さわやかお受験のススメ<保護者編>第2章(3)何といっても、クリスマスと大晦日ですね 師走
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「めぇでる教育研究所」発行
2023さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第8号-
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第2章(3) 何といってもクリスマスと大晦日ですね
メリークリスマス!
クリスマスといえば、例のデコレーションケーキが主役だと思っていたのです
が、最近は、少し違ってきているようです。お子さんのリクエストはいかがで
しょうか。様々なショートケーキを食べる傾向にあるとか。
★★なぜ、大晦日というのですか★★
いよいよ日本のことです。12月31日を、なぜ、大晦日というのでしょうか。
これも訳ありなのです。
1年間の最後の日を大晦日(おおみそか)または、大晦(おおつごもり)とも呼
びます。「晦日(みそか)」とは、毎月の末日のことです。一方、「晦(つご
もり)」とは、「月の隠れる日」すなわち、「月籠り(つきごもり)」が訛っ
たもので、どちらも毎月の末日を指します。“1年の最後の特別な末日”を表
すために、2つの言葉のそれぞれに「大」をつけ、「大晦日」「大晦」といい
ます。
[いろは事典 http://iroha-japan.net/iroha/A01_event/13_omisoka.html]
月の運行状況を思い出してください。太陽と月と地球が一直線になると、月は
地球から見えなくなりますが、この状態から月が始まることから「朔(さく)」
や「新月」といいます。三日ほどすると細い鎌形の月が見え、次第に大きくな
り満月、十五夜となり、そして次第に小さくなり、やがて見えなくなりますが、
この状態を「月隠り」といいます。月が地球を一回りするには一ヶ月かかりま
すから、月の始まる新月の状態「朔」を訓読みして「ついたち」、また月の始
まる「月立ち」が転じて「ついたち」と呼ぶようになったのです。また、月末
は月がこもって晦(くら)いので「晦日(つごもり)」といいます。
太陰太陽暦では、1ヵ月を大の月は30日、小の月は29日と定めていたので、
今のように31日の月はありませんでした。そして、月末を三十日と書いて、
「晦日」と呼び、12月31日は、その年最後の月末ということで、「大」を
つけて大晦日となったわけです。
★★なぜ、大晦日にそばを食べるのですか★★
年越しそばは、「細くて長いそばを食べて縁起をかつぎ、長生きできるように
願ったもの」といわれています。また、そばは切れやすいことから、「一年分
の苦労や災いを切り捨てる願い」もこめられていました。「細く、長く、切り
捨てる」と縁起をかついでのことと思っていましたら、これも訳ありでした。
昔、金を使い細かいものを作っていた職人を金箔師といいますが、仕事場を掃
除する時に、そばのだんごで畳のへりや透き間を叩いて、飛び散った金箔を集
めたそうです。そこから、「そばは、金を集めて縁起がよい、そばで金を集め
る」という縁起となって、来年もお金がもうかることを願い、そばを食べるよ
うになり、江戸中期から始まった習わしといわれています。
そばの味を引立てる薬味に欠かせないのが葱(ねぎ)ですが、これにも面白い
いわれがあります。
葱(ねぎ)は、心を和らげる意味の「労(ね)ぐ」に通じて、それが祓い浄め
る神職「禰宜(ねぎ)」ともなって、今年の汚れを払いぬぐって心安らかに新
しい年を迎えようという、語呂合わせでもある。また、年越しそばを食べ残す
と、来年の小遣い銭にこと欠くともいわれている。
〔年中行事を「科学」する P251 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
ゲーム機やスマートフォンがない時代の室内遊びと言えば、カルタ、すごろく、
トランプで、「ババ抜き」や「7並べ」、「神経衰弱」などでした。相手がい
る遊びですから、負けてはなるものかと真剣に戦います。ゲームの結果に一喜
一憂する相手がいるからゲームが成り立ち、自分が負けていてもやめるわけに
はいきません。ましてや、リセットボタンを押して、再戦などもできません。
「勝っても負けてもみんなで楽しむ」、これも大切ではないでしょうか。年末
年始に改めてこういった遊びをしてみるのもよいでしょう。
★★除夜の鐘の意味★★
除夜とは、「古い年が押し退けられる夜」の意味で、大晦日の晩です。行く年、
来る年も、除夜の鐘が鳴らなくては決まりがつきませんが、これにもいろいろ
とわけありです。
「除夜の鐘は煩悩を解脱し、罪業の消滅を祈って百八回つくとされ、中国では
宋の時代から始まった。日本では鎌倉時代に禅寺で朝夕行われていたが、室町
時代からは大晦日だけつくようになった」
〔年中行事を「科学」する P251 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
そして、百八つの鐘のつき方ですが、きちんとした決まりがあるのです。
「五十四声は弱く、五十四声は強く打つ百八回の鐘は、百八つの煩悩を洗い清
めるためである。百七つ目は最後の宣命といい、ゆく年の最後に鳴らして煩悩
が去ったことを宣言し、百八つ目は、最初の警策といい、来る年の最初につい
て、新たなる年を迎えるにあたって煩悩に惑わされぬよう、眠りを覚ますとい
われる」
〔年中行事を「科学」する P251 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
宣命とは、宣命体で書かれた天皇の命令のことであり、警策とは、禅寺で座禅
の時に、ピシッと肩を打ち据える、あの棒状の板のことですから、決意の程が
わかります。
★★百八つの煩悩(ぼんのう)って何ですか★★
人間には、百八つの悩みや欲張りの心があり、これを煩悩といいますが、私た
ち凡人は悩み多き日々を送るのも当然なのです。
「煩悩」とはなんだろう。サンスクリットではクレシャーと言って「心を怪我
しそこなうもの」を意味し、心をわずらわし、身を悩ます心の働きであり、悟
りという最高の目的の実現を妨げるすべての心の働きである。
〔年中行事を「科学」する P251 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
煩悩の根源は一般に貪(とん)、瞋(しん)、痴(ち)とされ、これを三毒、
三惑などという。「貪」とは「むさぼり」であり貪欲である。「瞋」とは「目
をむいて怒ること、「瞋恚」であり、また嫌悪、悪意でもある。「痴」とは、
「おろか、真実をわきまえない痴愚」である。「痴」はサンスクリットではモ
ーハmohaというが、モーハという音が「ばか」となって慕何、莫詞、莫迦など
と音訳され、後には「馬鹿」と当て字で書かれるようになった。
〔年中行事を「科学」する P252 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
「貪」は貪欲、「痴」は音痴などでわかりますが、「瞋恚(しんい・しんに)」
は難しいですね。「仏教の十悪」の一つで、自分の心に逆らうものを憎しみ怒
ることです。この三つから解脱できると悟りの境地に至るのでしょうが、やは
り凡人には無理な話です。「解脱」の「解(げ)」ですが、解熱剤を「かいね
つざい」と読み笑われたことがありましから、解脱などとてもできない相談で
すね。
では、百八つの悩み、煩悩の正体は何をいうのでしょうか。
人間には六根という六つの感覚器官-目・耳・鼻・舌・身・意-を持っていて、
それぞれ六境という六つの対象-色・声・香・味・触・法を理解する。そのと
き三不同-好・平・悪の受け取り方があり、その程度は染・淨の二つに分かれ
る。そのすべてが、過去・現在・未来の三世にわたって、人を煩わし、悩ます
のである。
6 × 3 × 2 × 3 =108
(六根) (三不同) (染淨) (三世)
合わせて百八つの煩悩という。
(年中行事を「科学」する P252)
六つの対象の最後の「法」とは、仏教の説いた真理のこと。何だか難しくなっ
てきましたが、独自に解釈すると、「好・平・悪の受け取り方」は、感度良好、
普通、感度不良、「染淨」の「染は物を色水に浸して色を付ける」という意味
ですから「影響を受ける」、「淨は水が静かにおさまって濁りがない」ですか
ら「影響を受けない」ということではないでしょうか。
その他に、1年は12カ月で、1年には二十四節気、七十二候(時節、時期)
があるので、 12+24+72=108として、その時々に人を悩まし迷わ
せるものが合せて百八つの煩悩があるという説がある。
〔年中行事を「科学」する P253 永田 久 著 日本経済新聞社 刊〕
これが分かりやすいですね。二十四節気とは、季節の変わり目を示す春分、夏
至、秋分、冬至などの節分を基準に1年を24等分して15日ごとに分けた季
節で、七十二候は、二十四節気を約5日ずつ3つに分け暑さ、寒さから見た時
節のことです。私たち凡人は、いついかなる時にも煩悩に悩まされる愚かな人
間ということでしょうか。二十四節気については、改めて詳しく紹介します。
語呂合わせのようなものもあります。四苦八苦(4×9=36 8×9=72)
合わせて108、素直に肯いてしまいますね(笑)。
こだわるついでに、梵鐘には上の方にいぼ状の突起がありますが、この数は、
何と108個だそうです。さらに、念仏を唱える時に使う数珠ですが、一つ一
つは百八つの煩悩を表し、正式には108個の珠から成り立っているそうです。
モクゲンジの実から出来ている数珠で、念仏を20万遍唱えると天界に生まれ、
百万遍唱えると極楽に往生するそうです。1日1回唱えても1年で365回、
これは大変なことですね。
ところで、日本人は不思議な民族です。12月から1月にかけての行事をみて
も、クリスマスを祝い、除夜の鐘で煩悩を除き、正月には神社へ初詣をします。
キリスト教、仏教、神道の行事、イベントが生活に入り込んでいる国です。
日本文化の寛容さのあらわれですね。
このように様々な文化を取り入れ、受け継がれてきた日本文化、行事や昔話を、
お子さんと一緒に楽しみながら伝えてあげましょう。
(次回は「冬に読んだあげたい本」についてお話ししましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
制作したものです】