブルの上に置かれた左手をあげた縫いぐるみを、前後左右から見ると、どのように見えるかといった問題で
す。この場合、四つの方向から見ることになりますから、四つの違った答えがあるわけです。
 
つまり、学校側は、答えは一つだけではなく、いろいろな方向、立場からものを見て判断する、そういった力を持つ子どもを求めているのではないでしょうか。 
 
さらに、ペーパーテストではなく、こういった問題もありました。
 
・雙葉小学校
 お皿に入っているプラスチックの玩具の宝石20個ほどを、細かく分かれている箱に、塗り箸でつまんで入れる。
 
・白百合学園小学校
 プラスチック製の穴の空いた板に紐が通してあるお手本を見ながら、同じように紐通しをする。
 (暁星小学校でも出題されました。)
 
・暁星小学校
 机の上に弁当箱、弁当箱のふた、弁当袋、箸、箸箱、箸箱のふた、校内着、 半袖のポロシャツ、ハンカチ、ティッシュ、本、靴下などがバラバラに置かれ、それをファスナー付きのカバンの中にきれいに詰める。
 
 靴を脱いで、机にある折り紙をとってきて、好きなものを折る。
 (5個折らせた年もありましたし、少し力の必要な折り方が出題されたこともあります)
 
・青山学院初等部
 靴を脱いで手を洗いにいき、椅子をテーブル代わりにして、煎餅、クッキー、お茶を自分で用意し、いただく。食べ終えたらゴミを分けて捨て、後片付けをし、席で待つ。
 
・日本女子大学附属豊明小学校
 いろいろなビーズの入ったトレーから、自分のお皿にできるだけ多くのビーズを塗り箸で移す。
 細い紐にビーズを通して端を結びネックレスを作る。
 クーピーで絵を濃淡に塗り分ける。
 
・東洋英和女学院小学部
 机に置いてあるカゴの中から、弁当箱とハンカチをとってくる。
 次にテスターが持っているカゴから、ピンポン玉2個と豆を箸で取り、弁当箱に入れる。そして、テスターの手本どおりにハンカチで箸と弁当箱を包み、指示された机に置く。
 
・立教女学院小学校
 塗り箸で、さいころの形をしたキューブを隣の紙のお皿に移す。
 
・千葉日本大学第一小学校
 教室の後ろのテスターのところに並び、洋服をハンガーごと持ってくる。ハンガーから洋服を取り、着ている服の上からきる。
 ボタンを1つかける。ボタンを外し、着た服を脱ぎ、ハンガーにかけテスターのところへ持って行く。
 
・早稲田実業学校初等部
 靴を脱いでじゅうたんに上がり、お手本を見て封筒を作る。作り終えたら机の中から雑巾を出して手を拭いたあと、机を拭き、たたんで机の中にしまう。
 
・田園調布雙葉小学校
 持参した服に着替え、着ていた服を風呂敷で包む。
 
・横浜雙葉小学校
 お友達と床に正座して、おしゃべりをせずに、持参した弁当を食べる。
 
・日出学園小学校
 ふわふわボール6個を箸でつかみ、弁当箱に入れナフキンで包む。
 
 
学校側は、何を見ているか、おわかりいただけたと思います。
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを知りたいわけです。
基本的な生活習慣はしつけであり、それは、ご家庭の育児の姿勢でもあるわけです。
 
東洋英和女学院小学部の寺澤東彦元部長は、「しつけや言葉遣いは、生まれる前に刷り込まれているわけではないから、強制的に教え込まなければならない」とおっしゃっていますし、国府台女
子学院の平田史郎学院長は、「訓練されていない個性は野性である」とさえいっています。
 
両校とも宗教教育を行う女子だけの学校です。
ご家庭の教育に何を求めているのでしょうか、受験準備のポイントは、ここにあると思います。
 
つまり、知識だけ身についた偏った子どもではなく、知・徳・体の三つの能力が、年齢相応にバランスよく育った気力のある子を望んでいるのです。
 
ですから、小学校受験でもっとも大切なことは、就学前の子どもにふさわしい基本的な生活習慣やしつけ、挨拶、言葉遣いなどを、きちんと身につけておくことなのです。
 
今からしっかりと計画を立てて、一つ一つ階段を上るように、地道な努力を積み重ねていくことが求められています。
 
いわゆる、付け焼き刃などは、絶対に効きません。
 
かつてのバブル経済全盛期の頃で、私立志向が過熱気味な状態にあったときでした。
あるミッション系の学校説明会で、校長先生は、こうおっしゃったものです。
 
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、受験準備、こと足れりとお考えになるのは、間違いであることに気づいてほしい」
 
これも昔の話ですから文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
このことではないでしょうか。
泥縄式とは、「泥棒を見てから縄をなうことで、事が起こってからあわてて、その対策に手をつけることをあざけていう言葉」ですが、特に、幼児の受験の場合、泥縄式は、絶対に通用しません。
 
これからの毎日の生活の積み重ねが、来年の秋に実を結ぶことを、肝に銘じていただきたいのです。
 
(次回は、「なぜ、ペーパーテストを廃止する学校が増えたか」についてお話しましょう)
 
 
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