さわやかお受験のススメ<保護者編>創刊号
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「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ<保護者編>
~紀元じぃの子育て春秋~
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-創刊号-
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日本の年中行事と昔話
情操豊かな賢い子どもの育て方 創刊号
小学校の受験でもっとも大切なのは、「話を聞く姿勢が身についていること」で
す。入学試験のプリントには、答えはイラストなどで描かれていますが、設問
は、どこにも書かれていませんから、話を聞き取れなければ、回答できません
し、ペーパーを用いない行動観察型のテストも、先生の指示が理解できなけれ
ば、どうにもなりません。
旧伸芽会時代、私は淑徳幼稚園の課外保育であった「進学教室」を担当してい
ましたが、そこで貴重な体験をすることができました。詳しくは本文で紹介し
ますが、昔話をたくさん読んであげ、日本の四季折々の行事と組み合わせ、カ
リキュラムを作って実践しみました。これは、子ども達に話を聞く姿勢を作り
上げただけではなく、お母さん方にも年中行事の意味をお話することで、各家
庭で楽しむといった効果も表れてきました。
その基本となったのは、永田 久先生の書かれた「年中行事を科学する」(日本
経済新聞社 刊)でしたが、当時、学校の説明会へ参加し、その情報を保護者の
皆様方に報告する仕事を担当していましたが、実にタイミングよく、素晴らし
い話を聞くことができ、「間違っていなかった!」と自信を深めました。その話
とは、立教小学校の説明会で伺った田中司元校長先生の「幼児期にふさわしい
教育」でした。少し長くなりますが、その一部を紹介しましょう。メモから再
現したものですから、文言は正確ではありません。
ゼロ歳から6歳までの幼児期は、人間の一生でいちばん大切な教育が行わ
れる時です。もっとも大切なのは、「対話」です。子どもの言うことをよ
く聞き、やりたいことをしっかりとつかむことです。親がしっかりと聞い
てくれ、受け止めてくれることで、子どもは安心感をもちます。人間にと
って安心感ほど大切なものはありません。「対話の反対は沈黙ではなく、
命令と要求」です。家庭内で対話が成立する、これが育児でいちばん大切
だと思います。
次は、「本の読み聞かせ」です。現代の情報は、映像で入ってきます。映
像は視覚と聴覚を通して、瞬時にわかる反面、頭の中でイメージを作る想
像性が欠如していく気がします。読み聞かせる母親の、話しかける父親の
言葉を聞きながら、情景や動物、人間の姿を思い浮かべることが、人間に
とっていちばん重要な能力だと思います。イメージする力を育てることは、
文学的な分野と考えられがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータ
をもとに発展させ、それぞれの世界をイメージしてきたのです。分子や原
子は、どんな格好をしているのか、太陽はどんな姿をし、宇宙はどのよう
になっているかを見た者はいません。わずかな情報から、科学者が創った
イメージの世界です。読み聞かせは、子どものイメージする力を育てると
共に、子どもの世界を一緒に楽しむ、豊かな時間でもあるのです。
いかがですか。
本メールマガジンは、進学教室での体験をもとに、博識な永田先生が科学的に
解説された年中行事を参考に、田中元校長先生の考えを実現すべく作り上げた
ものです。「対話」と「本の読み聞かせ」は、情操豊かな子を育てます。特に昔
話は、勧善懲悪で、幼い子ども達の心に、正義感を植えつけます。余談ですが、
いじめの起きる原因の一つは、正義感の欠如にあるのではないかと考えていま
す。
「鍛える教育」を実践している暁星小学校の描く理想像は、日本昔話のキャラ
クターでもある「気は優しくて力持ち」であり、聖心女子学院初等科では、「心
身ともに強く、心のやさしい子」を掲げています。こういった子ども達は、ご
両親の心がけ次第で育つもので、それが家庭の文化です。年中行事や本の読み
聞かせに挑戦してみませんか。そこから「話を聞く力」も培われるのです。一
石二鳥、いやいや、それ以上の効果があります。志望校合格を目指し頑張る保
護者の皆様方、微力ながら応援させていただきます。
めぇでる教育研究所 所長 藤本紀元