さわやかお受験のススメ<保護者編>第6章(3)入園、入学を迎えたお母さん方へ

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2021さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第22号
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第6章(3)入園、入学を迎えたお母さん方へ
 
 
昨年は、新元号「令和」で祝勝ムードでしたが、今年はオリンピックの延期で
沈みがち。それもコロナが原因です。院内感染、入院している方も大変ですが、
外来患者も、病院へいけないのは辛いですね。風邪ではなく腰痛と花粉症なの
ですが。総合病院ですから待合室が広く、感染するのではと控えています。今
はじっと我慢のときですね。うがいと手洗い、徹底しましょう。
 
某名門私立小学校の入学式、保護者1名、来賓者なし、規模縮小で寂しい限り。
入園式、入学式も例年とは違った様子になりそうですね、コロナの奴めが、こ
こまでやるか!
 
それはともかく、4月は、これを抜きに考えられません。
環境が変わるのは、大変なことです。幼稚園や保育園は、ご両親にとっても、
第三者に教育を委ねる初めての場所です。子どもたちは、親のもとを離れて初
めて生活する場所であり、ご両親に十分に保護されていた環境から巣立つわけ
です。
スタートが、肝心ではなかったでしょうか。
 
子どもたちも、新しい環境になじもうと一所懸命に努力します。毎日、楽しい
ことばかりが続くわけではなく、いやなこともあります。それでも、幼稚園へ
行こうとするのは、新しい環境には、家にはない魅力や新鮮な刺激があるから
です。先生方も幼稚園は楽しい所だと、精一杯、努力をします。見ていると涙
ぐましいほどです。
 
しかし、変なお母さんがいるようですね。
「お母さん、ぼく、幼稚園へ、行きたくない!」
そのわけも聞かずに、瞬間湯沸かし器になって、幼稚園へ怒鳴りこむ「過保護・
溺愛・自己中心」の三つを備えたKYJT(空気読めない自己中)ママです。
「悪いのは友だち、きちんと指導のできない先生!」
というそうです。多くの場合、お母さんと子どもに原因があるのですが、恥ず
かしげもなく、こういう行動を起こすお母さんですから、お母さんも子どもも、
そのことがわかりません。かわいそうなのは、子どもです。いつまでたっても、
お母さんから逃れられませんから。
 
幼稚園は、お母さんのもとを離れても楽しいことがたくさんあることを実地体
験する場所です。自立心を培って、小学校の集団生活に適応できる力をつける
所ですから、お母さん方も子ども中心の育児から卒業し、客観的にわが子を見
る機会と考えましょう。
 
過剰な愛情を注いでもいいのは、3歳までです。
3歳を過ぎると自立が始まりますから、「手を出さない、口をはさまない育児」
に徹すべきです。極端にいえば、3歳を過ぎても子どものやっていることを見
て、手を貸したくなるようでは、もう十分に過保護ですし、口を出したくなる
ようでは過干渉です。
 
一人っ子では、この加減がわからなくなりがちですが、きょうだい二人の下の
子を見るとわかります。上の子にないところを持っていることが、往々にして
あるものです。最初の育児は、何事につけても慎重になりがちですが、二番目
の子は経験済みですから手を抜きます。その分、子ども自身が自力でやらねば
なりませんから、それだけ試行錯誤を積み重ね、苦労しているので、たくまし
くなります。「一姫、二太郎」とは、「子を産み育てるには、最初は女の子、
二番目は男の子が育てやすくてよい」ということですが、それ以外にもこうい
った意味があるのです。
 
男の子は、適度な試行錯誤を過ごせる環境でなければ、たくましく成長しませ
ん。教室でも、女の子はかなり積極的に自信を持って取り組んでいましたが、
男の子は自信がないのか、なかなか手を出さない子がいたものでした。一般に、
女の子は成長が早いので、あまり手がかからないものですが、男の子は少し遅
いですから、男の子を育てているお母さん方、過保護にならないよう注意しま
しょう。お母さん方は、とかく男の子に甘いところがあるからです。もっとも
お父さん方は、女の子に甘くなりがちですから、お互いに客観的に子育てを見
直すことも大切ではないでしょうか。
 
ところで、平成4年度から施行された「幼稚園教育要領」によると、保育の方
針は、従来の「一斉保育から自由保育」となり、「一人ひとりの個性を伸ばし
ていく保育」に変わっています。これを誤解するお母さん方がいるようですね。
 
自由保育といっても、勝手気まま、何でもありの自由奔放な保育ではありませ
ん。みんなで一斉に、同じことをするのはやめて、自発的に活動できるように
導く保育です。
 
例えば、知識や理解力を培うにも、自分自身で考え、工夫する機会や経験を、
たくさん持たせ、自分勝手な考え方ではなく、客観的なものの見方や考え方を、
身につけるように指導することです。もっと大胆にいえば、「他律」ではなく
「自律」の保育です。ですから、過保護や過干渉な育児をやっていては、自律
できない、わがままで、甘えん坊の弱虫な子になりがちです。
 
幼稚園へ行かせるのは、親の子離れ、子どもの親離れの実地訓練期間と考える
べきだと思います。子離れできない育児は、運転免許取得でいうと、まだ仮免
前の段階です。幼児期の過保護、過干渉の育児が、中学生の頃になると、幼児
期に体験していなかったことから生じるギャップに対応できず、家に引きこも
ったり、非行に走ったりするのではないかと思えてなりません。育児しながら
「育自」するお母さんになってください。
 
しばらくの間、慣れるまで、子どもたちもクタクタに疲れて帰って来るでしょ
う。しっかりと、やさしく抱きしめて、勇気を与えてあげましょう。また、送
迎を義務付けられている幼稚園の場合は、お母さん方も体調を崩さないように
気をつけてください。
 
小学校も同じです。
新学期が始まると、もう勉強を気にするお母さんが増えているようで、子ども
たちが新しい環境に慣れるのに、どのくらい神経を使っているか、わからない
お母さん方がいると聞きます。特に、国立附属や私立の小学校へ通う子どもた
ちは、電車やバスを使い、1時間前後の時間をかけて通学するはずですから、
慣れるまで大変です。朝のラッシュ時に、ランドセルを背負い電車に乗り込む
子どもたちを見ると、「頑張れ!」と声をかけたくなります。
何といっても、狭き門をくぐり抜けてきた幼き戦士ですから。新しい環境に慣
れるまで、勉強のことは忘れましょう。
今年受験予定の皆さん方は、東日本大震災以降、通学経路、所要時間も、学校
選択の大切なポイントにもなっていることもお忘れなく。
 
極端な話ですが、学校から帰ってくるなり、
「宿題はないの!」
「テストは、どうだったの?」
「予習しなくて、いいの!」
「4時から塾です。遊びに行ってはいけません!」
こんなことばかりいわれて、勉強好きな子になれるでしょうか。これでは、命
令、統制、禁止、管理の育児で、勉強もこの姿勢でされてはたまりませんね。
まだ、危険なことをしますから、監視の目は必要ですが、自分で考え、行動し、
やったことには責任を持たせる「自立させる育児」に切り替えるべきです。
 
勉強も同じです。
勉強は、本人がその気にならなければ、辛いものです。皆さん方も経験ありま
せんか、あったとすればなおさらのことでしょう。難しい話ではありますが、
「勉強は自分のためにすること」を、一学年でも早く自覚できる環境を作って
あげるべきではないでしょうか。
学校生活の様子を知る一つの目安として、先生からの連絡事項を、きちんと報
告できているかどうかがあります。できていれば、先生の話を聞いている証拠
ですから、とりあえず心配ありません。学習に取り組む姿勢も確実に身につい
ていきます。
 
そして、背を伸ばし、左手でノートを押さえ、きちんと筆記用具を持ち、筆順
に従った字を書いているか注意しましょう。知識を詰め込むより、姿勢を正し
て、きれいな字を書ける方が大切です。「形は心を作り、心は形を整える」は、
明治生まれの親父の口癖でしたが、一理あると思います。
 
しかし、小学校生活も、楽しいことばかりではないでしょう。いじめもありま
すし、けんかもするでしょう。先生に怒られることもありますし、勉強もわか
らなくなることもあるかもしれません。
「何で、ぼくだけ、こうなんだろ!」
と落ち込む時もあります。
しかし、翌日、子どもたちが元気に学校へ行くのは、家に帰ればやさしいお母
さん方がいるからではありませんか。家庭でリフレッシュできるからこそ、明
日に希望をもてるのです。
低学年時代は、お母さん方が頼りですから、温かい雰囲気のある家庭を作って
あげましょう。大人はストレスを解消できるすべを心得ていますが、子どもた
ちにはないからです。
 
小学校低学年時代は、勉強はできても利己主義より、勉強はほどほどであって
も、友だちと仲良くできる子の方がいいと考えるのは、私が昭和15年(19
40)生まれだからでしょうか。
もちろん、勉強も大切ですが、お子さんが、この時期に体験しなければならな
いことが、たくさんがあるはずです。桜の花ではありませんが、魅力がなけれ
ば、友も寄って来ません。今、大切に育てたいのは、相手を思いやる心、共に
生きる共生の心である徳育であり、いろいろなことを体験していくために必要
な体育であり、豊かな情操を養うための知育、そして挑戦する意欲だと思いま
す。「知育・徳育・体育」ではなく、今は、「徳育・体育・知育」と順番を入
れ替えるべきではないかと考えます。知育だけが優先される子育ては不自然で、
いつか壊れる不安が伴うのではないでしょうか。
幼児期は、三つの能力をバランスよく育てることが大切です。
 
かつて、聖心女子学院初等科の学校説明会で、本校の求める子ども像は、「心
身ともに強くて、心のやさしい子」、最近は暁星小学校が、たくましい子ども
とは「気はやさしくて力持ち」とおっしゃっていますが、そのためには、「心
身ともに強く、心のやさしい親」であるべきだということではないでしょうか。
「親の背を見て子は育つ」、これこそ育児の鉄則ですね。
 
そして、忘れてならないのは、お父さん、お母さんは、お子さんが何人いても、
お子さんにとっては、たった一人のお父さんであり、お母さんであることです。
私事でなんですが、嫁ぐ娘から、「お父さんは、生まれたときから私のただ一
人のお父さんでした」といわれ、少なからず狼狽したことを覚えています。子
どもは、間違いなく「お父さん、お母さん」として評価しています。
 
これからの毎日は、お子さんの記憶の中にきちんと刻み込まれていきます。
「三つ子の魂百まで」といいますが、私は小学校の低学年時代に、生きる姿勢
の基本的な枠組み、形が出来上がるのではないかと考えています。そのお手本
が、ご両親であることを肝に銘じておきましょう。2018(平成30)年度
中の全国、小学生、中学生の不登校児童生徒は、前年度14万4、031人か
ら2万名以上増え、16万4、528人で過去最多を記録。【2019年文部
科学省調査結果より】。無責任な言い方で恐縮ですが、その原因は、ご両親の
育児の姿勢にもあると思います。
 
仕事柄、「育児で、もっとも大切にしたことは何ですか」と尋ねられることも
ありますが、「両親からやってもらったことで、うれしかったことはどんどん
実行し、いやだったことはやらないようにしました」と答えています。自分が
いやだったことは、子どもだっていやなはずです。
種を明かせば、論語の「己の欲せざるところは、人に施すことなかれ」の受け売
りです(笑)。反対句は、「己の欲するところを人に施せ」(新約聖書・マタイによ
る福音)ですね。孔子の仁(思いやり)、キリストの愛、どちらでもいいのですが、
こういったことへの配慮でいいのではないでしょうか。
 
最近、ひょんなことから、理想的な親子関係を表しているではないかと思える
歌を見つけました。といっても、例によって「わたし流」の解釈ですが。
 
映るとも月も思わず映すとも水も思わぬ広沢の池
 
この歌から教えられるのは、育児は結局のところ、「親はよい手本をみせ、子
は意識することなく見習う」にあるのではないでしょうか。剣豪、塚原ト伝、
柳生新陰流の開祖、石舟斎の作ともいわれているそうですが、およそ「剣の道」
とは縁のない私ですから、とんでもない思い込みで、その道の方々から嘲笑さ
れるかもしれません(笑)。なお、広沢の池で検索すると、四季折々の景色を見
ることができます
 
ところで、ぴかぴかの一年生と聞けば、頭に浮かぶのはランドセルでしょう。
 
 このランドセルを日本で最初に使った人は伊藤博文で、大正天皇が学習院に
入学されたときに献上したのです。その後、学習院御用達となり、それが全国
に普及しました。ランドセルは、オランダ語の「ランセル」がなまったもので、
ランセルとは、兵隊さんが背負っている「背嚢(はいのう)」のことです。つ
まり、軍国主義の時代に、軍人を尊敬してあこがれていた子ども達の心に合わ
せて、通学用かばんとして考案されたものなのです。
(頭にやさしい雑学読本3竹内均編三笠書房刊P290)
 
一昨年の3月26日のことですが、「児童文学のノーベル賞」とも呼ばれてい
る「国際アンデルセン賞」の作家賞に、「魔女の宅急便」などで知られる作家
の角野栄子さんが選ばれました。宮崎駿監督により1989年にアニメ化され、
また2014年には映画化されましたから、ご覧になった方も多いのではない
でしょうか。角野さんは83歳、ビッグプレゼントに拍手喝采!!
2年前のメールマガジン、かなり興奮気味に書いていましたが、快挙でしたね。
1935年1月1日生まれ、頑張っていらっしゃいます。
   (次回は、「4月に読んであげたい本」についてお話しましょう)

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