さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[3] 話に関する問題(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
現年中児のお子様をお持ちの方々へ
2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
★第29号★
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前回お知らせしましたが東京私立小学校児童作品展「ほら、できたよ」が中止
になりました。そして、千葉県私立小学校造形展も周知はありませんが行われ
ないことが予想されます。両方ともに各校の教育方針の一端を伺うこともでき
る作品展ですので、ぜひ参加してほしかったのですが、残念です。
また、日本女子大学附属豊明小学校の書き初め展示会はオープンスクール申し
込みの方のみご覧いただくことができるようです。20日に申込締め切りでし
たが、ご興味のある方は既に申し込んでいるでしょう。
白百合学園小学校の展覧会(2月5日、6日)はまだ申し込みできますので、
学校のHPから申し込み、ぜひ参加してみてください。
今年も学校に入ることができる機会が限られそうです。学校のHPをこまめに
チェックしましょう。
★★入試問題を分析する★★
[3] 話に関する問題(2)
話を聞き、設問に答える問題で、「話の記憶」といわれ、ほとんどの小学校で
出題されています。
◆「桃太郎」の話をテープで聞いたり、ビデオで見た後、
・おじいさんは、どこへ、何をしに行きましたか。正しい絵に〇をつけな
さい。
・桃太郎の家来に□をつけなさい。
こういった設問があって、10秒から20秒の間に、絵の描かれている解答用
紙に、指示された○や□などをつけて答えます。狙いは、「話を聞く姿勢と理
解する力が身についているか」、このことです。これから始まる小学校での勉
強の基本であり、最も大切な学習態度です。いくら、九九を諳んじ、難しい漢
字の読み書きができても、人の話を聞けないようでは、あまり意味がありませ
ん。学校の勉強は、幼稚園の自由保育と違って一斉授業ですから、話を聞いて
いなければ、訳がわからないことになります。話を聞く姿勢を身につけるには、
話の読み聞かせや対話が、いかに大切であるかについて、すでに触れましたの
で、ご理解いただけ、実行されていると思いますが、少し、復習しておきまし
ょう。
「話の記憶の問題」は、単に記憶力を見ているのではないですから、問題集を
買い、それだけで訓練して鍛え、身につけるものではありません。それは本末
転倒な話です。話をキチンと聞く姿勢は、普段の会話や話の読み聞かせを通し
て培われるものです。一朝一夕に身につくものではなく、やはり毎日の積み重
ね、育児の結果として表れてきますから、どこの学校でも実施しているわけで
す。
しかし、本当に話の聞けない子がいます。その子の育てられている環境は、わ
がままな言動が許されている場合が多いものです。かわいい、かわいいで、子
どもを悪くしています。やはり、子どもの責任ではありませんね。
話の記憶の問題には、長編と短編があります。
といっても、400字詰め1枚程度から3枚ほどの長さですが、皆さんはどち
らが難しいと思いますか。短い方が記憶しやすいと思われるのではないでしょ
うか。やってみるとわかりますが、長編は物語風になっているので、案外、想
像力が働き、イメージ化しやすいようです。短編は、あっという間に終わって
しまい、想像力が働かない場合があります。あらかじめ短編であるとわかって
いれば、それなりに対処できますが、聞いてみなければわからないだけに、難
しいですね。
そして、やっかいなのは文字を使えませんから、文章を読み直すことも、答え
の絵に、○や△、□といった記号の指示をする設問も、聞き直すこともできま
せん。ですから、聞き逃すと答えようがないということです。さらに、クレヨ
ンで指定された色で記号をかくこともあります。子どもたちは、よくぞパニッ
クにならないものだと、褒めてあげたくなりますね。「長文読解だな!」など
と簡単に済ませるほど、やさしい問題ではありません。
普段から、お子さんとの対話を大切にし、お子さんの話に耳を傾けましょう。
対話の反対は沈黙と思いがちですが、立教小学校の元校長であった田中司先生
は、「命令と要求」とおっしゃっていました。「命令と要求」が多くなれば、
対話など成り立ちませんね。非常に的を射た指摘だと思います。
そして、お父さん、お母さん、お子さんに読書をしている姿を見せてください。
これが何よりの手本になるからです。さらに、お子さんがいるときに、ワイド
ショーなどを見るのはやめましょう。お断りしておきますが、すべてのワイド
ショーが駄目だといっているわけではありません。お子さんと一緒のときに見
なくていいものはやめてほしいと言いたいだけです。どなたがおっしゃったの
か定かではありませんが、「テレビを見る時間と教養は反比例する」そうです。
内容にもよりますが。
また、お子さんが読書に集中しているときは、「お使いに行きますよ!」など
と、中断することは避けてあげましょう。夢中になって取り組んでいるときこ
そ、素晴らしい学習時間になっているからです。あらかじめ伝えておく、やさ
しいお母さんになってほしいですね。
寝る前に本を読んであげる、これも大切です。毎日続けることで、間違いなく
言語能力を育むことができるからです。平成26年6月に横浜雙葉小学校は説
明会を再開しましたが、挨拶に立たれたシスター田中順子学園長は、「添い寝
をしながら本を読んであげることが少なくなっているのではないでしょうか」
と懸念されていました。DVDなど素晴らしい作品もありますが、幼児期には
お父さん、お母さんの生の声が、何と言っても大切なのです。
会話を弾ませ、話を読んであげることから「話を聞く姿勢」は身につきます。
小学校の入学試験は、文字を使用しないだけに、話を聞く姿勢が身についてい
なければどうにもなりません。
最後に、「話の記憶」が苦手なお子さんへ、こういったことをやってみましょう。
Q「『浦島太郎』の話を知っていますか。では、先生がいくつか尋ねますから
教えてくださいね。
浦島太郎は、子どもたちがいじめていた動物を助けてあげました。何を助
けたのですか」
A「亀さんです」
Q「そうですね。そのお礼にどこへ連れて行ってもらいましたか」
A「竜宮城です」
Q「そこにいたお姫さまの名前は何といいましたか」
A 「乙姫さまです」
Q「鯛やひらめもいて楽しく過ごしました。そして、帰ることになりお土産を
もらいました。何をもらったのですか」
A「玉手箱です」
Q「そのとき、浦島太郎と乙姫さまは、何か約束をしましたね」
A「開けてはいけないと約束しました」
Q「そうですね。また、亀さんに送られて家に帰りましたが、両親はいました
か」
A「いいえ、いませんでした」
Q「近所の人々やお友だちはいましたか」
A「誰も知っている人はいませんでした」
Q「知っている人は誰もいない。浦島太郎は、どんな気持ちになったでしょう
か」
A「寂しくなりました」
Q「そう、寂しくなったんだね。では、ここからが問題です。では、なぜ、浦
島太郎は、約束を破って玉手箱を開けたのでしょうか。あなたは、どう考
えますか」
いろいろな答えが出てきますが、自分の考えを言えたことを褒め、評価はしま
せん。
たとえば、「何が入っているか知りたかったから開けました」と子どもが言えば、
それを認めてあげ、「そうじゃないでしょう。寂しくなったからでしょう」な
どと大人の考え方を押し付けないことです。「寂しい経験」をしなければ、こ
の言葉は出てきません。
この方式に子どもが興味を持ち始めると、次も次もと求めてくるようになりま
す。「Q&A」を勉強ではなく、ゲーム感覚で楽しめるので、子どもたちは興
味を持ち、確実に力をつけることができます。
質問を作らなければならない大人は大変ですが、楽しい思い出になります。受
験準備は楽しくやりたいものです。
入試によく出題されていることもありますが、お薦めは日本の昔話です。
以前にも紹介しましたが、「桃太郎」「かちかち山」「さるかに合戦」「舌切
りすずめ」「花咲じじい」は、日本の五大昔話ですが、皆さんは粗筋を言える
でしょうか。
ところで、鬼退治の主人公は、なぜ、栗太郎や柿太郎ではなく桃太郎なのでし
ょうか。また、家来は、「犬猿の仲」といわれる犬と猿がいるのは、なぜでし
ょうか。
命名の由来は、桃は木偏に兆と書き、桃には未来を予知し、魔を防ぐという信
仰があったためで、栗太郎や柿太郎ではだめなのです。
陰陽五行説では、鬼は丑寅の方向、鬼門に棲み、その反対側、裏鬼門に配置さ
れているのが申酉戌と考えられ、そこから知恵のある猿、勇気のある雉、仁、
思いやりのある犬の家来が生まれ、「犬猿の仲」を取り持っているのが間にい
る雉で、けんか騒ぎにならず収まっているのだそうです。聖徳太子の「和をも
って貴しとなす」の考えが、こんなところにもありました。
面白いことに福澤諭吉は、家訓「ひゞのをしへ」の中で、「鬼の宝物を取ると
は、けしからん!」と非難しています。(ウィキぺディアより)
(次回は、「数量に関する問題(1)」についてお話しましょう)