さわやかお受験のススメ<保護者編>第11章 お月見です   長 月(1)

 
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       「めぇでる教育研究所」発行
   2023さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第40号-
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第11章 お月見です   長 月(1)
 
 
8月はまだまだ「夏」という感覚ですが、暦の上では、今月から秋です。
秋の読み方は、「黄熱(あかり 稲が成熟する)からとの説が一般的ですが、
秋空が「あきらか(清明)」である、収穫が「飽き満る」、草木の葉が「紅
(あか)く」なるなどの説もあるようです。
長月(ながつき)のいわれは、秋も深まり、次第に夜が長くなっていくから
「夜長月」の略が、わかりやすいですね。
これにもいろいろな説があり、「稲刈月(いねかりづき)」の「い」と「り」
を略して「ねかづき」が「ながつき」となったものや、「稲熟月(いねあか
りつき)」が略されたという説もあるそうです。
 
 
 
★★お月見ですね★★
 
9月といったら、お月見ですね。
天保暦でいうと、8月15日にあたり、今のグレゴリオ暦では、9月の15日
から20日頃が見頃です。今年は少し早く、9月10日です。
 
秋の澄んだ夜空に、こうこうと輝く満月を観賞する習慣は、古くから中国にあ
り、それが平安時代に貴族の間に伝わり、やがて、武士や庶民にも広まったも
のです。昔は、「中秋の名月」といい、月を眺めながら、和歌を詠み、お酒を
酌み交わし、秋の夜を過ごしました。何やら風流な趣が伝わってきそうですが、
お百姓さんは、それどころではありません。何しろ日本は、農耕民族でしたか
ら、とにかく自然が頼みの綱です。
 
お月さまは、お百姓さんにとって、お日さまと同様、大変な存在でもあったの
です。
ご存知のように月は、およそ1ヵ月の間に丸くなり、また、だんだんと欠けて
いきます。新月から1週間程で半月になり、15日程で満月に、1週間後には
半月となり、再び新月に、これの繰り返しです。そこで昔の人は、満ち欠けす
る月の形から、1ヵ月のおよその日にちを知ることができ、それをもとに農作
業の時期、段取りを行っていました。
 
また、月の明かりで、夜遅くまで農作業ができたのです。言ってみれば、お月
さんは暦であり、時計であり、夜間の照明器具でもあったわけですから、感謝
の心は、現代では考えられないほど、深かったに違いありません。
 
さらに、旧暦の8月といえば、稲にとっては、夏の暑いお日さまを、さんさん
と受け、しっかりと実をつける時です。しかし、台風が来ると、折角、丹精を
込めて育ててきた稲は、強風と豪雨でメチャメチャになってしまいます。台風
一過の秋晴れのもとで、すっかり水を被ってしまった田んぼを、お百姓さんは
ぼう然と眺めるしかありません。ですから、お月さまに、すすきや秋の花とお
だんごや果物芋などを供えて、自然が荒れないようにお祈りを捧げたのです。
 
なお、十五夜を見た場合には、旧暦の9月13日(現在の10月10日~30
日頃)の十三夜も見なければならないといわれています。1回しか見ないお月
見を「片見月」といい、不吉なことが起こると嫌われていたからだそうです。
十三夜は、栗や豆を備えることから「栗名月」「豆名月」ともいい、十五夜が
中国から伝来したものに対し、十三夜は日本のオリジナルな風習です。
 
また、「十三夜に曇りなし」ともいわれ、晴れの夜が多く、秋の澄んだ夜空に、
こうこうと輝く月を見ることができます。丁度、10月の下旬にあたり、秋た
けなわの頃だからです。お子さんと一緒に「片見月」とならないように、確か
めてみましょう。こういった話をするだけでも、お子さんには、楽しい思い出
となるものです。
 
 
 
★★なぜ、すすきを飾るのでしょうか★★
 
すすきは、姿、形から見ても稲科の仲間だとわかります。
あの白い花穂が、いいですね。別名「尾花」といいますが、本当に漢字は説得
力があります。これは、お百姓さんから聞いた話ですが、なぜ、お月さまにす
すきを飾るのか、その理由は、すすきの尾花は、細くて長く、まるでほうきの
ようですから、秋風に揺れながら、その穂で、しっかりと神さまを捕まえ、豊
作をお願いしたいからだ、といっていました。
 
 
 
★★なぜ、お月さまにうさぎが…?★★
 
今の小学生は、笑ってばかにするかもしれませんが、昔は、宇宙ステーション
や月面探査など想像外のことでしたから、月にうさぎが住んでいると信じられ
ていました。満月を見ると、うさぎが跳ねているように、また、杵(きね)を
持ち、餅をついているようにも見えていたようです。
 
           うさぎ うさぎ   なに見て跳ねる     
           十五夜お月さん見て 跳ねる     
 
文部省唱歌です、牧歌的で、いいではありませんか。
 
うさぎの住んでいる満月を見ながら、すすきやおだんごを飾り、自然に感謝す
る心は、小さい時に、きちんと育んでおきたいものだと思います。これも情操
教育に欠かせない、大切な行事ではないでしょうか。
 
満月を、星を、しみじみと眺めたことはありますか。お子さんと一緒に、夜空
を探索してみましょう。
澄んだ秋の空には、お子さんと共有できるロマンがあふれています。星座にま
つわる伝説を知る機会になるかもしれません。まずは、分かりやすく、3つの
星が並ぶオリオン座、ですね。
             
ところで、外国の人々も、うさぎだと見ているのでしょうか。天の川と同じく、
いろいろな見方があるもので、想像のつかないものもあり、見る位置により、
こんなに違うものかと驚かされました。
 
 中国では、うさぎが薬草を作っているとも、ひきがえるやかにがすんでいる
 ともいわれています。ヨーロッパや北アメリカでは、女の人の横顔やロバ、
 インドや南アメリカではワニ、中東ではライオン、アフリカではうさぎがひ
 っかいた傷に見えるそうです。
(心を育てる 子ども歳時記12ヵ月 監修 橋本裕之 講談社 刊 P83)
 
やはり、世界中の人々も、こうこうと輝く満月に、いろいろな思いを抱いてい
たのですね。
 
海外へ出かけたとき、お月さまがどのように見えるか、お子さんと一緒に眺め
てみるのも、いい思い出になるかも知れません。満天の星の主役は、北斗七星
や南十字星、オリオン座などのようですが、お月さまも加えてみてはいかがで
しょうか。手軽に出かけられませんが、南極では、逆さまに見えるそうです。
 
そして子どもから、「お父さん、どうしてうさぎさんは、いつも同じ格好をし
ているのかな」とかなり大人を困らせる質問があるかもしれません。裏側はど
うなっているかなんですね。言われてみればその通りで、大人は不思議に思い
ませんが、そこは探求心の旺盛な子ども。良い質問です。
 
「月の自転周期と月が地球の周り回る公転周期が一致しているから、常に表し
か見えない」ということのようですが、子どもにどう説明すれば良いか、悩み
ますね。
皆さんなら、どう説明しますか。
 
 
   (次回は、「秋の七草」などについてお話しましょう)
 
 
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情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
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