さわやかお受験のススメ<小学校受験編>有名小学校の入学試験とは■■[1]求められる四つのパワー■■

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        「めぇでる教育研究所」発行
「2024さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2024年度入試(2023年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第18号★
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発行者よりお知らせです。
 「さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>」
は、11月から
 「さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
にタイトル変更してお届け予定です。
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有名小学校の入学試験とは
 
■■[1]求められる四つのパワー■■
 
過去にNHKの「お入学」の放映で、全国区に昇格したかどうかはわかりませ
んが、私立の名門小学校の受験騒動、話題になりました。過熱気味であった私
立志向も、バブル経済が弾けて静かになったようです。しかし、学習指導要領
も「ゆとりの教育」から「心の教育」に改訂されるなど、公教育の指針は安定
しないことから、私立志向は根強く息吹いています。
 
その証といっては何ですが、埼玉県には、私立小学校は浦和ルーテル学院小学
校、1校しかありませんでしたが、今では、4-4-4制を導入した開智小学校
(岩槻市)、水族館とプラネタリウムのあるさとえ学園(さいたま市)、英語
のシャワーで世界に発信を目指す西武学園文理小学校(狭山市)、中高別学か
ら共学にシフトチェンジした星野学園(川越市)も小学校を開設し5校になり
ました。
 
さらに、副都心線を利用すると、埼玉の川越から渋谷まで乗り換えなしで50
分となり、青山学院初等部、東京女学館小学校、慶應義塾幼稚舎、聖心女子学
院初等科などを受験する子どもたちも増えました。
 
また、東急東横線が副都心線と相互乗り入れを開始し、元町・中華街まで乗り
換えなしで行けるようになり、東京と神奈川の県境にある多摩川の下流地域に
住む人には不利といわれた横浜雙葉小学校などへの受験も増えているのではな
いでしょうか。
 
東京都は55校、神奈川県は30校、千葉県は10校、茨城県南部で3校(茨
城県全体で7校)と、私学の受け入れ態勢には、目を見張るものがあります。
 
そして、書店をのぞくと入学試験問題集も、たくさん売られています。中には、
「こんな難しい問題、本当にできる子いるのかな?」と、首を傾げたくなるの
もあります。しかし、問題集を読んでいると、学校側がどのような子どもを求
めているかがわかってきます。うわさでは、「頭脳明晰成績優秀名門家庭の子
女」だけを求めているといわれているそうですが、そんなことはありません。
 
「知力・徳力・体力・気力が、学齢期にふさわしく、バランスよく育っている
子」です。この4つの能力は、小学校受験に必要な基本的な力ですが、一朝一
夕に身につくものではありません。何もできなかった赤ちゃんを、根気よく、
忍の一字で育ててこられた皆さま方ですから、納得していただけると思います。
受験準備は、育児と同様、一歩一歩、確実に前進を目指す、地道な努力が必要
です。
 
では、学校側は、この4つの能力を、どのように判定しているのでしょうか。
 
第1は知力です。
 
これについては、わかりやすい解説がありますので紹介しましょう。
 
 「知能の定義には、いろいろありますが、ここではその中身を、知覚力・記
 憶力・言語能力・数能力・思考力としておきましょう。
  知覚力は、見たり聞いたりするものを、注意深く受け止める能力です。
  記憶力は、覚えこむ力・覚えている力・忘れたものを思い出す力で、観察
 力・弁別力もこの中に入ります。
  言語能力は、語彙力・表現力などです。
  数能力は、数・量・図形・空間に関する能力です。
  思考力は、推理力・構成力・判断力(洞察力・見通す能力)などを含みま
 す。思考力には、答えをいくつも考えられる拡散思考能力(創造的思考力)
 もあります」
 
 「ママ、生まれたらこんなふうに育ててね」 P.224
   (家庭教育システム研究会 著 横山ふさ子 画 サンマーク出版 刊)
 
「画」とありますように、この本は漫画です。サブタイトルが「赤ちゃんは親
を選べません」と、何とも厳しいのです。このタイトルに惹かれて買ったので
すが、内容はわかりやすく、これからママになる方に推薦したい本の一冊です。
 
第2は徳力です。
 
これは言うまでもなく、社会性や協調性といった「集団生活への適応力」です。
集団生活は人との関わりの中で培われていくものですから、自主的に取り組む
姿勢や自身をコントロールする自己統制力が養われてきます。
家では許されることでも、集団生活では認められないことを、幼稚園や保育園
での生活を通して経験し、少しオーバーではありますが、「共生、共に生きる
こと」を学んでいるはずです。
グループ別に行われる行動観察系のテストや運動テストなどで、日常の生活環
境や体験が姿を現します。過保護であればわがままに、過干渉であれば消極的
な態度になりがちです。
 
また、一つの例として、ペーパーテストでも、指示されたことをきちんと守ら
ないと、大きなマイナス点になります。
「始め!」 と言われる前に始めてしまったり、「止め!」 と言われても止め
られなくては、人の言うことを聞く姿勢ができていないと判定されるでしょう。
規則や約束を守ることは、集団生活をスムーズに進めるために、欠くことので
きないルールです。
公開模擬テストを受けて、「社会性や協調性に問題あり」とチェックが入った
場合は、通っている幼稚園や保育園の先生に相談しましょう。
「少し、問題がありますね!」
といった返事があった場合は、「大いに問題あり!」と受け取り、お子さんを
取り巻く環境を、ご両親で見直す必要があります。多くの場合、ご両親の育児
の姿勢に、その原因があるからです。
 
第3は体力です。
 
指示を理解し体で表現する理解力、機敏性や俊敏性を問う運動能力、どれだけ
頑張れるかといった持久力や耐久力などが判定されます。
もちろん、通学に必要な体力が培われているかも大切なポイントになります。
 
もやしっ子を鍛え直すために始めた暁星小学校のサッカーを持ち出すまでもな
く、現代っ子はスタミナ不足です。都会から原っぱが姿を消し、車が子どもの
足代わりとなっている生活が、スタミナをつける源を奪っているようです。
 
スタミナ不足は、単に体力的な面だけではなく、持久力や耐久力を培う「頑張
る意欲」にも、大きな影響を与えていることを、もっと真剣に考えるべきでは
ないでしょうか。集中力に欠け、すぐに飽きてしまうお子さんは、体力不足に
も原因があるとも言われています。
 
5分も歩かない内に「おんぶ!」と言うようでは心配です。夏休みから秋の試
験当日まで、大変なエネルギーを必要とします。それをクリアしなければ、小
学校の試験に挑戦できません。
 
ボールつきや縄跳びは、全身を使いますし、微妙なバランス感覚を養う運動で
す。目標を立てて挑戦し、続けることで力がつく、「持続こそ力を育む」こと
を、体験を通して学習させるべきだと思います。お子さんの運動能力をチェッ
クし、問題があれば、お父さんの出番です。
 
第4は気力です。
 
まだ、実感はわかないかも知れませんが、年長の秋を制する決め手は、「気力」
です。 そして、これだけは、何十冊の問題集をこなすだけで身につくもので
はありません。本人の自覚です。本人にやる気力がわかなければ、本当に頑張
る力はつきません。モチベーションを上げる、これも、ご両親の育児の姿勢と
深い関わりがあります。
 
早稲田実業学校初等部の説明会で「学校見学会には、是非、お子様と一緒に来
てほしい。この学校へ行きたいとお子さんのモチベーションを上げることがで
きるからです」とおっしゃっていました。新型コロナウイルス感染症の影響で
状況が変化していますが、オープンスクールを実施する学校が増えてきました
から、こういった機会を利用することも大切ではないでしょうか。
 
ところで、過保護や過干渉な環境で育てられていると、白百合学園小学校、立
教女学院小学校、光塩女子学院初等科のように、ペーパーの枚数が多く、限ら
れた時間内に取り組む試験には、俊敏に対応できません。
また、かつて慶應義塾幼稚舎が出題した、イーゼルを立てて絵を描くといった、
初めて経験することには、手が出ないでしょう。
 
成蹊小学校のように、反復運動を繰り返したり、「止め」と言われるまで続け
るような運動テストに耐えられないと思います。
 
ここで言う気力とは、自分一人でやり遂げた体験、体験学習を豊富に積んでい
くことから身についた「意慾」のことです。
 
ご両親が失敗を恐れずに、積極的にチャレンジさせ、自立心を身につけるよう
に心がけていれば、自ずと備わってくるものです。ご両親は、叱ることが少な
く、励ます言葉が多く、大らかな心を持っているはずです。お子さんのお手本
は、ご両親です。そういったご両親であれば、お子さんもできないからと言い
訳をすることもなく頑張ります。むやみに叱らないご両親からは、相手を思い
やる心が育ちます。
 
誤解されては困りますが、「何事にも叱ってはいけない」と言っているのでは
ありません。約束を守らない、嘘をついたときなどは、真剣に叱ります。「叱
るべきときは叱り、褒めるべきときは褒める」ご両親のことです。
 
自分でやり遂げた経験がたくさんあると、達成したときの快感を味わっていま
すから、何かに取り組もうとする意欲が育っています。
そして、いろいろなことを体験しているお子さんは、過去に出題された問題集
をやってみると、これと同じことを、普段、家庭や幼稚園、保育園で、一人遊
びや仲間遊びを通して、何らかの形でやっていることに気づくはずです。
 
幼児を対象にした試験は、大学などの入学試験とは違います。誤解を恐れずに
いえば、必要なのは、記憶だけに基づいた知識の量ではなく、体験をふまえて
培われた知恵の量だと思います。
 
すでに、模擬テストを受けられた方でしたら、ご存知のように、テストの出題
範囲は、ほとんどの場合、以下の10項目になっているはずです。
 
   1話の記憶  2数量   3常識   4推理・思考  5記憶力
   6構成力   7巧緻性  8社会性  9言語    10運動
 
先にあげた4つの力を、ペーパーテストや行動観察、面接を通して、こういっ
た項目に分けて判定しているわけです。小学校側も、この10項目内で判定し
ていると思います。来年の春には発売される今年度の問題集をお買いになると、
納得できるでしょう。10項目については、12月以降に解説する予定です。
 
以上の4つの力に加え、慶應義塾幼稚舎、桐朋小学校、桐朋学園小学校などを
除き、ご両親には面接があるわけです。その学校を選んだ理由をきちんと話す
ことで、合否の判定が行われます。小学校の入学試験は、試験を受けるのはお
子さん自身ですが、「判定されるのはご両親の育児の姿勢である」と言われる
のは、こういった仕組みになっているからです。推薦制度を取り入れる学校も
増えてきましたが、その条件は、やはり、育児の姿勢を重視しており、決して
安易なものではありません。
 
最後に、東日本大震災は、電車通学する子ども達に大きな課題を与えました。
暁星小学校の説明会では、生徒全員の寝袋を用意していることや、慶應義塾幼
稚舎では、プールの水を飲料水に還元できる機器や、自家発電装置を設置した
話などもあり、どこの学校も十分な対策を立てていると説明していますから、
心配はないでしょう。
 
今、子どもたちに求められているのは、災害時に対応できる気力と体力です。
東日本大震災が起きた年、成蹊小学校の説明会で8時間かけて自宅にたどり着
いた、1年生の書いた作文を披露しましたが、親切な女性3名の温かい応援が
あったとはいえ、まさに、幼いなりに、気力と体力を振り絞った「自奮、自励」
(成蹊小学校の教育理念の一つ)の体験談でした。
 
来年の学校選びには、登下校時に地震が起きたことを想定して、それに対処で
きる気力と体力を充実させる育児を心がけることも、学校選びの大切な条件に
なるのではないでしょうか。
 
次回からは、実際に行われている入学試験についてお話します。
かなり、すごいことをやっています。しかし、きちんと段階を踏んで学習し理
解していけば、そんなに心配するものではありません。
 
そのためにも、まず、試験の形式から説明しましょう。
 
     (次回は、試験の形式についてお話ししましょう)
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