2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>合否のカギを握るのは「志望理由」(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第65号>
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合否のカギを握るのは「志望理由」(2)
今回は、地元千葉県の4校を取り上げてみました。国府台女子学院小学部は、第52号「志望理由の決め方(2)」で紹介しましたので割愛しました。
■日出学園小学校
教育理念と目標
ここから大きく育つ、生きる力。
自主性 向上心 想像力 好奇心
小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、人間教育の実践をしています。
「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断できること。
「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組むこと。
「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校の目標です。具体的な内容に関しては、学校長のあいさつを参考にしてください。
「日出学園は昭和9年(上皇陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市川在住の有志によって創設されました。その中心になった青木要吉は若い日にアメリカに留学し民主主義と自由主義を肌で感じ、その体験から生徒の特性を伸長することに重点をおいた私塾的な雰囲気をもつ寺小屋のような少人数、男女共学の教育を目指していたと聞いています。
人間形成の土台づくりは、児童期の体験で決まると思います。小学校では、学校行事の関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験してもらい、その都度いろいろなことを考えて前に進んでほしいと願っています。そのために、異学年交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級生・上級生という立場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や共感性などを身につけてほしいと常々思っております」
教科では、国語力の向上に力を注ぎ、現在、約54、000冊の蔵書があり、恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手立てである「言葉の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」とも言われているように、正しい「書写力」を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変え、ネットで注文し、購買部で購入できるシステムが導入されています。また、学内で学童保育とアフタースクールが開かれ、働くお母さん方への支援、これも歓迎されているようです。
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、ホームページの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安全に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
■聖徳大学附属小学校
以前は、中学から女子校でした。
そのため、男子は中学受験する必要がありました。かなりの進学実績をあげていましたので、その進学体制は充実したものであったのではないでしょうか。
幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いたことがあります。
2021年4月より、光英VERITAS(ヴェリタス)中学校・高等学校と校名を変更し共学の進学校となりました。大学は女子だけですから、男子は受験となりますが、「共学でゆとりのある教育環境で学び、自分の進む道を選ぶ」をあげてもいいのではないでしょうか。
これで小学校がある女子だけの別学校は、国府台女子学院だけになりました。
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、学童保育やアフタースクールが盛んですが、本校の「アフタースクール」の大きな特徴として、車でのお迎えを容認していることでしょう。
登下校についても車での送迎ができるようになりましたので、お仕事を持っているお母さん方には強い味方になるのではないでしょうか。また、車でのコミュニケーションが貴重な親子の時間になっている、というお父様の声もあると聞いています。
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」としたそうです。
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのように期待するかをまとめてみましょう。
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧をしている女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのではないでしょうか。
■千葉日本大学第一小学校
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になりました。大学までの一貫教育校ですから、受験を考えなければ、16年間のゆとりのある教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約70%(受験等で外部の中学への進学が30%)、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでいます。
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わたし流に、心を表す言葉として考えると、真は「飾り気のない、偽りのない心」 健は「すこやかな精神」 和は「おだやかな心」となりますが、いかがでしょか。
本校の特色として、「大学との連携」「学習習慣の定着と学力向上」などがあります。
大学との連携では、近年、生産理工学部との連携も始まり、大学までの一貫校の強みを発揮しています。
学習については、6年間の自学が特長的です。1年生から課題を設定するのは、子どもたちにとっても自主性を身につけることができるツールではないでしょうか。また、創立以来、英語教育に力を入れ、卒業時に6年生「全員」が実用英語技能検定5級合格を目指していると、話しています。そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょう。
こういったことからまとめてみましょう。
なお、本校もアフタースクールを始めました。
■昭和学院小学校
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性格教育、情操教育なども重視する教育)」を掲げていますが、開校以来、少数の児童に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教育を重視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是「明敏謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には、「明敏とは活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」で、「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と説明されています。
2020年の入試から1学年105名募集となりました。
青木伸生校長先生は、説明会のとき、次のようにお話しされました。
「我々が育てたい子ども像は、『どのように時代が変わっても、その中で生き抜く力を持つ子ども』。そのために、教育目標として『高い学力』と『やさしい心』を掲げている。
『やさしい心』を育てるために、日々の教育活動の中で、教師が子どもの小さなやさしさを見逃さず、それを価値づけるという活動を積み重ねていく。それがやがて、子ども同士でやさしさを認められるようになっていくと考えている。
次に『高い学力』。本校で言う「高い学力」というのは、いわゆる受験対策のような知識やテクニックだけではない。それらを包括しているが、『未知の問題に立ち向かうことができる力、試行錯誤しながら何とか解決していこうとすることができる力』を高い学力と位置付けている。」
次に『高い学力』。本校で言う「高い学力」というのは、いわゆる受験対策のような知識やテクニックだけではない。それらを包括しているが、『未知の問題に立ち向かうことができる力、試行錯誤しながら何とか解決していこうとすることができる力』を高い学力と位置付けている。」
また、鈴木祐子元校長は以前、
「『明敏謙譲』の建学の精神のもとに、心と体と頭を磨き、謙虚さを備えた心身ともに健康な子を育ていく」とおっしゃっていました。
「心と体と頭を磨き」、響きのいい言葉ですね。「頭を磨き」が先行すると、頭でっかちな子になりがちです。子どもが望むのではなく、親がそう仕向けることに問題ありですね。
建学の精神である「明敏謙譲」については、例によって、育児の姿勢として私ども流に考えるとこうなります。
「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともいいますが、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の方がおなじみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持ちがあること」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健康で、自主性に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、「謙譲」は「謙虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き換えることができるでしょう。
独自の国語教育、伝統の図書館教育に加え、「視写」があります。
文章をそのまま写すことです。おそらく子ども達は、名文を写し、記憶し、漢字を覚え、語彙も増えるといったように、楽しい学習をしているのではないでしょうか。当然、やっていると思いますが、音読を加えれば効果抜群、などとおこがましい限りですが。
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついていけるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少から正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年長組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考えるのも当然ではないでしょうか。
それについて鈴木祐子元校長は、
「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュラムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまちまちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来する差はなくなります」
とおっしゃっていますから、心配ないようです。
注 ESL(English as a Second Language)英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
また、本校のアフタースクールには英語の授業が3講座設けられており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではないでしょうか。
本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、ホームページで進学状況の実績を見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だけの別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りしておきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持っていても、言う必要はありません。
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「おとうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアップして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたしども流の考え」にすぎません。こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。
それは、幼稚舎が作文をやめ、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化されている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由からです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話しできるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思います。
暑かった夏の疲れが出る頃です。家庭学習は無理をせず、体調を崩さないように、ゆったりと構えて取り組みましょう。無理は禁物です。
(次回は「直前の心構えについて」を予定しています)
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