さわやかお受験のススメ<保護者編>第八章(3)何にもないのかな 水無月

 
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       「めぇでる教育研究所」発行
   2023さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第30号-
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第八章 (3) 何にもないのかな   水 無 月
 
 
★★父の日、これもアメリカ生まれです★★
 
6月の第3日曜日は、父の日です。
母の日がアメリカ生まれですから、父の日も同じでしょう。母の日があって父
の日がなくては、男女同権の国ですから、男の立つ瀬がありません。いかにも
アメリカらしいですね。
 
 1910年に、アメリカのワシントン州でジョン・ブルース・ドット夫人
 が、妻を亡くして男手一つで育ててくれた父に感謝するパーティーを開い
 たのが始まりとされている。
 その後、1934年に父の日委員会が結成され、母の日にならって6月第
 3日曜日を「父の日」と定めたのである。日本では、母の日に遅れること
 4年後、昭和28年(1953年)から、一般的な行事として認められるよ
 うになった。          
 (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P102)
 
 
父の日に贈られる花は、何でしょうか。まだ、子どもが小さかった頃にもらっ
た記憶はありますが、花の名前は思い出せません。バラの花だそうです。たい
そう気品のある花ですから、何か訳がありそうです。
 
カーネーションが、十字架にかけられたキリストを見送った、聖母マリアが落
とした涙の後に咲いた花でしたから、おそらくバラもキリストと関係あるので
はと考えていたら、予想どおりでした。十字架にかけられたキリストの血が落
ちて、そこからバラが花を咲かせたそうです。さらに、こういった説もありま
す。
 
 父の日の花はバラである。バラは花の美しさと香りの気高さのため、古代
 から人々に愛されてきた。ローマ教皇はバラを手にし、信者はロザリオで
 祈りを唱える。ロザリオrosaryはラテン語rosa(バラ)、rosarium(バラ園)
 に由来し、尊敬と喜びのしるしであった。古代ローマでは、祭日の日には
 神殿も戦車もバラで飾られ、将軍は賞讃のしるしとしてバラの花束を手に
 持った。
 現代でも音楽会の終わりにはバラの花束を捧げて演奏を讃える風景が見ら
 れる。
 (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P102)
 
聖なるバラです。
花言葉は「尊敬と愛の情熱」です。お父さん方は、承知してもらっているでし
ょうか。
承知のうえでしたら、頑張らざるをえないですね。父権は、かなり喪失したと
いわれていますが、やはり、お父さんは頼られています。
 
この花言葉、前回にも紹介しましたが、調べると面白いですね。インターネッ
トで簡単に検索できますから、時間があるときに調べてみましょう。
    
ところで、小学校の入学試験に「話の記憶」といった問題がありますが、ある
ミッション系の学校で、「母の日にお母さんに贈る花の絵に○をつけましょう」
といった出題がありました。5つの花の中から選ぶのですが、その中に、何と
バラの花も入っていたではありませんか。さすがだと思いました。
事の起こりは、キリストに関係があるのですから。出題校は、暁星小学校です。
 
 
                                    
★★夏 至★★
 
二十四節気(にじゅうしせっき)の一つで、春分、秋分、冬至と、それぞれ楽
しい行事がありますが、夏至には、何かあるのでしょうか。暑い盛りではあり
ませんが、うっとうしい日が続く頃です。
 
一年中で、いちばん昼の長い日ですから、何だか疲れを感じがちです。これは、
夏至のとき、お日さまは、もっとも北に寄っているからです。ですから、北極
ではお日さまが沈みません、白夜です。
 
逆に、南極ではお日さまの姿を見ることはできません。土用の日のように、う
なぎを食べて元気をつけることもないようですし、何だか夏至だけが、冷たく
あしらわれているような気もしなくはありません。しかし、夏至だけ問題にす
るのは不公平です。雨水、清明、芒種などといわれても、何やらわかりません
が、これも夏至と仲間の二十四節気のことです。
 
 正しい季節を示すために作られた目印を二十四節気といった。太陰太陽暦
 では暦の上の月日と季節がくいちがいをおこすので、暦の月日とは別に、
 農事に必要な季節の標準を示す必要があったからである。1太陽年を24
 等分して、太陽が最も低く昼間の最も短い冬至から始めて、1年を24等
 分した分点を二十四節気とした。
  (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P39)
 
二十四節気とは、正しい季節を示す目印と考えるとわかりやすいですね。日本
は農耕民族です、今は疑わしいですが。昔は、太陰太陽暦を使っていましたか
ら、今のグレゴリオ暦では、暦の上の月日と季節とが、食い違いを起こすので、
暦の月日とは別に、農事に必要な季節の標準を示す必要があったのです。よく、
テレビなどで、             
「今日は、啓蟄の日です。冬ごもりをしていた虫たちも、はい出る日といわれ
……」
などとやっています、あれです。
今年の二十四節気は以下の通りです。       
 
★★二十四節気★★
 <春> 立 春  2月 4日   <夏> 立 夏  5月 5日
          雨 水  2月19日       小 満  5月21日  
     啓 蟄  3月 5日         芒 種  6月 6日  
     春 分  3月21日        夏 至  6月21日  
     清 明  4月 5日        小 暑  7月 7日  
     穀 雨  4月20日        大 暑  7月23日    
 
 <秋> 立 秋  8月 7日   <冬> 立 冬 11月 7日 
     処 暑  8月23日        小 雪 11月22日   
     白 露  9月 8日        大 雪 12月 7日   
     秋 分  9月23日        冬 至 12月22日   
     寒 露 10月 8日        小 寒  1月 6日   
     霜 降 10月23日       大 寒  1月20日   
                      (「国立天文台発表」より)
 
立春 旧冬と新春の境目、まだ、寒さの厳しい頃です。
雨水(うすい) 雨水がぬるみ、草木が芽を出し始めます。
啓蟄(けいちつ) 冬眠している虫たちも、穴からはい出してきます。
春分 昼夜が等しく分かれ、昼間が長くなり、夜が短くなってきます。
清明(せいめい) 桜花爛漫、春の盛となり、天地万物に清新の気があふれる
         時期。
穀雨(こくう) 春雨は、田畑をうるおし、穀物の成長するときです。 
            
立夏 春は去り、爽快な夏の気配を感じる頃です。
小満(しょうまん) 日増しに暑くなり、草木が繁り天地に満ち始める時です。
芒種(ぼうしゅ) 芒(のぎ・稲や麦などについているとげ)のある穀物を植
         える時。
夏至 日の長きに至る、昼がもっとも長くなる日。梅雨のさかりで、田植えの
   時期。
小暑(しょうしょ) 日増しに暑さが加わり、この日から暑中見舞いを出し始
          めます。
大暑(たいしょ) 暑さがもっとも厳しくなる頃。
 
立秋 暦の上だけの秋、まだ、真夏の頃。この日から残暑見舞いとなります。
処暑(しょしょ) 暑さが止み、秋風が吹く頃。「処」は「とどまる」の意。  
白露(はくろ) 秋も本格的となり、野草に甘い露の宿る頃。
秋分 昼夜が等しく分かれ、春分とは逆に、昼が短く夜が長くなります。   
寒露(かんろ) 野草に冷たい露が宿る頃。                   
霜降(そうこう) 秋の気配も去り、朝霜のおりる頃。
 
立冬 冬の気配がうかがえる頃。
小雪(しょうせつ) 寒さもさほどでもなく、雪も少ない頃。
大雪(だいせつ) 北風が強くなり、寒さも厳しく、雪が降り始めます。
冬至 日の短きに至り、夜が長くなる日です。
小寒(しょうかん) 寒気が加わり、雪が積もる頃。
          この日を「寒の入り」とし、寒中見舞いを出し始めます。
大寒(だいかん) 冬将軍がもっとも威勢のよい時期ですが、寒さの中にも
         「春とおからず」の希望がふくらむ頃。
 
 
しかし、漢字って、いいですね。
「雨水」「処暑」など見ているだけで、何やら、日本を訪れる季節の兆しが、
思い浮かびませんか。
 
今から2000年前の頃、中国の周王朝により華北の気象状況にあわせて作ら
れたそうです。何と2000年前のことです、感動しませんか。感動しますが、
何だか実感がありません。大暑といえば、実感としては、8月7日の立秋の頃
ではないでしょうか。
 
日本でいうと、岩手県の季節と合っているそうです。東京でも、ピンとこない
のですから、九州地方のみなさんは、どうでしょう。
 
この原因は、今は、グレゴリオ暦を使っているからです。二十四節気は、先程
もいいましたように、むかし使われていた太陰太陽暦によって決められていま
すから、1ヵ月位の差が出るのです。
 
かつてある新聞に、気象協会では、新「二十四節気」を作ると出ていました。
その訳は、「寒いのに立春、暑いのに立秋―。中国伝来の二十四節気は、季節
の移り変わりに彩を添える言葉だが、ちょっと違和感を感じませんか」(原文
のまま)(中略)同協会は「現代の日本の季節感になじみ、親しみを感じる言
葉を選びたい」のだそうです。
 
そして、「新二十四節気」という名称ではなく「季節のことば36選」として
平成25年春に発表されました。
 
  季節のことば36選                  二十四節気
    1月 初詣 寒稽古 雪おろし           小寒 大寒
    2月 節分 バレンタイン 春一番         立春 雨水
    3月 ひな祭り なごり雪 朧月夜         啓蟄 春分
    4月 入学式 花吹雪 春眠            清明 穀雨
    5月 風薫る 鯉のぼり 卯の花          立夏 小満
    6月 あじさい 梅雨 蛍舞う           芒種 夏至
    7月 蝉しぐれ ひまわり 入道雲 夏休み     小暑 大暑
    8月 原爆忌(広島、長崎) 流れ星 朝顔     立秋 処暑
    9月 いわし雲 虫の音 お月見          白露 秋分
   10月 紅葉前線 秋祭り 冬支度          甘露 霜降
   11月 木枯らし1号 七五三 時雨            立冬 小雪
   12月 冬将軍 クリスマス 除夜の鐘         大雪 冬至
               (「一般財団法人 日本気象協会編」より)
 
参考までに、二十四節気も掲載しておきましたが、いかがでしょうか。
七夕が行われる7月7日、小暑といわれていますが、選ばれていませんでした
ね。星の祭りである七夕も、幼稚園や保育園、小学校の夏のイベントになり、
ご家庭で楽しむ年中行事ではなくなったようです。
 
ところで、「人のうわさも七十五日」といわれていますが、その語源が二十四
節気と関わりがあるのですから、面白いですね。七十五日を四十五日、四十九
日、七十九日というのは誤りです。
 
 「日本には二十四節気という季節の区切り方があります。365日を24
 等分するので、一節気はおよそ15日。昔から五節季経てばまったく違う
 季節になるといわれていましたから、15×5=75日となります。75
 日も経てばまったく新しい季節になるのだから、それまでのことは忘れよ
 うという意味なのでしょう」
     (「つい他人に自慢したくなる無敵の雑学」
           なるほど倶楽部 編 角川書店 刊 P18)
 
ちなみに英語では、“A wonder lasts but nine days”(「驚きも九日しか続
かない」故事ことわざ辞典より)だそうですが、日本と違い、個人主義が定着
している国では、噂の消えるのも短いということでしょうか。
 
 
   (次回は「6月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
 
 
 
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
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