さわやかお受験のススメ<保護者編>第7章(3)端午の節句です

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2021さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第26号
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  第7章(3)端午の節句です 
 
 ★★竜とドラゴンは、どこが違うのかな★★ 
         
「先生、竜って、どこにいるのかな?」
映画「ジュラシックパーク」を見てきた子どもが、こう質問したものです。絶
滅したはずの恐竜が動き回っているのですから、不思議に思ったのでしょう。
怪獣ゴジラにキングギドラが戦いを挑んだときも、同じような質問を受けまし
た。人間の脳は、動くものを見ることで刺激を受け、新しい思考が始まるよう
です。空想の怪獣が動くことで、新しい疑問を感じるのでしょう。
竜といえば、芥川龍之介の小説「龍」や、上野の不忍池に、夜な夜な水を飲み
に現れたという名工、左甚五郎の彫った「龍」などから、名前には親近感があ
りますが、存在感はありません。困ったとき、頼りになるのは広辞苑、私には
心強い味方です。
 
それによると、「竜は、インド神話で蛇を神格化した人面蛇身の半神、中国で
は神霊視される鱗虫(蛇などうろこのある虫)の長」であり、その姿は、多国
籍軍のような寄せ集めとはいいませんが、ものすごく複雑なのです。
「頭はラクダ、角は鹿、眼は兎、耳は牛、うなじ(首筋)は蛇、うろこは鯉、
爪は鷹、手のひらは虎に、それぞれ似ている」
といわれているようです。これだけ集まれば、さて、どのような性格になるの
でしょうか、想像もつきません。棲息地は人里離れた、何やら訳ありの深い淵。
しかも、水の中で、おとなしくしているだけではありません。空さえ飛んでみ
せ、天にも昇ります。昇天の際には、雲を起こし、雨を呼び、強風を吹かせて、
稲妻を光らせ、雷まで響かせる、いかにも不思議な存在です。
 
そのせいでしょうか、竜を使った四字熟語には、威勢のよい、縁起のよいもの
がたくさんあります。
新明解「四字熟語辞典」によると、
「竜章鳳姿」は、威厳に満ちた立派な容姿、 
「竜躍雲津」は、竜が空高く舞い上がり、銀河まで昇っていくように出世する
こと、
「龍虎相搏(そうはく)」「龍虎あいうつ」でおなじみの強いもの同士が戦う
こと、
「竜象之力」は、水中の竜や陸上の象のように、他に突出した力のことを表し
ます。
もっとも、「竜頭蛇尾」と、初めは勢いもよいのですが、終わりの方ではふる
わなくなる竜もいるようです。
 
幕末の志士といえば、忘れられないのが坂本龍馬ですが、その龍馬にふさわし
い故事があります。「竜馬(りゅうめ)の躓(つまず)き」、竜馬は足の速い駿馬
のことですが、駿馬でも何かのはずみで躓くことがあるという意味で、類似語
は「猿も木から落ちる」です。回天寸前に暗殺された龍馬、まさに「竜馬の躓き」
で、歴史は、非凡な人間に嫉妬するかのように、非情な運命を背負わすもので
すね。ちなみに英語では、“A horse may stumble though he has four legs”
「4本足の馬も時には転ぶ」だそうです。(「故事ことわざ辞典」より)
 
また、「逆鱗(げきりん)」ということばがありますが、この「鱗(うろこ)」
は、竜のあごの下に逆さまに生えるもので、これに触れると竜は怒り狂うとい
われ、中国の古典「韓非子」に、天子(国を治める者)を竜にたとえ、天子か
ら激しい怒りをかうことを「逆鱗に触れる」と記されています。
 
しかし、東洋では、姿形からして何やら憎みきれない善玉的存在です。日本で
は、「竜神様」といい立派な神さまですし、「辰」として干支にも入っていま
す。「独眼竜」といえば、おなじみの武将、伊達政宗です。
 
ところが、西洋になると、一変して悪玉となるから面白いですね。ドラゴンで
表す西洋の竜は、悪の化身です。聖書の「黙示録」に、「年を経た蛇」として
登場します。そういえば、禁断の木の実を食べさせようと誘ったのは、蛇でし
た。このドラゴンを退治するために、英雄が登場します。これでは完全な悪役
に徹することになるのですが、竜が「宝の守護者」としての伝説があるのです
から、やはり、摩訶不思議な伝説上の産物なんですね。
 
楽しい童話があります。竜に会いたいと願っていた子どもが、会えたばかりか
竜を感激させ、その背中にのって空を飛ぶ、浜田広介の「竜の目に涙」です。
我が子が幼稚園時代に、夢中になってみていたテレビマンガ「日本昔話」のタ
イトルに、竜に乗った子どもが出てきた記憶があります。以前にも紹介しまし
た「泣いた赤鬼」とともに読んであげたい本です。         
 
 
 ★★五月五日は、母の日ですって…!?★★
 
「エッ、ウッソー!」と、いいたくなるでしょうが、嘘ではありません、本当
の話です。
 
昭和23年(1948)7月20日発布の法律第一七八号、国民の祝日に関する
法律(祝日法)には、「子どもの人格を重んじ、子どもの幸福をはかるとともに、
母に感謝する日」と定められている。
 (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P100)
 
つまり、子どもの日は「法律的には母に感謝する日」でもあるのです。
「それでは、どうして、五月の第二日曜日が母の日で、カーネーションを贈る
ようになったのですか?」当然の疑問です、以下のような経緯があったのです。
 
 アメリカのウエストヴァージニアの教会に、ミス・ジャービスという女教師
 がいて、日曜学校の説教のとき、モーセの十戒の一つ「汝の父母を敬え」の
 章の解説に「母の恩の深いことを人に悟らせる方法を考えよ」と教えていた。
 彼女が亡くなり、その追悼式が命日に行われたとき、一人娘のアンナ・ジャ
 ービスは、母が好きだったという白いカーネーションを母に捧げることで母
 の教えを伝えていこうと思い、信者たちに白いカーネーションを配った。信
 者たちはそれを胸に飾り、教えの通り母への感謝を示したのである。
 この話を聞いたデパート経営者ジョン・ワナメーカーが、1908年5月の
 第二日曜日に母を讃える記念会を催して、アンナの話を人々に伝えた。これ
 がレディー・ファーストの国アメリカで大反響を呼び、1914年に、議会
 の決議を経て、ウィルソン大統領により国民の祝日として、5月の第二日曜
 日を「母の日」と決めたのである。
 (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P100
  -101)
 
カーネーションの花言葉は「母の愛情」です。これも当然ながら意味がありま
す。
 
 カーネーションは、十字架にかけられたキリストを見送った聖母マリアが落
 とした涙のあとに生じた可憐な花ともいわれ、母性愛の象徴となった。そし
 てそれはキリストの復活につながり、復活したキリストと共に生まれた花と
 して、愛と喜びのシンボルとなった。白いカーネーションは生前のキリスト
 とマリアの涙、赤いカーネーションは復活したキリストである。
 (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P102)
 
バレンタインデーのチョコレートはチョコレート屋さん、母の日のカーネーシ
ョンは花屋さん、クリスマスのデコレーション・ケーキはお菓子屋さんの企み
という感じがしますが、発案者のアンナさんは、こういった商業化、コマーシ
ャリズムには反対で、心を痛めていたそうです。
 
 
 ★★花言葉★★
 
花言葉に関しては、お母さんの方が詳しいのではないでしょうか。母の日のカ
ーネーションにちなみ、年中行事に関係のある花を選んでみました。
 
冬(12月-2月)
[そば]懐かしい思い出 ◆(そばののど越しと香りがわかります)
[松]不老長寿 同情 慈悲
[竹]節度 節操のある
[梅]高潔 上品 忍耐 忠実 独立 厳しい美しさ あでやかさ 気品
[裏白]無限に   ◆(縁起物の門松と鏡餅だけに納得できます)
[ゆず]温情 太平 ◆(鏡餅の存在を暗示しています)
[福寿草]幸福 幸せを招く 永久の幸福 回想 思い出 悲しき思い出
[椿]幸福 謙遜(赤)気取らない美しさ 控えめな愛
        (白)申し分ない愛らしさ 理想的な愛情 冷ややかな美し
           さ
 
[せり]清廉潔白  ◆(せりのおひたしは、まさにこの味です)
[ナズナ]すべてを捧げます
[御形(母子草)]いつも思う 優しい人 永遠の思い
「はこべら」 ランデブー 愛らしさ
[仏の座]調和 輝く心
[すずな]助け
[すずしろ]潔白  ◆(以上は春の七草です)
 
[大豆]親睦 ◆(鬼と親睦を図るわけではありません)
[ひいらぎ]機知 先見 用心
 
春(3月-5月)
[桃]天下無敵 チャーミング(花、しだれ桃)私はあなたのとりこ(実)愛
   嬌
[橘]純潔 ◆(お雛様は天下無敵と純潔に守られています)
 
[よもぎ]幸福 平和
[菜の花]快活な愛 小さな幸せ
[桜]純潔 精神美 淡白 ◆(かつて日本民族の矜持、プライドでした!)
[しょうぶ]やさしい心 忍耐 あなたを信じる
[柏]勇敢 独立 自由
[栴檀]意見の相違
[タンポポ]前途洋々 威厳  ◆(全く逆の花言葉もあります)
[チューリップ] 博愛 名声(黄) 実らぬ恋(紫) 不滅の愛(白)
         長く待ちました(斑入り) 美しい目
 
夏(6月-8月)
[あじさい]移り気 高慢 辛抱強い愛情 元気な女 無情
[朝顔]愛情 愛情の絆 平静 結束 短い愛
[ひまわり]私の目はあなただけを見つめる 憧れ 崇拝 熱愛 光輝 愛慕
[笹]ささやかな幸せ  ◆(「ささやか」、響きのいい言葉ですね)
[なす]よい語らい 優美 希望
[きゅうり]しゃれ  ◆(……!)
[ほおずき]いつわり ぎまん ◆(漢字で書くと[鬼灯/酸漿]です)
 
秋(9月-11月)
[萩]思い 思案 柔軟な精神 
[すすき(尾花)]活力 心が通じる 永久 忍耐
[葛]治療
[女郎花]親切 美人 はかない恋 永久 忍耐
[撫子]永遠の愛情 純愛
[藤袴]ためらい 思いやり
[桔梗]変わらぬ恋 従順  ◆(秋の七草)
 
[秋桜(コスモス)]乙女の真心 乙女の愛情(ピンク) 少女の純愛(赤)
          調和(白) 美麗 純潔 誠実
[菊]ろうたけた愛 わずかな愛(黄) 真実 誠実(白)
   私を信頼してください(濃色)
[葉鶏頭]情愛 見栄坊  ◆(ケイトウというあだ名の友人がいましたが、
     納得!)
[彼岸花]悲しい思い出 情熱 独立 再会 あきらめ
[しゅうかいどう]片思い
[赤飯]節操 粋 健康 あなたのために役立ちたい 
[白粉花]あなたを思う 内気、臆病 ◆(新 秋の七草)
 
[榊]不明(やはり、神さまに似合うのはこれでしょう 花言葉 北斗 多一
   郎) ◆([不明]なのではなく、[不明]が花言葉です)
[栗]真心 豪華 満足
「さつま芋」乙女の純真  ◆(可憐な花です)
 
花言葉はたくさんあり選択に迷いましたが、ここでは花言葉のいわれを紹介す
るのではありませんから、年中行事に関係のあるものから選んでみました。掲
載した花言葉は、すべて「Yahoo! Japan」から検索したものです。「和紙つれ
づれ花言葉」は、出典を明らかにした親切な作品になっていましたが、検索し
たところヒットしませんでしたので、今回は「花言葉由来 hananokotoba.com/」
にもお世話になりました。
 
かつて、花を傘で切り倒す事件がありましたが、花に八つ当たりして、何かが
解決したのでしょうか。私たちが困難に立ち向かうときに、花や小動物が、い
かに勇気を与えてくれるか、体験したことがないのでしょうね。残念でなりま
せん。
 
余談になりますが、ご家庭での受験準備、いかがでしょうか。
先日、「おじいちゃん、ティラノザウルス(恐竜)を折ってください!」と孫
からリクエストがあり、これが難しくてパソコン相手に苦戦しています。第2
4号でもお話ししましたが、折り方の解説、難しいですね。わかっている人に
は簡単なのでしょうが、うまく折れません。
これは皆さんがやっている家庭学習でも同じことがいえるのではないでしょう
か。お子さんが「わかんない!」といったときは、本当にわからないのです。
「わかった!」と笑顔でいってくれるまで頑張る、賢いお母さんになってあげ
ましょう。
なかなか、完成図のようにならずにイライラしますが、孫の期待に背くわけに
もいかず、頑張らざるを得ません(笑)。
 
ところで、澤田ふじ子さんの小説には、粋な表現があり、嬉しくなるときがし
ばしばありますが、これなど、今年の陽気の変化を見事に表しており、またう
なずいてしまいました。
「こう暖かいと、つい油断してしまいますわ。風邪の奴は、そんなところへ付
け込んできますのやな。季節には嘘がまじっているとは、身体のためをいう言
葉。昔のお人はなんでもうまい表現をしはります」(公事宿事件書留帳五 
相続人 P153より)
 
新型コロナウイルス、「自分だけは……」と考えるのは迷惑を掛けるだけです。
ゴールデンウイークに沖縄に6万人の観光客、盛況のパチンコ店など、医療現
場がどうなっているか知らないのだろうか。かかったら、それでアウトです。
その覚悟があるのか、聞きたいものですね。
 
 (次回は、「五月に読んであげたい本」についてお話しましょう)

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