さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(1)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2022さわやかお受験のススメ<保護者編>
       ~紀元じぃの子育て春秋~
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
          -第36号-
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第10章  終戦記念日、このことです   葉 月(1)
 
物の本によれば、葉月のいわれは、季節は秋になり、木の葉が落ちる「葉落月」
の略されたものが親しみやすいですね。この他に、稲穂の「発月」、雁が渡っ
てくるので「初来月(はっきづき)」、南から台風の風が吹きはじめるので
「南風月(はえつき)」などの説があるそうです。
 
★★終戦記念日★★
 
8月といえば、終戦記念日です。8月15日、忘れてはならない日です。これ
は、季節の行事と違いますから、おかしな話と思うかもしれません。しかし、
私たち日本人は、この日を忘れてはならないのです。とにかく、大勢の人が亡
くなりました。戦場で230万人、原爆、空襲で70万人、およそ300万人
の命が奪われたといわれています。この中には、戦場となったアジアをはじめ
他国の人々は含まれていませんから、犠牲者はさらに増すはずです。この事実
だけでも、戦争は絶対に許せません。
 
最近、「なぜ、日本は世界を相手に戦争をしなければならなかったのか」、そ
の真相を明らかにする書物も多く出版され、知らなかった経緯を知る機会も増
えてきました。その最たるものは、「あの戦争は、日本の自衛戦争であった」
といった、日本と戦った連合国最高司令官、ダグラス・マッカーサー元帥の言
葉でしょう。
 
その他、真珠湾攻撃の前に日本の暗号が解読されていた、など当時の書類が公
開されてきました。原爆についてのことなど、今までの通説とは異なる事実が
出てくるのではないでしょうか。
 
それらの内容はともかくとして、戦争は、人間の引き起こす最も愚劣な罪悪で
す。そして、戦時中は、全国民が真剣に戦争をしていたのも事実です。国家権
力は絶対で、国民は逆らえません。これが恐い。たとえば、赤紙1枚で、たっ
た1つの生命を交換させられたのです。その赤紙は、わずか1銭5厘(当時の
葉書の値段)、1銭5厘です……。今ではドラマでしか見ることができない、
という世の中でよかったです。
 ※赤紙 兵を集める召集令状のこと、淡赤色の紙を用いたもので、俗に赤紙
     という。(広辞苑)
 
浅はかにも、人間は万物の霊長などと表現されますが、その人間だけではない
でしょうか、殺し合うのは。
それも、憎しみをこめて、徹底的に……。他の動物も同じ仲間同士、争います
が、負けのサインを出すと、攻撃しないものです。満腹のライオンは、しま馬
がそばを通っても襲いません。本当に、人間って、不思議な動物です。極限状
態になると、何をしでかすかわからないのですから。宗教と民族の問題がから
むと、必ず、泥沼に落ち込みます。  
ニューヨークにある世界でも有数なブロンクス動物園には、鉄格子をはめ込ん
だ檻、「鏡の間」があり、その前に立つと、人間の上半身が鏡に映り、その鏡
の上には、こう書かれてあるそうです。                                               
THE MOST DANGEROUS ANIMAL IN THE WORLD
(世界で最も危険な動物)
 
そして、世界ではともかく、日本では戦争も原爆も、何やら遠い昔の出来事と
して、風化されているのではないでしょうか。しかし、忘れてはならないこと
です。事実は事実として、きちんと語りつがれなければ、戦争のために亡くな
った人たちは浮ばれませんし、申し訳ないではありませんか。これこそ、「現
代の民話ではないだろうか」と、今月に紹介する本の解説者、米屋陽一氏はお
っしゃっています。また、山崎豊子さんの「不毛地帯」のように、外地で苦労
された人々の話も読んでおきたいものです。
 
戦争は、ゲームと違います。リセット、やり直しはできません。ゲーム・オー
バーで、本当に「ゲーム・セット」ですから、子どもに戦争の悲惨なこと、二
度と繰り返してはならないことを、しっかりと伝えておきたいのです。人間は、
お互いに、労わりあう心がなければ生きていけません。「共生」「ともいき」
ということを、責任をもって教えるのは、ご両親の大切な仕事です。
 
たびたび申し上げていますが、幼児期に必要なのは、知識を詰め込むのではな
く、情操豊かな子に育つ環境を作ることです。
 
そこから、自分自身で考え、行動する力が身につくからです。
 
価値観が多様化し、「何でもありの人生観」をもつのも自由ですが、「共に生
きる」意識がぜい弱では、やはり、偏った考えしか身につきません。「共生の
反対は自己中心」ではないでしょうか。自己中は、恥じることを知らない人の
ことです。
 (次回は、「なぜ、鳩は平和のシンボルなのでしょうか」
                  などについてお話ししましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
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