さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[6] 推理・思考に関する問題(3) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第37号★
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★★入試問題を分析する★★
 
 [6] 推理・思考に関する問題 (3) 
 
 
[科学性の問題]
 
 (風の吹く向き、影や水に映っている絵を見て)
  ◆ 下の絵で、おかしなところに×をつけなさい。
 
問題集に取り組む前に、以下の実験をしておくと、好奇心の元となる「ナゼ、
ナゼ、ドウシテ?」の探査用アンテナを張りはじめます。
 
風の吹く様子は、ぶら下げたひもにドライヤーで風をあててみましょう。
影は、お日さまの出番ですが、懐中電灯でもわかりやすいでしょう。
水に映る様子は、前回の実験で使った画用紙を縦にして半分に折り、上の部分
に矢印↑や▲を描いてみましょう。そして、色を塗り、重ねて、よくこすりま
す。どのように写るかがわかれば、直ぐに理解できるでしょう。
 
磁石にくっつくもの、水に浮くもの、沈むもの、これも同じです。磁石を持た
せて、10分も遊んでみると、わかります。おもちゃ箱には、いろいろなもの
が入っていますし、部屋の中にも、実験用の教材は豊富です。しかし、うっか
りコンセントに近づけると危険ですから、よく説明しておき、絶対に一人では
やってはいけないと約束し、実験中も監視の目をゆるめないことです。 
 
缶はアルミ製とスチール製を用意しましょう。「エッ!」となるはずです。 
砂の中に磁石を入れると面白いのですが、衛生上の問題も言われることがあり
ますので保護者が判断してください。砂場で砂鉄を採集し、紙の上にのせ、下
から磁石をあててみましょう。これは、子どもにとっては、驚きの現象となる
はずです。
 
少し難しいかもしれませんが、どうすれば折り紙を磁石で持ち上げることがで
きるか、挑戦してみましょう。ヒントは、クリップなど磁石にくっつくものを
利用することです。
 
コップや空き缶は、どんなときに浮き、沈むのでしょう。
ジュースの入ったビンは、浮くでしょうか。
水をいっぱい入れてフタをしたビンと、少し空気を入れてフタをしたビンでは、
どうなるでしょうか。
 
1円玉、10円玉は、どうですか。
紙は、条件で変わります。
輪ゴムも面白いですね。
さつま芋は浮くでしょうか。
すいかも面白いのですが、今は、なかなか丸ごと買いませんから、ピンチヒッ
ター、メロンでどうでしょう。
 
ところで、大きな力士がプールで泳いでいるのを見て、子どもから「どうして、
あんなに大きなお相撲さんが、水に浮くのですか?」と真剣な顔をして質問さ
れたとき、皆さんはどのように説明しますか。
 
その他に、植物の成長の段階や昆虫の生育状態を、絵を並べて答える問題もあ
ります。
朝顔やひまわり、チューリップなど家で栽培できるものを、お子さんと一緒に
育てながら、観察絵日記をつけるのも、効果がありますね。
 
おたまじゃくし、めだか、やごなどは、昔は川にはいくらでもいましたが、今
は、その気になって出かけて探しても、いません。
 ♪春の小川は さらさらいくよ♪
などという風景は、どこにあるのでしょうか。
 
本物に勝るものはありませんから本当はお勧めできませんが、図鑑などで説明
するしかないでしょう。
「手に入らない、見ることができない」といっても、興味や関心の芽は育てて
おきたいものです。
 
文部省唱歌「春の小川」の情景は、どこにあったかご存知でしょうか。
渋谷を流れていた河骨川だそうで、今はコンクリートで固められた川、宇田川
と呼ばれています。歌碑は、小田急線の代々木八幡駅付近の線路沿いに建てら
れています。
 
 
 
[鏡映像]
 
これも勘違いしやすい問題ですね。
「左と右が、反対に映るんですよ!」
理論上は、そうですが、子どもには難しい問題です。
「どうして左と右が反対になっているのに、上と下は変わらないの?」
こうなると、収拾がつきません。
鏡の前で、いろいろなポーズをとって、遊んでみましょう。右手を上げると鏡
の中の自分は、左手を上げていることに気づかせます
 
わかってきたら、子どもと向き合って、「鏡ゲーム」で遊びましょう。お母さ
んが鏡になり、子どもが右手をあげた時、どちらの手を上げますか。左手です
ね。お母さんの言うとおり、左右が反対に映っているのですが、理論的なこと
は、どういうふうに映るかが、よくわかってからにしましょう。
 
 
 (子どもが、鏡の前で右手を上げている)
  ◆どのように映っているか4枚の絵から選びなさい。
 
鏡は手前にあり、どのように映っているかわからない仕掛けになっています。
子どもの絵を180度回転させなければわかりませんが、「鏡ゲーム」でやっ
てみると、右手を上げている子は、鏡の中では左を上げていることがわかりま
す。
 
ところで、鏡は不思議です。
左右が逆になるのに、なぜ、上下は、そのまま映るのでしょうか。      
「そんなこともわからないの。壁に掛かっているからだよ。足元に置いたら、
先生の姿は、逆さまになっているでしょ!」
こういって、鏡を私の足元に置いた子がいましたが、お父さんがお母さんの使
っている等身大の姿見を床に置いて見せてくれたそうです。
 
幾何学的にいえば、逆転しているように見えるのは、左右ではなく前後(奥行
き)だそうですが、理屈抜きです。このお父さんのように、実際にどう映って
いるかを見せることが大切で、幼児の学習は、これに限ります。難しい原理や
定理は、大きくなって学力がつき、疑問に思ったその時に、自分で調べること
ができるからです。
 
 
 
[四方図形]
 
最後は、四方図形です。
真ん中に、片手に旗を持ったくまの縫いぐるみの人形があり、それを前後左右
から見ると、どう見えるかを答える問題です。
 
これも実験です。
大きめのコーヒーカップをテーブルの上に置いて、前、右、後、左と、回り方
はどちらからでもいいのですが、スケッチブックに描いてみると、すぐにわか
ります。
前から見るのと後ろから見るのとでは、逆になります。
右側から見えた持つところは、左側からは見えません。
これがわかれば理解できます。
 
しかし、積み木の四方図形は難しいですね。
二等辺三角形を上から見ても、横から見ても長方形に見えるのですが、これが
なかなか理解できないようです。傾斜を平面としてとらえるのは難しいですね。
底辺が四角の場合は四角に、長四角の場合は長四角に見えることを、よく確か
めておきましょう。
 
円柱もそうですね。
上から見ると○ですが、横から見た場合は、長さにより違いますが、真四角や
長四角に見えます。
扇形も、見る位置を変え、上から見ると長四角に見えます。
積み木をいろいろな角度から見て、スケッチブックに描いてみましょう。傾斜
が平らに見えるのは、描いてみると「なるほど!」と理解できます。
 
もう一押ししておきましょう。
対称図形でやった矢印です。
これを切り抜いて、お母さんが持って、子どもの前に立ち、
「お母さんから見たら、この矢印、どっちに向いていますか?」 
「(ぼくから見ると左向きだから、お母さんから見ると逆だな。)
お母さん、右向きでしょ!」
「ピン、ポン!」 
しっかりと理解している証拠です。
 
しかし、こんなにややこしい四方図形などを、どうして出題するのでしょう。
物は、見る方向によって、いろいろな形に見えますから、ある方向からだけ見
るのではなく、いろいろな方向から見ることが大切なのだといっているのでは
ないでしょうか。
 
子どもも、同じです。
子どもの能力をある方向から、たとえば、知的な能力だけで判断してはいけな
いということですね。子どもの持つ様々な能力を、きちんと見極めてあげるの
が、親の大切な仕事ではないでしょうか。
 
 
 
いかがでしたか。
推理思考の問題は、やってみると、子どもの日常生活と、深くかかわりを持っ
ていることがわかります。幼児の試験ですから、判じ物のような試験をするわ
けはありません。問題集だけで知識を教え込むのではなく、子どもの周りには、
たくさんの教材がありますから、これを利用することが大切です。好奇心をそ
そるように仕向けていくのが、賢明な方法であり、問題意識を持たせることで
す。
 
「なぜ、どうして?」という疑問の芽を育ててあげましょう。そういった疑問
を、小学校に入ってから系統立てて勉強していくわけです。
 
問題集を広げ、鉢巻きを絞めて、机の上でガンガン、ビシビシと教え込むだけ
が受験準備ではありません。前にもお話しましたが、記憶力は学習効果を高め
る大切な能力の一つですが、記憶力だけに頼るのは、やはり、拙いのではない
でしょうか。
 
本物の力は、体験を伴った学習から培われるものです。
 
疑問の芽を育てる環境から、子どもの意欲は培われることを肝に銘じておきた
いものです。この意欲こそ、明日の学習につながるからです。
 
思い出してください。子どもが「わからない!」と言ったときは、本当にわか
らないのです。理解できない問題は決して無理をせず、お父さんもお母さんも
一緒に考え、一緒に悩んで、共に学んでください。
そして、「あしたは、今日より、きのうより」の気持ちを大切に頑張りましょ
う。
 
春休みの講習会が始まります。短い期間ですが、毎日通って学ぶことの楽しさ
を体験し、今の時期に必要な学習意欲を育てることが大切です。
 
 
 
  (次回は、「記憶に関する問題」についてお話しましょう)
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