さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第53
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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夏休みの過ごし方(1)
 
◇説明会情報◇
7月6日に慶応幼稚舎の説明会がありました。
小雨の中、第二会場まで案内があり、例年通り、多数の参加者があった模様
です。
 
説明会では、教育方針、校内の様子、行事について説明がありました。
武田舎長先生から、「幼稚舎は福沢諭吉の思想、教育理念に基づいている。
有名だから…人気校だから…という理由で受験するのではなく、理念に共感
して我が子を託したいと思う方に受けてもらいたい」というお話がありまし
た。
 
また、行事も数多くあり、行事内容も多彩なところに、とても魅力を感じま
した。説明会後、希望者には校内見学ができました。
伝統校の中にも、最新の設備があり、すばらしいと思いました。
 
東京、神奈川、埼玉、千葉の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、「夏
を制するものは受験を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合
否の鍵があるといっても過言ではありません。
一昨年の慶應義塾幼稚舎の説明会で、大島前会長先生が、志願者の多い中、
入学試験を通して選抜せざるを得ない実状を述べられたうえで、「入学試験
のために、5、6歳の幼い子ども達に、不自然な生活態度を強いることを望
んでいません」と保護者の方への心構えをお話しされました。
大島前舎長ではありせんが、不自然な生活態度を強いることなく、大切な日々
を有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。幼稚園が休みになると、生活のリズム
が狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズム
を崩さないことです。1日のスケジュールを立て、それにしたがった、メリ
ハリのある生活を送りましょう。 ただし、あれもこれもと、過密なスケジ
ュールでは、お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかね
ません。余裕を持って、計画を立てることです。遊び時間をきちんと配慮し
てあげましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴の
ようです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けまし
ょう。買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作
ることです。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても
受験に対応できません。 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意
欲や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけで
は、真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものも
あります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さ
んのリフレッシュにも役立ちます。夏休みの間は、ゴルフバッグに封をして
おきましょう。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が、不足しがちです。受験一色
になると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、
それは間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校から
も歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生
活への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会で
もあるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの
年齢の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのです
が。
 
また、一人遊びも大切です。
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲
や持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間
まで管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、
無気力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。
遊びを通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、
忘れないようにしてほしいのです。
 
任期前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会
で「5歳のわが子を、受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃっ
ていました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、
「ゆっくり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。
 
ここで一言。
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子
を先生に伺っておきましょう。家族から離れて生活した時、今まで気づかな
かったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお
子さんもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験
は、「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従
い、初めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取
り組む」からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干
渉、自由放任になっていないかをチェックし、自信を持って取り組める気持
ちを育ててあげましょう。
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5」
と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与え
ていることに気づいてほしいのです。
 
    ★家庭でできる具体的な受験準備 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われ
るでしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
 1. 聞き取る力をつけるには
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まりま
す。ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先
生の話を聞かなければ、何もできません。
本を読んであげましょう。
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業
がフル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、
本を見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出している
のです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につき
ます。
 
「本の読み聞かせと対話」の効果を、説明会で最初に力説されたのは、平成
14年に就任した立教小学校の田中司元校長でした。
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげ
ましょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな
拙い表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょ
う。言葉のキャッチボールを楽しんでください。
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中元校長でした。
含蓄のある言葉ではないでしょうか。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持
ってきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、
丁寧なことばで応対しましょう。
   
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さん
がお子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地
よい言葉は、使ってみたくなるものです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」
と感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の
中に、相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊び
として、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に
話せるからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思ってい
ることを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、
下手は、二の次と考えることです。
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからで
す。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかし
ら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してつい
てくるものです。
 
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始め
ます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試
験に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてか
ら、お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあ
げましょう。
 
2. 考える力をつける
最初のところでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがか
いてありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつき
ます。
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではな
いのですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多い
ものなどの学習もできます。
 
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどの
ように数えていますか。
a  1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
b  2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
c  3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
d  4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
e 5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
eは最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さえ
るのは容易ではありませんから、無理をしないことです。
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正
確に数えられます。
    
15個のおはじきをばらばらに置き、aからやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),と
お(十)と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちで
す。これを理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にち
に対応できます。
15の場合10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで
14個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、
それに余った1を加えれば15となることを教えます。
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。
理解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんど
ん並び替えて挑戦してみましょう。
 
以下、同じように、c,dにも取り組みたいのですが、cをマスターできれ
ば最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理を
させないで下さい。
 
そして、eの5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えると
き、5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であるこ
とがわかります。いきなりeの数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげ
ましょう。大人が考えるほど簡単ではないからです。
    
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることが
わかります。
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることも
わかります。
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはず
です。
    
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や
系列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒
を中心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
         □□□
         □■□
         □□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねる
ことで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく
学習できます。
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」とな
りがちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気
分転換にもなります。    
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使え
る夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。    
 
ここで問題を。
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験
は、遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
夏はこれからが本番です。頑張りましょう。    
(次回は、「夏休みにできる家庭学習2」についてお話しましょう)

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