さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(2)

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    「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
        第49号
  年長児のお子さまをお持ちの方へ
小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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志望校選びの10のチェックポイント(2)
 
 ★説明会情報★
  白百合学園小学校
   日時 6月26日(土)(1) 9:30~10:15
              (2)11:30~12:15 
   場所 白百合学園講堂
   申込 6月7日(月)~21日(月)WEBから   
   対象 保護者の方1名のみ
     ※すでに(1)は満席になっています。(6月11日現在)
 
  国府台女子学院小学部 第2回学校説明会
   日時 7月10日(土)10:00~11:30 
   場所 大講堂
   申込 WEBにて受付中   
   備考 大講堂を会場とするため人数制限はありません。
      お子様をお預かりするプログラムは中止させていただきます。
   
  詳しくは各校のホームページをご覧ください。
 
 
 
[四]宗教教育について
 第四は「宗教教育に、何を期待しているか」です。
 
「宗教教育について、よくわからないのですが」
「信者にならなければいけないのでしょうか」
などとおっしゃる方が、少なくなったとはいえ、時々、こういった質問を受け
ることがあります。
宗教教育、例えば、キリスト教の場合は、キリストの教えに基づいた教育が行
われますから、入学試験に際しても、信者でなければ不利といったうわさの流
れた時期もありましたが、今では、そう信じる方もいないのではないでしょう
か。
本来、ミッション系の学校は、宗教を布教することを目的としていますが、だ
からといって、信仰を強制することはありません。「在学中に洗礼を受けなけ
ればならない」といった怪情報もあるようですが、それも単なるうわさに過ぎ
ません。
 
説明会でも、
「信者でなくても結構ですし、お坊さんや神主さんのお子さんもいます。国籍、
宗教、学歴、職歴、一切、関係ありませんが、条件といえば、日本語がわかる
ことです」
とおっしゃっています。
 
入学後、お子さんは、キリストの教えにしたがった生活を始めます。例えば、
食事の際にお祈りをしますが、その時に、「私は知らん」と、勝手に食事をし
てもらっては困るということであり、学校の行事は、イースター、みこころ祭
のように、宗教が中心となっていることを了解してほしいといったことなので
す。また、信者でない方のために「宗教講座」などを設けて、親子で学んでほ
しいといっていますから、何ら心配はありません。
 
それよりも大切なのは、宗教教育を通して、お子さんに何を学ばせたいかなの
です。
皆さんは、普段から、
「嘘をついてはいけません」
「自分のことは自分でしなさい」
「人に迷惑かけてはいけないよ」
「ありがとうという気持ちを大切にしようね」
と言っているのではないでしょうか。これは、どれ一つを取り上げても、宗教
の基本的な倫理です。キリスト教の愛、イスラム教の施与(施し与えること)、
仏教の慈悲など、すべての宗教が唱える教えの礎(いしずえ)となるものです。
こういったことを大切にしていれば、学校側の指摘している「ご家庭の育児の
方針と学校の教育方針が一致していること」になるのです。
 
価値観の多様化する世の中で、小さい時から絶対的な価値観、例えば、幼稚園
で、「これは白色です」と教わったことは、大学へ行っても変わらない指導を
受けられる教育、「心の教育」といいますが、そういったブレのない建学の精
神に基づいた教育を受けさせたいと考えるご両親が増えていることも確かです。
知識だけを詰め込む知育偏重型から、感情と意志を育む情意育成型の教育、こ
れが私学の大きな特徴でもあるわけです。
     
宗教教育について、非常にわかりやすい話があります。あるミッション系の学
校の説明会で聞いた話で、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
この学校は日記指導に力を入れているのですが、ある年のこと、一年生が絵日
記に、 
「昨日、お父さんとお母さんがけんかして、私は、さみしかったです」
と書いてきたそうです。読んだ先生は、一年生の子が「さみしかった」と表現
したことに感激して、五重丸の花丸をつけて返しました。喜んだ子どもは、家
に帰ると、
「ママ、見て!」
と嬉しそうに見せたものです。ほめられると思っていた子どもは、お母さんか
ら、
「あなたは、なぜ、こんなことを書いたの!」
と怒られてしまいました。日記を書くもう一つの目的は、「嘘をついてはいけ
ない」ことを教えることなのです。日記を通して、宗教教育を実践しているわ
けです。
「昨日、日記を見せたら、ママに叱られました」
と、子どもは、あくまでも正直に書くわけです。すると、もっと大きな花丸が
ついて返ってきたので嬉しいのですが、お母さんには、もう見せません。怒ら
れるとわかっていますから。
後日の父母会の折り、
「日記指導についてですが、私たちは作文を通して、子どもたちに嘘をいって
はいけないと教えています。正直に書いたお子さんを叱るのは、お母さんが、
『都合の悪いことは嘘をついてもいいのよ』と教えているのと同じではありま
せんか。『嘘をついてはいけない』というのが私達の教育の基本ですから、ご
家庭でも、きちんと守ってください」
と先生はおっしゃったそうです。
いかがでしょうか、これはわかりやすい話だと思います。宗教教育は、学校の
礼拝堂や日曜学校の教会でお祈りをして賛美歌を歌うといった表面的なことで
はなく、日常生活に、限りなく密着しているわけです。
                  
また、説明会で、賛美歌を歌い、牧師さんの講話(聖書の話)を聞き、お祈りを
し、「アーメン」と唱和する学校があります。教会へ一度も行ったことがなく、
ミッション系の学校を希望されるお父さん方に、是非とも参加してほしいので
す。
それは、青山学院初等部の説明会です。
しかし、残念なことに今年は、コロナウイルス感染症拡大防止のため、第1回
説明会はホームページ上からご覧いただく形になりました。6月に予定されて
いたオープンスクールも中止。9月に予定されている2回目の説明会は検討中
とのことです。実施されることがあれば、参加され、違和感を覚えたら、志望
校選びを真剣に考え直すべきでしょう。
 
最近では、立教小学校も「開会(閉会)礼拝」を行っていますが、「アーメン」
と唱和される方は少ないですね。以前のチャプレンは、「宗教の香りのする学
び舎」と言っていましたが、説明会会場の上にある礼拝堂で、しばし時間を過
ごすと、何となく思いは伝わってきます。しかし、こちらも残念ながら第1回、
第2回の説明会は「録画動画の配信による説明会」となりました。9月の第3
回は実施予定です。
 
かつて、あるミッション系の説明会で校長先生は、「信者でない方々に宗教上
の儀式、お祈りなどを強制するのはいかがなものかと考え、私どもはやりませ
ん」とおっしゃったことがありました。いずれにしても、宗教の香りには、入
学後、ほのかにただよう中で、自然と馴染んで行くようです。
 
 
 
[五]通学距離と所要時間
 
次は、「通学距離と所要時間」についてです。
 
国立大学附属小学校の場合は、地域指定や通学時間に制限がありますから、条
件を満たさない場合は、受験できません。 
 
私学でも、桐朋小学校は通学地域を指定し、所要時間は60分以内、乗車時間
は40分程度、乗り換えは2つまで、桐朋学園小学校も60分程度、雙葉小学
校、立教女学院小学校は1時間以内、入学後引越しされてもこの条件を守るこ
とになっていますが、多くの場合、通学時間、距離は、保護者の判断に任せて
います。
 
通学に1時間かかるとして考えてみましょう。8時までに登校するには、遅く
とも7時前には家を出ます。その前に食事、着替えなどの準備が必要ですから、
お子さんは6時に起床、お母さんは、朝食の支度のため5時半には起きること
になるでしょう。週五日制が徹底されても、毎週五日間、この時程が繰り返さ
れます。さらに、学校が都心にあれば、ラッシュアワーに通学ということも考
えられます。心身共に健康でなければ、通い切れません。
 
ここで、3つだけ質問しておきましょう。
その1、お子さんは、十分ぐらい歩くと、「おんぶして!」と言いませんか。
その2、遊園地などで迷子になった時に、係の人に名前と住所を聞かれたら言
えますか。
その3、電話をかけられますか。
模擬面接で、住所も、電話番号も言えるお子さんに、
「ディズニー・ランドへ行ったとき、迷子になったらどうしますか」
と聞くと、答えられない場合があります。こういったちぐはぐなことが、入試
準備として行われているようです。迷子になったら、制服を着ている係の人に、
住所と名前を言えば、場内に放送して、親に知らせてくれます。何のために住
所や電話番号を覚えておくかを教えずに、面接のために記憶させていると、言
えるけれども、それを使って何をするかがわからないのです。これが、記憶だ
けに頼る受験準備のマイナス点ではないでしょうか。目的が分からないで知識
だけを詰め込んでしまうと弊害が起きるもとだと思います。「覚えさせておけ
ば事足りる」といって教え込んだことは、幼児期には余り役に立たないもので
す。
 
かつて、ある学校の説明会で、「登下校中に、関東大震災級の地震が起きた場
合、学校としては、とるべき手段がありません」と言ったことから、「学校の
近くに住む子が有利、遠方からの通学者は不利」といったうわさが流れました。
東日本大震災以降、安全に通学できることも、学校選びの重要な条件になった
ようですが、学校側も、校舎の耐震性や飲料水、食料品の備蓄など災害対策に
は万全を期しています。問題は、登下校時に起きたときの対策でしょう。幼い
なりに対応できる、そういった育児をしっかりと心がけ、自立心を育てるべき
ではないでしょうか。
 
早稲田実業学校初等部は、保護者が同伴できるのは、入学式と翌日の始業式だ
けで、3日目から一人で通学します。安全のために出来る限り保護者の同伴を
望む傾向にあるようですが、それはともかくとして、子ども達の自立を妨げる
過保護、過干渉の育児は、絶対にやめるべきです。
                        
通学距離、所要時間は、単に物理的な距離、時間ではなく、こういった精神的
な面も考慮すべきではないでしょうか。
 
また、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科も始めましたが、ア
フタースクール、学童保育も充実してきました。最長19時の学校もあります。
児童の安全を考慮し、自家用車でのお迎えを認めている学校もありますが、厳
しい約束事もあり、説明会へ参加された時に確認しておきましょう。
 
 
 
[六]健康状態
 
「健康状態」についてですが、これは小学校受験で、もっとも大切なことです。
健康といっても体だけではなく、心身共に健康であることです。
小学校受験は、「初めての場所で、初めて会った同世代の子どもの集団に入り、
初めて会った先生の指示を聞き、理解し、即座に対応する」ことです。自分だ
けが頼りの戦いです。
 
まず、話を聞く姿勢が身についているかです。
前にもお話しましたが、小学校の試験は、中高大学の試験と比べて、著しく異
なることがあります。
ペーパーテストを考えてみましょう。通常、テストには、設問があり、それを
読んで答えるわけです。ところが、小学校のテストには設問がなく、逆に、答
えが全部、出ています。後は、スピーカーから流れてくる先生の指示を聞いて
解答していきます。
中高大の試験では、やっているうちに、「あぁ、これは苦手だから飛ばそう。
時間が余ったら後でやろう!」と自分のペースで挑戦出来ますが、小学校の試
験は、これが出来ません。「用意、ドン!」ではありませんが、始まればその
まま流れていきます。途中であっても、「ハイ、そこまで!」と言われれば、
そこでやめないと、次の設問の説明が始まりますから、ついていけなくなりま
す。マイペースは、認められません。
話を聞く力を身につける、これは試験だけではなく、何かを学習するためにも
っとも必要な基本的な能力です。話を聞けなければ、何事も始まりません。話
を聞く姿勢は、親子の対話から、話の読み聞かせから、指示をきちんと出すこ
とから身についてくることを、くどいほどお話してきた理由は、ここにあるの
です。
 
次に、保護者の手を借りないで、どのくらいのことが出来るかです。
お子さんの一日の行動をチェックしてみましょう。保護者が、どのくらい手を
貸しているかを知ってほしいのです。衣服の着脱、歯磨き、洗顔、食事、排便、
身辺の整理など、就学前には身につけておかなければならない「基本的な生活
習慣」ですが、いかがでしょうか。こういった生活習慣が身についていること
は、子ども自身が、試行錯誤を積み重ねながら学習をした結果です。幼児期は、
この試行錯誤こそ大切な学習なのです。試行錯誤は、工夫をすることから起こ
ります。手作業の得意な子の知的な能力が高いのは、試行錯誤を積み重ね、そ
の手順を、きちんと学習し、覚えているからです。単なる記憶ではありません。
 
自分の頭と体を使って、
「こうしたらこうなるぞ、こうしたらまずいかな、こうやったらうまくいった
ぞ!」
と学習しているのです。
オーバーに言えば、「誰にも頼らず、一人で生きていくための生活の知恵」を
学んでいるのです。
 
小学校の受験は、問題集を買い、勉強して、「合格!」とはなりません。その
ことを、ものの見事に表現した言葉があります。この話も何回も紹介しました
から、もう耳にたこができているかも知れませんね。ある年のミッション系の
学校の校長先生のおっしゃったことです。
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、『受験準備、
こと足れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気付いてほしい」
日常生活での積み重ねが、5歳か6歳の秋に表れるのです。つまり、ご両親の
育児の姿勢が、そのまま表れます。これが小学校の受験なのです。
 
最後に、社会性や協調性といった集団生活への適応力が培われているかです。
これは園の先生や保育士の方に聞けば、すぐにわかります。先生方は、保護者
の方に遠慮して、なかなか本当のことを言ってくれませんが、例えば、
「うちの子、集団生活ではどうでしょうか」
と尋ねたとき、
「多少、問題があるようですよ」
といった返事が返ってきたときは、ものすごく問題があると考えて、日常生活
を、きちんとチェックすべきです。多くの場合、集団生活に問題が起きるのは、
ご家庭の育児の姿勢に原因があります。繰り返しますが、過保護、過干渉の育
児です。
 
3歳を過ぎてもお子さんのやっていることを見て、手を貸したくなれば過保護
であり、口を出したくなれば過干渉の育児と言われています。過保護な育児か
らは、わがままで、我慢のできない子に、過干渉の育児からは、消極的で引っ
込み思案な性格の子になりがちです。こういった環境で育てられていると、集
団生活への適応力は、育まれません。困るのは、お子さん自身です。
   
ちなみに、最近の脳科学者の研究によれば、集団生活への適応力の基本は、6
歳頃までに身につくもので、その時期を逃すと臨界期といって、どうにも修正
が効かなくなり、社会性や協調性を身につけるために、本人が非常に苦労する
と言われています。
 
夏休みには「お泊り保育」があると思いますが、どういった状態であったか、
必ず聞くようにしてください。親の元を離れたお子さんの本当の姿を見ること
が出来るからです。最近、行動観察型のテストで、集団生活への適応力を判定
する問題が増えていますが、学校側は、何を見たいのか、おわかりいただけた
のではないでしょうか。
 
お子さんの心身の健康状態は、いかがですか。    
 
 
(次回は「志望校選びの10のチェックポイント(3)」についてお話しましょう)
 

 

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