さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
★第52号★
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)
■ 暁星小学校
もやしっ子をなくすためにサッカーを取り入れた学校といえば、暁星小学校で
す。今は、どうでしょうか。もやしっ子は、たくましくなり、全国高校サッカ
ー選手大会に出るほどの実力を備え、強豪といわれるまでになりました。
サッカーは、かなり、過激なスポーツです。手は使えませんから、体を張った
足技が、ものすごいですね、このことです。
サッカーは、まさしく格闘技です。ワールドカップ等を見ていても、「ここま
でやるか!」といったプレーが随所に見られます。ですから、イエローカード
やレッドカードと、反則に厳しいペナルティーを与えます。「ルールを守って
戦うフェアーな精神の持ち主」であることも大切な条件です。さらに、11人
で戦うゲームですが、一人ひとりは、敵を自分に引き付けておき、ぎりぎりの
ところで味方にパスをつなぎ、最後にゴールポストにシュートを決めるチャン
スを勝ち取れるのは、たった一人です。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あり」では
ありませんが、犠牲的な精神が求められます。チームワークです。フェアーな
戦いとチームワーク、ここに学園の教育の礎があるのではないでしょうか。
小学校の門には、「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛練の道を選ぶ気力のある少年
以外は、この門をくぐってはならない」と書かれた額が掲げられています。
以前の説明会では、小学校時代、運動の苦手だった子が、友の誘いでサッカー
に挑み、サッカーチームの一員となったばかりか、切磋琢磨して難関校へ合格、
共に励ましながら目標を達成する「鍛える教育」の成果を作文で披露しました
が、よくわかる話でした。
高校までの一貫教育に関しては、そのまま大学へ進んでしまうより、社会へ出
る前に受験勉強をし、その厳しさを体験させるべきだと考えるお父さん方が多
いようで、進学状況を見ても、生徒はしっかりと応えていることもわかります。
「宗教教育」「別学の教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待すること、
プラス、「困苦や欠乏に耐える気力のある少年」をどのように解釈するか、こ
こがポイントではないでしょうか。「質実剛健」だけでは、説明しきれないの
ではと考えます。
以前、佐藤前校長が説明会で、暁星小学校の鍛える教育のイメージは、日本昔
話のキャラクターでもある「気は優しくて力持ち」といっていましたが、この
比喩はわかりやすいのではないでしょうか。吉川直剛校長からも、同じ話を聞
くことができました。
ちなみに、運動会の入退場門、本校の入場門は健闘門、退場門は勇退門となっ
ています。
コロナ禍前の面接では、志望理由や育児の方針といった質問ではなく、お子さ
んとゲームをしながら、その対応の仕方や、そばで見ているお母さん(または
お父さん)にゲームの様子を聞くなど、従来の面接とは違った形で行われる年
もありました。
模擬面接の入室時にじゃんけんをして席を決めるときがありますが、「最初は
グー、じゃんけんぽん!」、わずか数秒のことですが、照れずにじゃんけんに
興ずる親子、見ていてもほのぼのとしますね。学校側の目的は、ありのままの
親子の姿、家庭を見ることにあったと思います。
コロナ禍で保護者面接が続いていますが、今年はどうなるでしょうか。
■ 青山学院初等部
青山学院初等部は、ミッションスクールは別学が多い中で、めずらしく共学で
す。ランドセルも通信簿もありません。これが青山の教育方針です。
ランドセルは、昭和40年に廃止しています。その理由は、ランドセルは、
「学校追従型のシンボル」と考えているからだそうです。1に勉強、2に勉強、
3、4がなくて5も勉強です、現代っ子は。
家で宿題やら予習やら復習をひたすらこなす前に、「家庭で、きちんと身につ
けなければならないことがありませんか」ということではないでしょうか。
家庭でしっかりとやらなくてはならない基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣い、
そして情操教育が、なおざりにされていないでしょうか。青山は、家庭での教
育を重視しているということです。
通信簿は、相対評価が多いものです。
5が2人いれば1も2人といった評価ですから、通信簿は相手との比較表にな
りがちです。比較表ではなく、学習の質を問うのが勉強の評価ではないでしょ
うか。ですから、期末試験の結果や出てきた偏差値といった評価をする資料の
ない状態で、先生と子ども、先生と保護者が、直接、話し合うそうです。
通信簿がないことは、結果よりプロセスを重視する学習観ではないでしょうか。
自分で考え、判断して、行動する、自発性です。結果さえよければそれでいい
という価値観と違い、思考力、判断力、行動力を育てる教育で、新学習指導要
領が掲げる“アクティブ・ラーニング”と同じではないでしょうか。
ところで、意外に知られていないことがあります。
初等部のHPを開き、「教育の特色・紹介」のところの「国内短期留学・止揚
学園」をご覧ください。30数年前、ある本を読み知ったのですが、「すべて
が教場」の意味を理解できたものでした。青山学院は、こういう教育を実施し
ている学校でもあるのです。
「宗教教育」「共学」「大学までの一貫教育制度」に期待することは何でしょ
うか。「共学」を忘れがちですが、これも大きな特徴です。そういったことか
ら、まとめてみましょう。
■ 国府台女子学院小学部
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がい
ました。小学部の入学試験の難しさといい、大学への進学状況を見ても、「さ
もありなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。近年、毎年医学部
医学科への進学者が出ていて、「社会で活躍できる女子を育てる」方針が着実
に実を結んでいるのではないでしょうか。
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を
歓迎するムードもありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さ
い頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増
えていることも事実です。
仏教に基づく教育を行い、女子だけの、高校までの一貫教育校です。
月毎に行われる仏教行事は、本学院の教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を
身につけるための、貴重で重要な教養、教化となっています。「教養は、徳を
みがき、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、人を教え、よい
影響を与えて善に導くこと」だそうです。となると、教育理念である「敬虔・
勤勉・高雅」を、どのように解釈するかが問題になってきます。
たいへん難しい言葉です。HPにも解説がありますが、独自に解釈してみると、
こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま。
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命。
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品。
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつま
しく、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできま
す。そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親で
あれば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、教育理念を俳句もどきに、
ひたむきで つつしみぶかく みやびやか
などとお母さん方に紹介していたこともありました(笑)。
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、
「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいない
ので、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」とい
われ、共学にする予定は、まったくないと断言しています。幼児教室対象説明
会でも、女子教育の効果を医師国家試験の合格率や大学合格率のデータを元に、
強調していました。
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校まで
の一貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
(次回は、「建学の精神、教育方針の理解の仕方(3)」
についてお話ししましょう)