さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方 (1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第51
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (1)
 
★説明会情報★
慶應義塾幼稚舎 
2019年7月6日(土)  7日(日) 
 午前9時30分~1時間半程度  
 午後2時00分~1時間半程度 2日間で計4回、内容はすべて同じ。
 詳しくはホームページをご覧ください。
 自尊館ホールに掲げてある諭吉翁自筆の額、お見落としのないよ
 うに。
 
暁星小学校  
2019年9月7日(土)午前9時30分~
 今年は上智大学ではなく学園講堂で開催。
 目下、WEB予約中 2019年9月6日(金)まで。
 
何やら、いかめしいタイトルで恐縮ですが、今回と次回に分け、建学の精神や
教育方針を、どのように理解しておかなければならないかについて、拙著の「お
とうさん、おかあさんの受験対策」 シリーズ(全21冊)から選んで、お話
ししましょう。 
 
模擬面接では、お父さんに志望理由をうかがうのですが、これでは本番で困っ
たことになるのではといった回答があります。それは、願書に書かれている志
望理由を、そのままおっしゃる場合です。
 
たとえば、白百合学園小学校でいえば、
「御校の校訓である『従順、勤勉、愛徳の三徳』が、我が家の育児の方針とあ
い通じるところがあり、心から賛同できますので志望いたしました」
と答えたとします。
「では、三徳について、具体的にどのようにお嬢さんに教えていますか」
と尋ねてみると、はっきりとした答えが返ってこないことが起きがちです。こ
れでは、志望理由になりません。説明会でも、三徳について簡単な説明があり、
配布されたパンフレットにも書かれています。
 
 従順 すすんでみがこう正しい心
 勤勉 すすんでなんでも一生けんめい
 愛徳 すすんで親切よろこんで
 
これを、このまま願書に書き、口頭で答えるのもどうでしょうか。
「従順は素直な心、勤勉は最後まで頑張る子、愛徳は思いやる心」と置き換え
れば、皆さんが育児で、大切にしていることではないでしょうか。
「私どもでは、素直な心、頑張る心、思いやる心を大切に育ててきました」と
答えることができれば、すなわち、「従順、勤勉、愛徳」の三徳を、育児の中心
にしてきたことになり、「心から賛同できる」となると思います。
こういったように、ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が、限りなく近けれ
ばいいのですから、やはり、育児の姿勢に一本の筋がなければ、あやふやな回
答になりがちです。
そして、学園全体のことも考慮されて、「宗教教育に何を期待しているのか」「女
子だけの教育環境になぜ、賛成なのか」「大学までの一貫教育制度に期待するこ
とは何か」をまとめることです。
 
先週号で、併設の中高の進路状況を見ておきましょうとお薦めしましたが、大
学への進学状況を見ておくことも大切です。白百合学園の中学・高等学校のH
Pを開いてみると、そのまま大学へ進む生徒は少ないこともわかります。デー
タ中にGMARCHとあるのは、学習院・明治・青山・立教・中央・法政大学のこと
で、各校のイニシャルから命名されたものです。                
              
ところで、平成25年の説明会で、校章の解説がありましたが、デザイン化さ
れたユリの花の中央は「従順」、左側が「愛徳」、そして右側が「勤勉」を表し
ているそうです。校歌にジャンヌ・ダルクが出てきますし、「清くかんばし白百
合の花」で始まり、終わりは「命のしるし白百合の花」……、白百合の目指す
女性像は、半端ではありません。
 
もう一例として、日本女子大学附属豊明小学校の「三綱領」についてお話しし
ましょう。
学校案内には、こう説明してあります。
 
 信念徹底(正しいと考えたことはやり遂げる)
 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
 
信念徹底とは、はじめたことは途中でギブアップしないで最後まで頑張る子。
自発創生とは、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子。
共同奉仕とは、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子。
こう考えると、わかりやすいのではないでしょうか。
こういったことを大切に考え、子育てをしているご家庭は、日本女子大学附属
豊明小学校の教育方針と一致していると思いませんか。
それならば、願書に「三綱領に賛同いたしまして志望させていただきました」
とお書きになられても、では具体的にと尋ねられた場合、躊躇せずに話せるの
ではないでしょうか。
そして、「女子だけの教育環境」「大学までの一貫教育に期待すること」をまと
めるべきでしょう。
 
次は、面接をやっていない学校ですが、願書は提出しますから、やはり、志望
理由は明確にしておかなければなりません。
出願者が、もっとも多いといわれている慶應義塾幼稚舎です。
最初の頃に触れましたが、もう一度、紹介しておきましょう。
教育方針の中に掲げてある独立心と自尊心が「独立自尊」の精神です。
この言葉は、福沢諭吉翁の精神として、明治33年に発表された「慶應義塾修
身要領」の中で初めて使われた言葉です。
 
「自分の自由独立を守るためには他人の自由を認め、またその人の独立をも尊
重しなければならない。人はすべて自主的、自発的に判断して行動する習慣を
つけなければならない」
 
つまり、あることに関して、他人の考えに左右されずに、自分の考えや判断を
最も尊ぶ心が自尊心であり、他人はどうあっても、自分はこうだという信念の
ある態度で生活することが大切であるということでしょう。
 
独立自尊については、この話がわかりやすいと思います。
新入生が入学したときに、三つの約束をします。
 
 一つ、嘘をつかない。
 二つ、お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
 三つ、自分でできることは自分でする。
 
普段から、お子さんにいって聞かせていることを考えると、
「嘘をついてはいけません」
「約束は守りなさい」
「自分でできることは自分でしなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」
だとします。
そして、これらを破ると叱り、諭しているとします。
お母さんの育児の姿勢と幼稚舎の教育方針と一致していることになりませんか。
この三つの教えは、先の諭吉翁の10ヵ条から成る「慶應義塾修身要領」の中
から、特に大切な項目を取り上げたもので、通信簿の第1ページにも記されて
います。
成績をみるよりも前に目を通してほしい大切な事項、という意味からだそうで
す。
 
第二は、幼少時の者には、身体の健康と品格に重きをおく、「先ず獣身を成して
後に人心を養え」の教えですが、これは「福澤諭吉全集」第六巻257ページ
にあるもので、これをどう解釈するかでしょう。
「獣身を成す云々」は、この話がいいでしょう。           
 
「塾生皆泳というモットーを、日常の教育に文字通り実践しているのは幼稚
舎である。幼稚舎を卒業するまで、プールで千メートルを全員で泳ぎ切る見事
な成果は、先ず獣身を成せとの教えの端的な一歩であった」
 
卒業までに、千メートル皆泳です。
まだ、あります、冬の寒い時期の縄跳びです。
この二つのことに関しては、説明会でも舎長が力説されていました。
ところで、運動会場には入場門と退場門がありますが、幼稚舎の場合は、入り
口は「獣身門」で、出口は「人心門」となっていますが、今年の説明会でも見る
ことができると思います。「陸の王者慶應」は、幼稚舎時代から鍛えられている
わけで納得できました。
 
毎年、「担任の6年間持ち上がり制度」について詳しい説明がありますが、これ
も大切な教育方針であることはいうまでもありません。それに加え、「大学まで
の一貫教育に期待すること」「共学の良さ」を考慮されてまとめられてはいかが
でしょうか。
 
話を戻しまして、このように、建学の精神や教育方針とご家庭の育児の方針に、
どういった接点がうかがえるか、これを見つけだすのがポイントだと思います。
それがきちんと整理できれば、面接は、恐くありません。
新約聖書にある「始めに言葉あり」ではありませんが、小学校の受験は、「始め
にご家庭の育児の姿勢ありき」でなければいけないといってきた理由は、ここ
にあるのです。
「絵に描いた餅」は、所詮、飾りもので役に立ちません。
面接に臨み、ご自身の考えを、ご自分の言葉で話すには、やはり、「我が家の育
児の姿勢」が、しっかりとしていることが大切なのです。
 
古い話になりますが、文明開化を目指した明治時代、高等小学校(現在の5、
6年生)から親に配布された「家庭心得」に、「教育の道は家庭の教えで芽を出
し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実がなる」とあるそうで、まさに「は
じめにご家庭の育児の姿勢ありき」、そのものではないでしょうか。2017年
4月に亡くなられた渡部昇一先生に哀悼の意を捧げた致知出版社長、藤尾秀昭
氏の「渡部昇一先生と私」の追悼文の中にあったものですが、先生のご母堂の
教育方針であったと紹介されていました。何故、今まで、50数冊の本を読ん
で気づかなかったのか、唖然としました。尊敬してやまない先生から、「何をや
っているのだ!」と叱責されたようで、深く反省しました。が……、間違って
はいなかったと自信もつきました。(感謝)
 
最後に、一言。夏休みの講習会は、心身ともに鍛える絶好の機会です。
その体験を家庭学習に取り入れてほしいのです。継続は、間違いなく力を育み
ます。
「夏を制する者は秋に祝福を受ける」などとあおるようで気が引けますが、今
年の夏休みのスケジュールは、お子さん中心に過ごせるようきちんと立て、頑
張ってください。
また、お父さん方へ、模擬面接をお受けになることをお勧めします。
お父さんはともかく、お母さんやお子さんは、どのくらい緊張するかを知って
ほしいのです。
後で悔やんでも始まりませんから、夏休み中には受けておきましょう。
 
天候不順な日が続いています。健康管理には、手を抜かないように気を付けて
ください。
 
天災は予測不可能ですから、備えだけはしっかりとやっておきたいものです。
防災グッズ、電池や飲料水、食べ物などチュエックしておきましょう。
(次回は、暁星小学校、青山学院初等部、国府台女子学院小学部に関してお話
しましょう)

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